西野カナ、サブスク全曲解禁でバイラルチャート席巻 一時代を築いた楽曲群から見る“多彩な女性像”

 楽曲の幅を広げていったこの時期の作品で特に出色なのが、バイラルチャート6位にランクインしている14枚目のシングル曲「Esperanza」。スパニッシュサウンドをフィーチャーした、キャリア中期のヒット曲だ。スパニッシュギターやクラップによる本格的なラテンサウンドと西野カナの力強く情熱的なボーカルの組み合わせが新鮮に響く。歌詞に目を向けても「会いたくて 会いたくて」の〈会いたくて 会いたくて 震える〉というラインに代表される“弱気な女性”のイメージが強かった西野カナだが、「Esperanza」では〈君への想いを / 焦がしてく太陽/胸の高鳴りを止めないでいたいの〉と情熱的でアグレッシブな女性像が映し出されている。熱っぽいサウンドと積極的で強さのにじむ詩世界が共鳴し、これまでにない強気な西野カナの一面が垣間見える一曲だ。その他の代表曲と毛色の異なる本楽曲がしっかり6位にランクインしていることにファン層の広さを再実感する。

西野カナ 『Esperanza (short ver.)』

 今週のバイラルチャートの状況を考えると西野カナの再始動を待ち望んでいるリスナーは少なくないはずだ。ケータイ時代の歌姫と呼ばれた彼女が、サブスク時代の歌姫へとアップデートされることを期待したい。

■Z11
1990年生まれ、東京/清澄白河在住の音楽ライター。
一般企業に勤務しながら執筆活動中。音楽だけにとどまらず映画、書籍、アートなどカルチャー全般についてTwitterで発信。ブリの照り焼きを作らせたら右に出る者はいない。
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