MO MOMAは“遊び場”であり“実験場”でもある 「普通はNG」を全肯定する特異な活動スタンスに迫る

 2018年に解散したLILI LIMITの土器大洋(Gt, Cho)、志水美日(Vo, Key)、黒瀬莉世(Vo, Ba)の3人に、元expctrの高橋尚吾(Dr, Sampler)が加わる形で2019年に活動を開始したMO MOMA。「ATMOSPHERIC PARADISE POP PROJECT」というキャッチコピーを掲げ、浮遊感と攻撃性を併せ持った独自のサウンドデザインによるエレクトロポップが非常に魅力的だ。

 また、それぞれ別のバンドやサポートなどでも活躍し、アートワークもメンバー自らが手掛けるなど、クリエイティブユニットとしての存在感もジワジワと高めつつある。MO MOMAの新たな始まりを告げた「Roll」に続いて、9月と11月に連続でリリースされた「Game」と「Point」という2曲の話を軸に、4人の現在地を語ってもらった。(金子厚武)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】

周りから「何しとんねん」と思われることが大事

ーー6月に「Roll」を発表した後、7月に志水さんのpollyへの加入が発表されました。バンドと個々の活動をどのように捉えていますか?

志水美日(以下、志水):pollyのボーカルの越雲(龍馬)くんとは以前からいろいろ話をしていたので、それを経てバンドに入ることになったんですけど、もともとMO MOMAとも別軸で自分のやりたい音楽があって、ソロ音源を3年前くらいから作り始めてもいて。MO MOMAにいるときにしか出ない自分もいると思うし、逆に言えば、自分だけで完結させることによって、今まで出てこなかった自分が出てくるんじゃないかとも思っていて、それに期待をしているというか、それをしてみたい気持ちもだんだん大きくなってるんです。

ーーそういう個人の活動の話もバンドで話して共有はしてるんですか?

志水:全然してないです。みんなもそれぞれの活動があるので、それを逐一話したりはしていなくて、そういう関係性で問題ないと私は思っているので。

高橋尚吾(以下、高橋):それぞれの活動があって、それがいい形でMO MOMAに還元されたらいいなとは思ってるんですけど、個人の話をみんなで共有してるという感じではないですね。

土器大洋(以下、土器):MO MOMAを結成する時点で、「それぞれがいろんな分野で活躍しながら、そのメンバーが集まったバンド」みたいな見え方への憧れがあったので、徐々にですけど実際そういう形になりつつあるのかなって、すごくポジティブに考えてます。あと、志水は歌う場所がMO MOMAしかなかった中で、pollyだとまた違った歌唱法や体の使い方が経験できると思うので、ボーカルとしても成長できて、それによってMO MOMAにも変化が出てくるんじゃないかと思います。

黒瀬莉世(以下、黒瀬):MO MOMAは最初から各自いろいろなことをやっているバンドなので、私も特に違和感も問題もなく、この状態が自然だと思っています。LILI LIMITのころからその感覚はあったし、もちろんバンドとしてもちゃんと活動するんですけど、それぞれのやるべきことややりたいこともあると思うので、最終的に相乗効果でよくなればっていうスタンスです。

ーーMO MOMAには「ATMOSPHERIC PARADISE POP PROJECT」というキャッチコピーがあって、ここで「BAND」ではなく「PROJECT」というワードを使っているあたりにも、4人の関係値が表れていると言えそうですね。

土器:そうですね。そういう意識があったかもしれないです。

ーーこの言葉自体は土器くんが考えたんですか?

土器:はい。何かキャッチコピーみたいなものを掲げたいと思ったときに、ゴチャゴチャいっぱい英単語を並べて名乗るって、ダサくて良いなと思って(笑)、それが面白くてつけました。「ATMOSPHERIC」は浮遊感のある歌声やサウンドの感じから出てきたワードなんですけど、「PARADISE」はもっとアホな感じにするにはどのワードがいいのかを考えてつけていて(笑)。そういうちょっとした冗談みたいなのって、なかなか伝わりにくくて、曲の中にふざける要素として入れてるサウンドとかも、「何しとんねん」と思う人がいるかもしれないけど、自分たちとしてはそこは結構大事にしていて。

ーーそれはなぜ?

土器:LILI LIMITのときは結構真面目な感じでやってたし、さっきのpollyもそうだし、僕だったらyonigeのサポートだったり、それぞれの現場ではそれぞれがちゃんと音楽をやってると思うんです。MO MOMAはそういうところでは出せない、普通だったらNOと言われてしまうようなことも、全部OKなプロジェクトにしたいと思っていて。

志水:自分一人だったら絶対やらないようなこともあえてやってみたりとか、悪い意味ではなく「遊び」みたいな感覚もMO MOMAは結構強いんです。

黒瀬:実はLILI LIMITのころから歌詞とかコーラスとかでちょいちょいふざけてはいたんですけど、スタンスが真面目だったから、そういう遊び心とかが気づかれにくかった感じがあって。MO MOMAではそういう部分もわかりやすく出すというか、さっきの「PARADISE」とかもそうだし、「本気でふざけてる」みたいな感覚が伝わるといいなって。

高橋:もちろん、そういうふざける部分があったうえで、アートワークとか活動の見え方も含めて、トータルで一番いいバランスを探りながら活動してる感じだと思います。

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