『This is Youth』インタビュー
LONGMANが体現する“好きなことを続ける素晴らしさ” 「音楽やってる以上はずっと青春」
昨年のメジャー1stアルバム『Just A Boy』以来1年3カ月ぶりとなるLONGMANのミニアルバム『This is Youth』。さわ(Ba/Vo)の喉の不調による活動休止を経てメジャーデビューを果たしたと思いきや、その直後にコロナ禍でライブ活動を止めざるを得なくなる……と、紆余曲折の道のりを行く彼らだが、そんな中でも3人は前を向き、ひたすら自分たちの武器を磨き続けてきた。アッパーで明るいパンクチューンも、新たな挑戦を織り込んだバラードも、そしてアイデアをふんだんに盛り込んだ新機軸もあり、バンドの成長を物語る全7曲だ。
それにしても素晴らしいのは『This is Youth』というタイトルである。ロックバンドやパンクバンドには枕詞のようについて回る「青春」という言葉を、なぜ今彼らは作品の名前に冠したのか。大人になっても続く青春を爆音とともにひた走るLONGMANの姿に、今こそ勇気づけられる人は多いはずだ。(小川智宏)
【オリジナル動画】LONGMAN、初めて見たライブの思い出
「ライブができん期間をどうやったらプラスにできるか」
ーー去年メジャー1stアルバムを出して、ツアー行くぞっていうところで突然ライブができなくなってしまったわけじゃないですか。当時の率直な気持ちとしてはどうだったんですか。
ひらい(Gt/Vo):タイミング的に「今か......」っていうのはもちろんあったんですけど、なんせ理由がデカすぎて。国難でしたから、そこはもう仕方ないと割り切ってましたね。今できることをしようって。
さわ(Ba/Vo):あとは、それより前に私が歌えなくなって活動休止したことがあったんで……。
ほりほり(Dr):そうですね、免疫が(笑)。
さわ:そう、思うように活動できないことに対して免疫がついたんで、気持ち的にはすぐに切り替えはできました。こうなってしまったけど、じゃあこのライブができん期間をどうやったら未来に向けてプラスにできるかっていう考え方にすぐシフトできたかなって思います。
ひらい:結局音楽が趣味なので、それができている以上は大丈夫でした。音楽より面白いものをまだ見つけてないですからね。
ーーじゃあ、ライブの自粛期間はひたすら曲作りをしていた感じなんですね。
ひらい:ひたすらそうですね。あとはアマガエルを捕まえてきて……。
ーーアマガエル?
ひらい:家の前に田んぼがあるんですけど、アマガエルを捕まえてきて。カエル眺めるか、曲作るか。
さわ:たまに動画が送られてくるんですよ、カエルの(笑)。 鳴きよるところとか。
ーーいい生活じゃないですか。
ひらい:うん、充実してた(笑)。
ーーさわさんはどういうふうに過ごしてました?
さわ:曲に関してはひらいさんがやってくれていたんで、私は今までと違う方向でアプローチしようと。この期間、どうやったらLONGMANをみんなの記憶から薄れることなく保てるかって考えて、4コマ漫画(『紆余曲折!LONGMAN物語』)を描き始めました。
ーー今回の早期予約特典で本もつくということで。
さわ:そうなんですよ。その原画をひらいさんが描いてくれて。
ひらい:僕らは曲を作れるけど、お客さんに対して申し訳ないなと思って。ライブなくなっちゃったし、エンタメとして何か発信はしていたいなっていうのもあって思いついたのが漫画でした。
さわ:ライブをやってない期間にも、LONGMANに出会ってくれた人たちはいてくれてるんで、その人にもLONGMANのことを1から知ってもらえたらいいのかなって。本当にノンフィクションでやってるんで。
ーーほりほりさんは?
ほりほり:僕は新しいことは始めてないんですけど、時間があったんでたくさん練習できました。自分が今まで触れてこなかったジャンルやドラムのフレーズを聴いて引き出しを広げたり、あとはドラムスクールに通ったりしているんですけど、そこの先生とも本当に基礎の部分からやっていこうって話をして。それでずっと基礎練習しながら、引き出しを広げる作業をしていました。聴いてくれた人の反応を見る限り、結構良くなったんじゃないかと思います。
ーーのっけからリズムがビシバシくるなっていうのは聴いてて感じますね。
ひらい:うん、いいですよね。
ほりほり:励みになります(笑)。
「気に入った曲には“課金”したくなる」
ーーライブができないという状況の中でも、それぞれ前を向いて過ごしていたわけですね。そんな中でひらいさんは曲をどんどん作っていったわけですか。
ひらい:そうですね、25曲ぐらい作りました。最初はLONGMANっぽいかどうかもそこまで意識せず、本当に自分がやりたい曲をどんどん作っていこうと思ってましたね。締め切りもないといえばなかったので、本当に伸び伸びとしたいことをやれましたね。
さわ:私はひらいさんから曲が送られてくるたびに、早くライブしたいなと思っていました。余計にウズウズして、それが原動力になってましたね。
ーーほりほりさんは?
ほりほり:ひらいさんがDTMでドラムの打ち込みが入ってる状態で送ってくれるんですけど、そのドラムが結構うまいんですよね。
ひらい:そりゃ、機械やからな(笑)。
ほりほり:しかもラフなやつじゃなくて、フィルの一つひとつまで作り込んだ状態で。
ーー結構作り込んでたんですね。
ひらい:わりと完璧主義なもんで、やっちゃいますね。
ほりほり:それが結構プレッシャーだった(笑)。なので、逆にそれを再現してあげたいなと思って。これちょっと叩けなさそうやなっていうやつも、スクールの先生に「こういうフィルはどうしたらいいですか?」って聞いたりして。練習の課題みたいな感じでしたね。
ひらい:お互いのいい部分が出せたよね。僕の素人的なドラム......素人だからこそ面白かったりするんですけど、そういう音とほりほりのプロとしてのドラムの、いいハイブリッド感が今回出せたんじゃないかなと思います。
ーーベースも同じような感じだったんですか?
さわ:いや、ベースは本当に「もうちょっと興味持ってくれ」って思うくらい......(笑)。私の自由にさせてもらいました。
ほりほり:デモにはベース入ってないんやっけ?
ひらい:入っとるよ。全部ルートだけど。ベースは正直わかんないんですよね(笑)。あと、さわはやっぱり歌うから、あんまり俺が作り込んで歌いづらくなっちゃうのも申し訳ないので、そこはやっぱり任せようっていうことですよ(笑)。
ーーそうやって作っていった曲をまとめていくときに、何かイメージのようなものはありましたか?
ひらい:テーマみたいなものはなかったですけど……やっぱり日々が本当に重たかったので、それをひっくり返せる1枚にしたいなっていうのはありました。音楽である以上、元気出るものではありたいと思っていたので、そういうのは自然と入ってるのかなって思います。
ーー印象的なのはミディアムテンポが新鮮な「HUG」ですが、この曲はどういう成り立ちで作られたんですか?
ひらい:バラード曲も作ってみたいなって。いっぱい曲を作っていく中で、ゆっくりの曲も作りたいと思って作りました。
さわ:私、デモが送られてきた段階で「HUG」を気に入りすぎて。たぶん一番気に入って聴いた曲なんですよ。私、漫画とかアニメとかもそうなんですけど、気に入ったり好きと思ったものに対しては、課金をしたくなるんです。
ーー課金?
さわ:はい、課金して作者の方々に恩返しじゃないですけど、ありがとうみたいな気持ちを伝えたくなるタイプなんですけど……それをしました。
ーーつまり、課金したんですか。ひらいさんに?
ひらい:それでRed Bullをおごっていただいて(笑)。おごってくれたこと自体よりも、曲が良くておごってくれたっていう行為が嬉しかった。そんなに良かったんやって。
さわ:今までは聴いてる人に一緒に寄り添ってくれるイメージの曲が多かったんですけど、「HUG」は一緒に寄り添うんじゃなくて、いいところも悪いところも全部まるっと優しさで包み込んでくれるような印象を感じて。それが好きだなと思いました。自分もそうされたいっていうふうに思ったんですよね。