『透命花火』インタビュー

PLOT SCRAPS 陶山良太、メジャーシーンに一石投じる“パンク精神” ありのままの自分でアートを作る理由とは?

 ボーカル&ギター、ベース、ドラムの3ピースでありながら、既存の楽曲フォーマットから逸脱しつつ、しかし極めてキャッチーなメロディでリスナーの意識にコミットしてくるバンド、PLOT SCRAPS。昨年は3rdミニアルバム『INVOKE』をリリースするも、コロナ禍によってライブ活動がストップ。だが、その中でも制作を続け、今年に入ってからは新機軸とも言える16ビートやシンセベースが印象的な「Telephone Box」を皮切りに、5カ月連続で新作を配信リリースし、現在のバンドの音楽性をビビッドに伝えてきた。

 まだまだバンド像も未知数な部分が多いが、ポピュラーな存在を志向しつつ、いい意味でリスナーを驚かせる真実を、歌詞やアレンジ、さらには楽曲の多彩さで表現するPLOT SCRAPSの真意とは一体何なのか。4th Digital Single『透命花火』のリリースタイミングで、全曲の作詞作曲を担当するバンドの頭脳・陶山良太(Vo& Gt)に聞いた。(石角友香)

ポップな場所で「驚かせてやろう」という気持ち

ーー改めて昨年を振り返ってみると、『INVOKE』はバンドにとってどういう作品になりましたか。

陶山良太(以下、陶山):バンドにとって、ラッキーなことに現在にもちゃんと通じるようなポップさを持った作品になったと思います。“ラッキーなことに”っていうのは、当時の実力とか考え方だと、やりたいことをやって、それが結果としていい方向に行くかはまた全然別だったからなんですけど。ただ、収録曲の「Teardrop」がサブスクで一番再生されていると思うと、ちょっとは引っかかりのある曲を作れたのかなって思います。ライブでも一番多くやっていますし、ああいう作品ができていなかったら、今はメンタル的にきっとキツかったと思いますね。

PLOT SCRAPS「Teardrop」Official Music Video

ーーPLOT SCRAPSの作品性って1stミニアルバム『Vital Signs』の頃から根本は同じだと思うんですけど、リアルタイムの社会と歩調を合わせている感じがします。

陶山:本当にそうだと思います。それ以前のデモCDだと、もっとめちゃくちゃな音楽もやったりしていて。(自分以外のメンバーは)2人とも素直な音を出すんですよね。これは楽器やる人にしかわからないかもしれないですけど、例えばドラムのフィルで、ちょっと濁った、ザッと流すような音になっている人って、「これはこういう感じでいいや」と思う内面と直結してるんだろうなと思って。そういう意味でいうと、2人とも本当にベーシックで素直ないい音を出してくれるので、そこは自分も似ているなと思ってます。

ーー初期はエクストリームポップとでも形容できるような音楽性でしたよね。凛として時雨のような要素も持ちつつメロディはポップで、何か違和感を与えたいという動機があるからこその展開を入れてるのかなと想像していたんですが。

陶山:凛として時雨はメンバーもみんな好きなんですけど、僕はそういうエクストリームなバンドよりも、完全どポップなフィールドでそれをやるから面白いって考える方なんですよね。時雨とかって、もうちょっとアート性が高いものなのかなと思います。だから僕らの方がある意味タチ悪いというか(笑)、ポップな場所で「驚かせてやろう」みたいな気持ちがあります。

ーー確かに聴き手も、エクストリームなバンドに対しては最初から驚く心構えがありますからね。

陶山:そうですよね。僕らは若い人だけじゃなくて、お父さん・お母さん世代とか、もっと上の年代の方にも聴いてもらいたくて。みんな一緒にポップなものを楽しんでるところに、自分の“いい意味での悪意”みたいなものが滲み出ている感じになればいいなと。音楽やり始めた時から、それが消えないんですよね。

PLOT SCRAPS「レーゾンデートル」Official Music Video

「明確に歌いたいことがあった」

ーー今年に入ってからの連続リリースも楽曲のカラーがはっきりしているじゃないですか。「Telephone Box」は今までやってないことをやってるけど、曲としてはキャッチーですよね。

陶山:同じカラーの曲をリリースするミュージシャンも多いじゃないですか。それに比べたら、僕らはリスナーをちょっと惑わせてるのかなとは思いますね。MVでもちょっとチルっぽい音楽だったら、ソファに座ってマイクを持って気怠く歌うとか、そういう表現の仕方が多いと思うんですけど、どうしても逆のものをぶつけたくなってしまって。「Telephone Box」のMVも、最初のアイデアではめちゃくちゃ暴れている予定だったんですけど。

ーーそうだったんですね。

陶山:「Telephone Box」が入っている1st EP『IRREVERSIBLE OK?』の4曲は、コロナ禍でまとめて書いて、まとめてレコーディングしたんですけど、「Telephone Box」を皮切りに曲が書けるようになった感じなんですよね。よりちゃんと伝わるように、漠然と自分の中で目指している境地があって、そこに近づけてるなと思います。

PLOT SCRAPS「Telephone Box」Official Music Video

ーー去年からコロナ禍という状況があるわけですけど、バンドやチームで考えた一つの方策が連続リリースだったんですか?

陶山:今こうしてリリースしてるのは、どちらかと言うと僕の個人的な思いに乗ってもらってるところが大きいですかね。昨年はメンバーにも僕個人にも、コロナ以外にもいろいろあって、その上ツアーもやれずに流れたりしたので、『INVOKE』のレコーディングが終わってから曲作りも全然進まないまま、気付いたら10月くらいになっちゃっていたんです。とはいえその間に本を読んだり、映像を見たり、いろいろやっていたんですけど、そうしたら、キャリアの中で今までやってきたことが、いい具合に勝手に頭の中でまとまったんですよ。それから急に曲が書けるようになりました。これからは自分が内包している多少偏ってる部分も、曲にぶち込もうと思っていて、そのためにこれまでの考えをまとめる時間があったんだなって思っています。初期にやっていた、びっくりさせるようなアレンジもやっていきたいっていう境地ですね。

ーーそして、連続リリースの最新曲「透命花火」ですが、大事な人の不在を強烈に思わせるような内容で。それこそ『Vital Signs』の頃から歌ってきたことの延長線上で、さらにストレートに歌ってるのかなと思いました。

陶山:本当に一番ストレートかもしれない。明確に歌いたいことがあったんですよね。コロナ禍で個人的にも嫌なニュースがいっぱい入ってきましたけど、生きる上で苦しむ必要のないことで苦しむのって、本当に良くないことだと思うんです。何とかならないものかなと。音楽でそれを何とかしてやろうっていう気持ちが先行してたわけじゃないんですけど、ふとした時にハッと思い返してもらう音楽にできたらなという感じですね。

ーー今の世の中って、悩むことがデフォルトみたいになってきていますよね。

陶山:そうですよね。でも本当はみんな、他に悩まなきゃいけないこと、ちゃんと向き合わなきゃいけないことがあると思うんです。もっとバッサリ切り捨てていいことに対して、いちいち関与してる時間はないと思っていて。人生、楽しいことをやり切ろうと思ったらあまりにも短いし。そういうところから出てきた曲です。

ーー〈死なないで〉という呼びかけの繰り返しもストレートですよね。

陶山:ストレートにしたかったんですよね。でも、この部分を聴いてシリアスに受け止めるんじゃなくて、「なんか凝り固まってたかもな」と思って、ハッとしてもらえたら嬉しいです。

PLOT SCRAPS「透命花火」Official Music Video

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