なとり「Overdose」TikTokチャート好調 一度聴けば耳に残るリズミカルかつ大胆なボーカルアプローチ
「Overdose」はサウンドオブジェクトの集合体のような1曲。多様なリズムと独特の抑揚あるメロディが並行しながら進行し、途中でひとつになり、また離れていく。緻密に散りばめられたリズムの上を軽く跳ねるように言葉を置くボーカルのピッチもお見事。ゆえに、ただのループとは一味違った立体的なグルーヴ感こそ、なとりの楽曲の最大の魅力で前例なき個性だ。
リズムをメインに置いた短いフレーズを繰り返すメロディながら、歌ものとしての印象を強く残すのは、なとりのボーカルアプローチによるところが大きい。短いトーンの中でも一音だけビブラートをかけたり、「ん」をほとんど発音しないで抜いたり、同じメロディラインを繰り返すところで一音だけファルセットしたり、一瞬の隙間にフェイクを入れたりと、ニュアンスが豊富で抜群にうまい。個人的には、本曲をサンプリングしリミックスしたような大胆なイントロに度肝を抜かれた。
TikTokでは顔こそ出していないものの、マイクで歌う姿やギターを弾く姿も頻繁に投稿されるようになったなとりだが、リズムの取り方などパフォーマンスにスケール感があり、ライブへの期待も募る。正体が明かされるのはいつなのか。その時が今、最も待たれるアーティストの一人である。
※1:https://www.thefirsttimes.jp/news/0000188295/