曲が広がらないことへのストレス感じたコロナ禍

ーー確かにこの2年間という時間は大きいですよね。今回の歌詞を読み返したときにどういう自分が出ていると思います？

有明：結構後ろ向きかなと思いますね。前を向きたいけど、ネガティブなところが消えてない曲たちだなと。唯一めっちゃ前を向いてるのが「ふたりのせかい」かもしれない。それも良くない環境の中で前を向いているっていう内容なので、明るい曲ではないんですけど。

ーー確かに「Flyaway!」とか、曲はすごくポップだけど、歌詞だけ読むとネガティブというか、結構ヘヴィな状況を歌っていますしね。

有明：歌詞こそ確かに暗いかもしれないんですけど、暗いって言われるまでそんなに暗い歌詞だなって思ってなかったんです。「みんな考え方は違うけど、結末って1個しかなくない？」みたいなことがただ言いたかっただけなんですよね。最初の方はサウンドも暗めだけど、サビで急に明るくなる。開き直ってる感じにしようかなと思って作ってました。

ーー自分ではあまり暗いと思ってなかったというのはポイントですよね。「つまらない」とかも、ただ尖って中指突き立ててるだけじゃなくて、そこからどう前に進むかっていうことを歌っているように思うし。

有明：そうですね。ただ尖ってる感じでもない。自分の悪い部分とかを見つつ、でも期待もしてるし、ちょっと葛藤しているみたいな感じの曲で。別に「みんな死ね」って感じでやってるわけではないです。

ーー三浦さんの書いた「熱帯夜」もそうですけど、今までもレイラは孤独さだったり、ちょっと寂しい感情をたくさん歌ってきたと思うんです。でも今回はそこに対してすごく肯定的というか、そういう感情をちゃんと受け止めるだけの何か力強さがあるような気がして、それが音にも歌詞にも表れてるなと。それが有明さんの言った「大人になった」ってことなのかもしれないですけど、それが今までの作品とのいちばんの違いなのかなと。

有明：そうですね。本当にそう思います。

ーーコロナも大きいと思いますけど、そのなかでバンドをやるとか、音楽をやるっていうことに対する気持ちも変わってきたんじゃないですか？

有明：うん……曲を出せないっていうのはすごくつらいなって思いました。何かやる意味、ライブとかもそうなんですけど、曲を作っても誰にも出さないって、やりがいには繋がらないというか。

三浦：広がらないことのストレス。わかってたけど、改めて感じたというか。

有明：だから、出せるってなったらやる気みなぎっちゃったよね。頑張ろうって。

ーーライブができないなかでも、バンドでスタジオに入ったり、コミュニケーションは活発にとっていたんですか？

有明：でも減りました。会う回数、なんなら1カ月何もないときとかもあって。

三浦：あんまりスタジオで曲詰める感じでもないんで、ライブがないとリハしないんですよね。

牧野：バンド活動をあんまりガツガツしなくなって、漠然とですけど、バンド以外にも見えることってあるなって思いました。前はバンドだけでしたけど、いい意味で、ちょっと冷静になったいうか。あと、暇だなって思います（笑）。

ーーすわさんはいかがですか？

すわ：最初の方はライブできない、活動できないっていうのがストレスだったんですけど、いろいろインプットするいい機会だなって思うようになって。ただ、いろいろインプットして自分なりに噛み砕いても、それをアウトプットする場がないので、それはなんかなあと思ってましたね。だから、動けるようになった時には開放感を感じて今まで以上楽しくやれました。

ーーうん。コロナ禍はもちろんいいことではないけど、そのなかで新しい視点とか、新しい考えを取り入れていったっていうのはすごく大きいことですよね。気持ち新たにバンドにも向き合えているんじゃないですか？

有明：もう上に行こうって感じです。停滞しているのって楽しくないんですよ。だから、どんどん高みを目指そうと思いました。これをきっかけに。

三浦：すごい前にバンドの地元の先輩に言われたことがあったんですよ。バンドをやってるっていうのは特別なことで、大学行って就職してっていう道とは違う道を行ってるのに、そのバンドマンの中の普通の行動をしちゃってるんじゃないかって。ライブができない期間にそれを考えてたんです。今まで、CD作って、ツアー回って、最後にはワンマンやるっていう流れに依存してたんじゃないかって。そういうのも噛み締めた上で、これから新鮮な気持ちでやれるんじゃないかなと思ってます。

すわ：うん。バンド続けていきたい。音楽続けていきたいという気持ちが、1回止まりかけてたからこそ余計湧いてきて。そのためにも、有明が言ったようにもっと上行きたいなって思いますね。

ーー牧野さんは？

牧野：僕はあんまり売れたいなって思ってなかったんです。それこそコロナで自粛している間はそう思ってた。自分たちがリリースできてない中で、同年代のバンドがリリースしたりMV出したりという動きをしているなかで自分たちはできていないっていうので、ひねくれてヘイトが溜まってしまって。売れなくても自分がかっこいいと思う音楽をやって、それなりに続けられるのがいいんじゃないかと思ってたんです。でも「Happy end」とかを最初にもらったとき「これ売れたわ」って思えたんですよね（笑）。最近はまた自信が出てきて、ちゃんと売れたいなって思うようになりましたね。

ーーうん。レイラって、それなりに……というと失礼ですけど、評価されつつここまで来たじゃないですか。その見られかたやポジションについては、今どういうふうに考えてます？

有明：レイラってまだまだ知られてはないと思うんですけど、前までは「バンド好きな人はもうみんな知ってるじゃん」って言われてたんです。その上で好きな人と嫌いな人がいるっていう状態になってて、だからもうこれ以上上には行けないよって。それに対して「確かにな」と思ってたんですけど、今はそんなのはもうどうでもいいと思ってて。知らない人のほうが多いんだから、そっちに向けてやっていこうって思うようになりました。

ーーそんな心無いことを言う人がいるんですね。でもそうだよなって思っちゃった自分がいたんですよね。

有明：そうなんですよね。でも、そんなしょうもないことをうじうじ考えても違うな、先をみようって感じで広い視野を持って頑張れてます。

ーーわかりました。では最後に、牧野さんから一言いただいて終わりにしたいと思います。

牧野：これ、めっちゃいいこと言わなきゃダメじゃん。

ーーうん。

牧野：絶対CDを買いたくなるキャッチフレーズがあるんですけど……、5月26日リリース、レイラの2ndミニアルバム『World』、めっちゃエロいっす！

有明：あははははははは！

ーーそんな笑う？（笑）

牧野ウスシオ：おまえだけ優しいな。

有明：唯一、私だけ笑っちゃうんですよ、彼の言うくだらないことに。世界一おもしろいと思って（笑）。

ーー大事にしなよ（笑）。

牧野：そうですね（笑）。でも、レイラが「バンド」っていう固定概念みたいな見られ方をされてるなら、それをめちゃくちゃ払拭したいっていうのはアレだけど……もっと広く見てもらいたいなっていう思いがあります。今回はそういうことができる1枚なんじゃないかなと思います……聴いてください、『World』。

■リリース情報
『World』
5月26日（水）
CD/Digital（CDはタワーレコード限定販売）
2,200円（税込）
＜トラックリスト＞
1.ふたりのせかい
2.feedback
3.つまらない
4.Happy end
5.熱帯夜
6.Flyaway!
7.愛や夢でも
8.いらない

配信はこちら

レイラ公式HP