木梨憲武が語る、“最終章”の先に見据える未来 指原莉乃&秋元康との制作秘話やとんねるずの今後も

将来の夢としては、さっしーと並んで、この曲をどこかで披露すること

ーーなるほど。そのときどきの話を聞くと、割とパッと思いついて、そのまま連絡するような形が多かったようですけど、こうして改めて聴いてみると、一曲一曲、ちゃんと仕上げられているなと思いました。

木梨:まあ、そこはやっぱり、クオリティの高いものにしたいなっていうのがあって。宇崎さんの「サクセス」とかは、もう俺がガキの頃からずっと聴いてきた曲であって、それをカバーさせてもらうなら、やっぱりちゃんとしたものにしたいっていうのがあったし、それは「WON'T BE LONG」のカバーも同じですよね。コンちゃん(Bro.KORN)と俺は、もう18歳からの知り合いで、とんねるずが上がっていくのと同じようにバブルガム・ブラザーズも「WON'T BE LONG」で爆発して。そういう思い入れの深い曲なので、アレンジもオリジナルに忠実な感じでやって、歌い方もほとんどコンちゃんの完コピでやらせてもらって。あとはやっぱり、所さんですよね(笑)。

ーーまた最近、いろいろ一緒にやられているみたいですけど、とにかく曲を作るスピードが速いっていう(笑)。

木梨:ホント、速いんですよ。俺が何かテーマを言うと、一日で3曲とか上がってきちゃうから(笑)。で、それを我々のミュージシャンのところに持っていって、「どういうアレンジがいいだろう?」って相談しながら仕上げていくみたいな感じで、作業はいくらでもあるんですよ。

ーーちなみに、今回のアルバムには、以前から話に出ていた秋元康さん作詞の新曲「スキャンダルナイト feat.指原莉乃」が、ようやく正式に収録されています。

木梨:ホント、ようやく(笑)。実はもう2年ぐらい前からあった曲なので。

ーーそれこそ、この曲は、どういう経緯で作ることになったのですか?

木梨:この曲は、さっしー(指原莉乃)が、それこそ2年前ぐらい前、俺のライブに秋元さんと一緒にきてくれて。で、「さっしーです!」って俺が呼び掛けて、ステージに上げちゃって。打ち合わせとかまったくしてないのに、「さっしー、この曲、歌って!」って言って、さっしーは「知らない、知らない、この曲、知らない」って言いながら、自分なりのメロディで歌い上げて、会場を大爆笑させたことがあって。で、「さすがだな、さっしー」って思っていて……。

ーーちなみに、何の歌だったんですか?

木梨:ええと、何だったかな。〈飲ませて下さい もう少し/今夜は帰らない 帰りたくない〉ーーたしか「氷雨」だったと思います(笑)。で、それを秋元さんも見ていて……そのあとのタイミングで、さっしーとコマーシャルで共演する機会があったので、「さっしー、今度何か歌ってよ」って言ったら、「いいよー」と言ってくれて。そしたら秋元さんも乗り気になって、もうホント、その次の日ぐらいに、秋元さんが楽曲を持ってきて。「こういう感じの楽曲で、こういう感じの歌詞はどうだろう」って言うから、「了解!」って言って、「早速レコーディングしましょう!」って、俺のパートをレコーディングして……。

ーーそこまでは、すごい速さで進んだんですね。

木梨:そう。で、そのあと、さっしーのパートも入って完成したんだけど、俺としては、マツコ(・デラックス)とミッツ(・マングローブ)と一緒にやった「命綱」みたいに、一度でいいから、どこかで一緒に発表会をやりたいなって思っていて。で、ずっとその機会をうかがって、そのあいだに自分のラジオでその曲をかけちゃったりしていたんだけど(笑)、さっしーは自分がプロデュースしている子たちもいるし、なかなかスケジュールが合わなくて。だから、俺の将来の夢としては、さっしーと並んで、この曲をどこかで披露することなんですよね。それこそ、もうどっかのカラオケ屋とかでもいいから(笑)。

ーー(笑)。そのタイミングをうかがいつつ、とりあえず今回のアルバムに収録されることになったと。ちなみに、この楽曲のコンセプトはどんな感じだったんですか?

木梨:まあ、還暦のじじいを、若い女の子が「負けないで」って応援してくれるような歌ですよね(笑)。世間のおじさんたちもそうかもしれないけど、「そういう言葉を、そんなに深く考えちゃダメだ。でも、何だろう、このやさしさは」っていう、ブレるかブレないか、そのギリギリのラインを攻めたラブソングです(笑)。

ーーいわゆる男女のデュエット曲ではありますが、しっとり歌い上げる系ではなく、割とテンポの速い、ノリのいい曲になっているところが、ちょっと新鮮でした。

木梨:そうですね。古くは「カナダからの手紙」から「3年目の浮気」、「ロンリー・チャップリン」……あと「渋谷で5時」とかまで、男女ふたりで歌う曲はいろいろとありましたけど、多分秋元さんとしては、そのへんの流れの歌詞になっていると思います。

ーーでも、テンポ感やアレンジは、かなり今っぽいという。

木梨:まあ、そのあたりはね。歌謡曲っぽいものを、今の若い子たちも結構面白がって聴いてくれているなんて話も聞くので、それを打ち込みだったり、今っぽいアレンジの中でやってみて。そういう歌謡曲的なところを、みなさんにお届けできたらなって思って作っていったんですけど。

秋元さんなら、きっとそういうものをスパッと書いてくれる

ーーそれこそ、とんねるずとしても、秋元さん作詞の曲は、何曲も歌ってきているわけですが、改めて秋元さんの歌詞の魅力って、どんなところにあるでしょう。

木梨:とりあえず、どんだけ引き出しがあるんだろうってことですよね(笑)。

ーー確かに(笑)。

木梨:でも、そういうことは、直接語り合ったことがないかもしれない。長年一緒に居させてもらっていますけど、そもそもいつ歌詞を書いているんだろうっていう(笑)。あと、この歌詞はこっちで、この歌詞はこっちとか、その境をどうやって区切っているんだろうって。まあ、そのへんは、聞いても答えてくれないんじゃないかな。

ーーなるほど。

木梨:そう、秋元さんのまわりには、相変わらず、ホントにいろんな人たちがいるんですよ。いろんな世界の人たちがいて、その人たちに俺を会わせてくれるんです。こないだも秋元さんの会みたいなのに顔を出したら、俺の横の席が、加藤茶さんで。で、「憲武、最近何してんの?」って言うから「今、こんなことをやってるんですよ」って教えて。そしたら、「俺も仲間に入れてくれよ」って言うから、じゃあ、今度東京フィルと一緒にやるライブを観にきてくださいよって言って。で、くるんだったら出てくださいよってことで、オーケストラをバックに「ちょっとだけよ」をやってもらって(笑)。

ーーあ、そういう流れだったんですね。

木梨:そうなんです。「いい湯だな(ビバノン・ロック)」もやってもらって、もう最高だったんです(笑)。で、そのときに加藤さんといろいろ話したんですけど、「プロの陣営で音楽をやりながら、そこでどういうふうに遊んでいくかが、いちばん面白いんだよ」と言っていて。

ーー加藤さんも、もともとはザ・ドリフターズとして音楽をやっていたわけで……。

木梨:そうそう。加藤さんは、ドラマーでもあり……「そういうことを、俺も若い頃はやってたんだ」って。「だったら、今、こういうアイデアがあるんですよ」とか話していたら、秋元さんが「じゃあ今度、加藤さんの曲を、ふたりで歌えば?」とか提案してくれて。そうやって、秋元さんのまわりにいると、いろんなことがどんどん広がっていくから、すごく面白いんですよね。

ーーなるほど。

木梨:久しぶりに秋元さんと何か一緒にやってみたいなっていうのも含めて、まずその一回戦として、この「スキャンダルナイト」があって。他の歌詞も実はちょっとあったりするんだけど、それこそ、またとんねるずでやるときは「ガラガラヘビがやってくる」的な方向の曲も欲しいけど、今の時代の「一番偉い人へ」というか、60歳になった俺たちからのメッセージソングみたいなものもいいなって思っていて。秋元さんなら、きっとそういうものをスパッと書いてくれると思うので。

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