=LOVE、『MUSIC BLOOD』出演で本格的ブレイクの波へ “イコラブ沼”を11人の個性と楽曲の良さから解説
これらのMVを惜しみなく制作しているチームの姿勢も賞賛したいポイントだが、何よりも楽曲の良さというのはイコラブ沼を語る上で重要な要素だろう。AKB48を通ってきたアイドルファンであれば誰もがストライクゾーンに入る「青春“サブリミナル”」のような王道路線から、「手遅れcaution」「ズルいよ ズルいね」といったメンバー個々の表現力が試される大人びた楽曲、さらに「Want you! Want you!」「ウィークエンドシトロン」といったナンバーではノリノリのラップにも挑戦し、クールな表情も見せられるように。念願の『Mステ』初出演で披露したのが、この「ウィークエンドシトロン」であり、「Want you! Want you!」から格段にパワーアップしたラップスキルを見せつける絶好の場となった。昨年12月にリリースとなった最新シングルの表題曲「The 5th」では、「僕らの制服クリスマス」から5年後のアフターストーリーを描くことで、メンバー11人の成長と5年前とは違った大人のクリスマスを表現することに成功している。
サウンドだけでなく、指原が綴る歌詞表現も他方で高く評価されている。デビュー曲「=LOVE」の〈僕のRebellion〉〈伝えたいんだMy ideal〉、また「手遅れcaution」ではタイトルそのものには秋元康を意識した表現方法が感じられたが、筆者が特に指原の才能が爆発していると思ったのは1stアルバム『全部、内緒。』のリード曲「桜の咲く音がした」だった。歌詞全体で一つの物語のような構成は「青春“サブリミナル”」にも通ずる部分だが、女性の繊細な好きという気持ちを桜の咲く様子に重ねた歌詞描写は、格段にその精度を増している。〈歩いてる 履きなれないローファー〉〈目と目が合った時/気まずくなったんだ/見てない携帯 スクロール〉〈クラスの女子に人気 ヘアオイル/いつもより温度高め ストレート〉といった指原独自の目線の歌詞は、きっと秋元康では書けないはずだ。
ほかにも、2019年に結成された姉妹グループ・≠MEとの差別化、合同コンサート『イコノイフェス』の開催、第3のグループ始動とさらなる沼は用意されているわけだが、『MUSIC BLOOD』をきっかけにまた多くの視聴者がイコラブ沼にハマっていくことは確実だ。