Dannie May、メンバーの赤裸々な実体験をラブソングに “むき出し”の恋愛感情を込めた「たぶん、80年」制作秘話

「(「たぶん、80年」は)恥ずかしいくらいむき出し」(田中)

ーーそういう意味では、いつもはMVのプロットありきで出発することが多いけど、それとは違うプロセスだったんですね。

Yuno:テーマというか、恋愛曲にしようっていう漠然としたものだけは決めつつ、今回は普段とまた違う作り方になってますね。

田中:作り方にも色々あって、僕はシングルを書くのは2回目なんですけど、アルバム曲だとMVがないからそもそもそういう話にならないんです。

ーーこれは実際にはどういうふうに作っていったんですか?

田中:もう忘れてるんですけど、ピアノと歌とビートで作ってデモをみんなに聴かせたんだよね。もともと、“この子”がいるんですよ。

ーー曲に出てくる相手のことですね。

田中:そう、その子に向けて付き合っていた当時に書いた曲があったんです。本人はその曲のことを知らないんですけど、当時の友達は知っていて、今でも会うと歌ってくるんですよね。その曲が弾き語りで作った曲だったので、今回もそれに近い形になればいいなと思って作り上げていきました。

ーー歌詞も当時のリアルな感情とか情景を書いているんですか?

田中:そうです。サビは今の自分が当時のことを考えたときの気持ちなんですけど、それ以外のAメロとかは当時のことをただ思い出して書きました。で、ラストの〈凸凹でも手を繋いで二人〉から先は、結局別れてしまった彼女と別れずに続いていたらどうなっていたのかなというのを想像して。当時は自分が上京するって決めたときに自分から別れを告げたんですよ。その時は変に大人ぶっていて。上京したらきっと別れてしまうから、早めに別れた方がお互いのためかなと思って。でも現実ではそうやって別れたけど、そうじゃないパラレルワールドにいたとしたらまだ付き合ってただろうなと思うんです。それくらい好きだったんですよね。そのパラレルワールドの未来を想像して最後の部分を書きました。

ーーこの曲に書いてあることは、タリラさんの人生とすごく密接に繋がってることなわけじゃないですか。そういう曲をDannie Mayで書いたことはあるんですか?

田中:「小舟」(『ホンネ』収録)という曲も自分自身のことなんです。実際にあの歌詞で書かれているような夜があって、それを曲にしたんです。自分はそこに自分の体験が乗っていないと作れないタイプというか、想像ではできないんです。「メロディが浮かばなくても」(『タテマエ』収録)もそうだし、「If you イフユー」(『DUMELA』収録)ですらもそう。

ーーあれもそうなんですね。そういうふうに曲を作る人なんだ、タリラさんは。

田中:そうですね。それをめちゃくちゃフィクションっぽくするのかしないのかっていう幅はありますけどね。

Dannie May「たぶん、80年」(Music Video)

ーーそうそう。Dannie Mayの曲はちゃんと起承転結があったり、設定や世界観があるじゃないですか。その中でこの「たぶん、80年」はわりとむき出しだなって。

田中:恥ずかしいくらいむき出しですね。

ーーちょっと恥ずかしいなみたいな気持ちもあったりするんですか?

田中:でもこの曲はだいぶ2人に歌ってもらっているんですよ。だからあんまり恥ずかしくない。

Yuno:ああ、それはあるかも。

田中:自分で歌うのはきっと恥ずかしいですね。初めてなんですよね、自分が作って2人にこれだけ主旋律を歌ってもらうのは。

マサ:でも歌うのは結構難しかったな。やっぱりメロの作り方が自分とは違うので、歌い回しがすごい難しかった覚えがありますね。

田中:普段、人の曲歌わないもんね。俺とYunoは人の曲を歌ってばっかりなんで。

マサ:嫌々歌ってるみたいに言うな(笑)。

田中:最初は俺とYunoも全然できなかったじゃん。ハモりとかもはまらなかったし。

ーーでもこの曲、ハーモニーがめちゃくちゃ美しいですよね。

Yuno:ラストのコーラスとかめっちゃ重ねたね。あれ全部、俺ら3人だけの声なんですよ。

田中:マイクを1本置いてそこに向かって3人で歌ったんです。そうやって歌ったテイクを何本も重ねたんで、人数がめっちゃいるように聴こえるんです。

ーーゴスペルっぽい感じが出ていますよね。

田中:そうですね。本当に、さっきもレゲエとおっしゃっていただきましたけど、自分のルーツがまさにレゲエとゴスペルというのが大きいので、それが伝わってるのは嬉しい。

ーー音楽的にもそういうタリラさんのルーツが出ているんですね。

Yuno:サビのメロディもちょっと懐かしいというか、当時流行っていた恋愛ソングの感じもあるなと思う。

マサ:「懐かしい」が一番でかいよね。これ書くときって「ポップスを作ろう」っていう意識だったじゃん。

田中:そうそう。だからリファレンスが回り回って、自分らの学生時代の感じなんじゃないかって。今の学生の子たちはそれを知らないから逆に真新しく聴こえるんだろうなと思う。

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