稲垣吾郎、『ほん怖』のスパイスとなるミステリアスな存在感 子どもたちと生み出す番組独自の魅力も
稲垣吾郎が出演する『ほんとにあった怖い話』(フジテレビ系)が、今週10月23日に土曜プレミアムにて21時より放送される。
通称『ほん怖』の愛称で親しまれている同番組が最初に放送されたのは、1999年夏のこと。その後、2004年より稲垣吾郎が登場し、子どもたちと共に『ほん怖クラブ』のリーダーとしてホスト役を務めるようになる。
毎週のレギュラー番組としてスタートした後、2011年からは8・9月に土曜プレミアム枠で放送され“夏の風物詩”としてのイメージが定着。その後、2019年には放送20周年を記念して10月に放送され新しい流れが生まれた。さらに、世界的なパンデミックにより「ステイホーム」が叫ばれた2020年もハロウィン(=10月31日)にオンエア。そして今年もこれまで同様、背中をゾゾッとさせてくれる内容で私たちを楽しませてくれるはずだ。
なぜこれほど『ほん怖』が長く愛されてきたのだろうか。その理由は、“怖さ”と“微笑ましさ”のバランスにあるように思う。“怖さ”の部分を担っているのは、もちろん毎回豪華な俳優陣が出演するオムニバスドラマ。“実際に誰かが経験したもの”という前提が、観終えた後もじわじわと“いつか自分の身にも降りかかるのではないか”という恐怖となって押し寄せる。
番組プロデューサーの後藤博幸のコメントによると、これまで制作されたオムニバスドラマの総本数は実に200本にも及ぶというから驚きだ(※1)。なかには「忘れたくても忘れられない」と多くの視聴者の記憶に残る名作もあるだろう。公式HPのバックナンバー(※2)を見ると、ベテラン俳優から旬の若手俳優、人気アイドルや注目の芸人といった錚々たるメンバーの名前が並ぶ。
今回も橋本環奈、山崎育三郎、与田祐希(乃木坂46)と楽しみな顔ぶれが揃った。なかでも事故物件に住んでしまうサラリーマンを演じた山崎は、自らの公式Twitterで「ほんとに怖いよ」「苦手な人は見なくていいよ」と煽るツイートをしており、よほどの恐怖が待っているのではないかと期待が高まる。
とはいえ、“怖さ”が際立つ番組は他にもたくさん存在する。そんななかで『ほん怖』ならではの魅力となっているのは、恐怖に包まれるオムニバスドラマの合間に映し出される、稲垣と『ほん怖クラブ』の子どもたちのホッとさせられる“微笑ましい”やりとりだ。
「はい、吾郎さん!」と子どもたちが張り切って怖い話の導入を担ったと思えば、あまりの怖さに頭を抱えてしまうような仕草を見せたり、コロナ禍以前は文字通り身を寄せ合って怖さに震える姿もかわいらしかった。そうしたリアクションに思わずクスッとしてしまうことで、恐怖をエンタメとして楽しめるちょうどいい温度感を感じる。
稲垣自身が取り乱す姿はほとんどないが、その安定感もまた視聴者としては安心できる要因のひとつ。「そんなときは!」と稲垣が始める「イワコデジマ イワコデジマ」のおまじないも、「マジで怖い」の逆さ読みというユニークさに気づけば、また頬が緩む。