堂本剛、恒例の『平安神宮 奉納演奏』で伝えた「ネガティブ ポジティブ」というテーマ ソロデビュー曲「街」から最新曲まで披露

 最新曲「1111111 ~One Another’s Colors~」では、カラフルに展開される照明とリンクしながら、切実なメッセージを紡ぐように堂本剛が全身全霊で歌声に魂を込めていった。また、この日の公演では、サビのファルセットが印象的な新曲のバラードソングも披露し、オーディエンスはじっくりと堂本剛の歌声とその言葉に耳をすませた。

 本公演のラストはバンドでのセッションで締めることに。しかし、セッションの最中、曇り空だった空模様は大きく変わり、大粒の雨が大量に大地に降り注いだ。この雨粒も演出のひとつだったのではないかと感じられるほど、光のビームによって雨が可視化される幻想的な光景が眼前に広がっていた。思えば、堂本剛の楽曲は、空に視座を向けたものや、雨を象徴的に描く歌が多かったので、もしかすると、雨もこの公演を見届けたかったのではないか……そんなことを思わせるくらいに演出とシンクロしていたのだった。雨雲レーダーによると、この雨雲は堂本剛の故郷・奈良からやってきたものだったらしく、「街」から始まったこの日のライブにおいて、その登場は必然性すら感じさせるものであった。

 楽曲をすべて披露し終えると、この日の総括ともとれる言葉を口にした堂本剛。今回のテーマが「ネガティブ ポジティブ」であることを説明しながら、ネガティブに目を向けるからこそポジティブに進むことができるということ、「1111111 ~One Another’s Colors~」でも歌われているように、“たった今”の尊さを言葉にしながら、その“たった今”を繋ぎ止める大切さと感謝、そして雨に濡れたファンへの気遣いを言葉にしていくのだった。思えば、今回の公演は光の存在が印象的なステージだからこそ、照明が消えて暗転する瞬間の景色も印象的だった。闇を知るからこそ、光が持つ美しさを実感する構成になっていたことを思い知る。「ネガティブ ポジティブ」をテーマにした堂本剛の言葉を身をもって実感する、そんな1時間弱の公演であった。

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