“日プ”で広まる応援広告、日本で根付くのはなぜ難しい? 弁護士に聞いた

『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2 FAN BOOK』
『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2 FAN BOOK』

 韓国発サバイバルオーディション番組『PRODUCE 101』シリーズとして日本で開催され、6月13日に幕を下ろした『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』。同番組では、国民プロデューサーと呼ばれる視聴者の投票結果を受けてデビューする11人を決めるというシステムがとられている。配信中、都内の駅などで練習生への投票を呼びかける広告を見かけた人も多いのではないだろうか。これは“応援広告”と呼ばれるものの一種で、前シーズンから引き続き国民プロデューサーは運営事務局が公開している条件さえ守れば広告を掲出することができる。条件と言ってもさほど厳しくはなく、誹謗中傷をしないなど最低限のルールを守って公式が提供する素材を使用し、事前に概要を連絡していれば基本的には問題ないようだ。

 元々ファンによる広告というのは“応援広告”や“センイル(誕生日)広告”として韓国で広まった文化で、韓国では公式提供の写真だけでなく、空港でマスターが撮った写真が使われる場合もあるが、タレント側が黙認しているケースも少なくない。日本では今年4月に日韓合同グローバルオーディションプロジェクト『Nizi Project』より誕生したグループ・NiziUのメンバーMAKOの誕生日を祝う広告が新宿のユニカビジョンに掲出されたことがあったが、『PRODUCE 101 JAPAN』シリーズ開始から2年経っても、同シリーズ以外でこうした広告を見かけることはまだまだ少ない。著作権や肖像権の問題もあり、日本に根付くには難しい文化なのだろうか。エンターテインメント業界に詳しい弁護士の小杉俊介氏に話を聞いた。

「広告を出すという行為自体は、広告主と広告会社、広告を出すスペース側の契約の問題で、基本は自由と言えます。法的な問題は“写真を使えるのか?”という部分に尽きるでしょう。『PRODUCE 101 JAPAN』の広告の場合、写真の権利を持っている側(運営)が公認し、提供している素材なので問題ないですが、韓国などで公式から提供されたものではない写真を広告に使っている場合、写真の著作権者であるカメラマンと、被写体であり肖像権・パブリシティ権を有するタレント側が黙認しているのだと思います。現状日本では、幅広く写真の使用を黙認する文化はないので、そこの違いでしょう」

 では、もし許諾を得ず写真を使用して広告を掲出した場合、どんな点が問題になるのだろうか。

「権利者の対応次第なので、あくまで仮定の話になります。例えば過去、ジャニーズの隠し撮り写真本に関する裁判では、絶版にして回収するところまで認められましたが、そこまで求められるのか、それとも広告を出す側はお金を儲けているわけではないのでそこまでは求められないのか。そこはなんとも言えないところですが、広告会社と交わす契約には通常であれば『誰かの権利を侵害しないことを保証する』といった文言が入るはずです。例えばタレント側から『広告を取り下げてください』と言われて、その結果として広告会社に損害が生じたら契約の条項を盾に損害賠償を求められる可能性もあります」

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