私たちはどこまで“香取慎吾”を知ることができるのか アート作品、個展を楽しむためのポイントを解説

個展? ライブ? 今この瞬間を楽しませる仕掛け人

 そして香取のアイドルとしての顔をベースに感じられるところが、もう1つある。それは「いわゆる個展」を目指したにも関わらず、音響や照明、特効といったライブに通じる演出部分に、どうしても力が入ってしまうところだ。今回は、草彅剛が出演した映画『ミッドナイトスワン』の音楽を手掛けた渋谷慶一郎に会場内の音楽を担当してもらうようにオファーしたという。すると、24個のスピーカーからAIによってランダムに音が発せられ、二度と再現のできないその場限りの音楽になる仕掛けが出来上がったようだ。

 「今のこの音しか存在しない。『WHO AM I』っていう気持ちを音として作ってもらったらこの音になった。面白いよね」とYouTubeにアップした密着動画で語った香取。自分でも「個展だけどライブみたい」と笑ってしまう。そのどこか客観視したところが、また自身で「何者なんだ?」とツッコミを入れているようで面白い。

香取慎吾に密着したらやばかった…【WHO AM I -SHINGO KATORI ART JAPAN TOUR-】【ヒカリエSNG】

 創作活動の映像を見ていると、いつもライブペインティングのように、その瞬間のひらめきを大切にしているのがわかる。そして描き終わった作品の時計さえも止まることなく、会場の演出で“生”を感じさせていく。それはコンサートにテレビの生放送と、その場限りの瞬間的なきらめきを魅せる仕事を、35年もの芸能生活で持続してきた香取慎吾ならではのスタンスといえるだろう。

 今この瞬間に見えたものでも、次の瞬間に変わってしまうという、決して同じ場所にとどまることのない光。さらに、その奥には実は人に見せてこなかった闇もある。そんな香取のこれまでを一気に放出する個展だからこそ、長年親しくしてきたキャイ~ンの天野ひろゆきが感想として「アナタハマダ ホントウノ カトリシンゴヲシラナイ!!」とブログに綴らずにいられなかったのも納得だ(※2)。

 私たちが見てきた香取慎吾はまだまだほんの序の口なのだと突きつけられる一方で、新しい香取慎吾と出会うことができる『WHO AM I -SHINGO KATORI ART JAPAN TOUR-』。思う存分、香取慎吾の真っ暗な部分と眩しい部分に翻弄されに、会場へと足を運んでほしい。

※1:https://www.oricon.co.jp/news/2259432/full/
※2:https://realsound.jp/2019/03/post-332951_2.html
※3:https://ameblo.jp/amablo2010/

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