somunia、CIEL、花鋏キョウ……歌声にのせた純度の高いメッセージ 三者三様の表現力に注目のバーチャルシンガー
花鋏キョウ
Re:AcT所属のバーチャルシンガー。YouTubeへ動画投稿を開始したのは2018年で、それ以来積極的に活動を続けている。カバー動画の数は2022年5月現在70本以上にも及び、真摯に歌に向かう姿勢は彼女の魅力の一つだろう。彼女の歌声を一言で言い表すのなら、どんな曲でも歌えてしまう“マルチな歌声”だろうか。公式サイトの紹介にも「低音が魅力的な高い歌唱力を武器に様々なジャンルの曲を歌いこなす」とある。ハチの「砂の惑星」カバーでは原曲キーそのままで歌唱している。淡々と進行する特徴あるメロディにのせて歌う、細かい抑揚のついた低音は隅々まで堪能したいところ。4分近くある同曲を、飽きさせることなく聴かせる表現力を持っている。
オリジナル曲でおすすめしたいのは「Under」。誰かを愛する気持ちと生きる希望を星空に託す歌詞が綴られた楽曲だ。低音だけでなく、伸びやかなハイトーンボイスも彼女の持ち味であり、それが存分に発揮された一曲となっている。4カ月の活動休止を経て、2022年5月8日に開催されたライブでは新3Dモデルの披露も行った。迷いも恐れも飲み下して、次のステージへと繋いでいく彼女の強さは間違いなく本物だ。
バーチャルシンガーとして歌を届けることの利点は、本音を伝える難しさがぐっと下がる、ということだろう。現実の世界でうまく言葉にならなかった感情も、別の姿をまとえば正直に表現することができる。だからこそ、歌声にのせられる感情も純度の高いものになるのだろう。歌声に伝えたい「何か」を託して活動する彼女らの姿に惹かれてやまない。