悠木碧が声優業で培った七色の声とテクニックとは? 唯一無二たらしめる、これまでの歩み
『僕のヒーローアカデミア』シリーズの蛙吹梅雨、『七つの大罪』シリーズのディアンヌ、『ポケットモンスター』シリーズのアイリス、『鬼滅の刃』の黒髪など、人気作品に数多く出演する声優・悠木碧。放送中の『蜘蛛ですが、なにか?』や『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』(共にTOKYO MXほか)ではそれぞれ主人公を演じ、主題歌も担当するなど活動も多岐にわたる。個性的な役柄はお任せあれ、ひと癖ある歌もどんと来い。唯一無二の声で縦横無尽に活躍する、悠木碧の魅力とは。
『戦姫絶唱シンフォギア』と「バナナチョモランマの乱」で開花
子役として4歳からキャリアをスタートさせた悠木。『あっぱれさんま大先生』(フジテレビ系)などにレギュラー出演し、くったくのない笑顔と共に大人顔負けのトークを披露していた。声優デビューは、2003年の『キノの旅 -the Beautiful World-』(WOWOW)で、初の主人公役は『夢色パティシエール』(読売テレビ・日本テレビ系)の天野いちご役。以降は『あにゃまる探偵 キルミンずぅ』(テレビ東京ほか)の御子神リコ、『ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド』(AT-Xほか)のミナ・ツェペッシュ、『百花繚乱 サムライガールズ』(テレビ東京系)の柳生十兵衛三厳などを演じ、2011年の『魔法少女まどか☆マギカ』(毎日放送ほか)での鹿目まどかが出世役となった。
『魔法少女まどか☆マギカ』は、かわいらしい絵のタッチやタイトルのイメージとは裏腹のシリアスなストーリーが話題となり、アニメ史に残る名作となった。悩みながらも使命に目覚めていく主人公のまどかを、悠木は見事に演じ切りその名を知らしめた。また『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズの主人公・立花響役は、彼女が音楽活動を行う上での試金石となった。
『戦姫絶唱シンフォギア』は、歌うことで戦闘力を高めるシンフォギア装者が敵と戦うストーリーで、歌いながらも「とりゃ〜!」「うわ〜」などといった声の演技も入る、過酷なアフレコだったという。キャストは悠木のほかに、水樹奈々、高垣彩陽、日笠陽子、南條愛乃など音楽活動を行っている声優が勢揃いした。それ以前にも『Aチャンネル』(TBS系)や『GOSICK -ゴシック-』(テレビ東京系)などでキャラクターソングを歌ってきた悠木だが、これら声優と歌の両面においてたちに囲まれたことでより歌により磨きがかかっていった。
ソロアーティストとしては、2012年にミニアルバム『プティパ』でフライングドッグからデビュー。DECO*27、bermei.inazawaなど多彩なクリエイター陣を制作に迎え、おとぎ話的なモチーフを元に楽曲を制作。その後も3枚のミニアルバムとフルアルバム『イシュメル』などをリリース。2017年には日本コロムビアに移籍し、2019年にアルバム『ボイスサンプル』を発表。特に、同作に収録された「バナナチョモランマの乱」は、彼女のソロ楽曲の中でも異色の存在で、歌詞はもちろん、メインボーカル、多種多彩なコーラストラック(合いの手、ガヤ)をすべて悠木自身が担当。悠木の多彩な声が詰まっており、現在の音楽活動におけるスタイルの原点的なものになった。
また、竹達彩奈と結成したユニット、petit miladyとしても活動し、2013年にシングル『鏡のデュアル・イズム/100%サイダーガール』でデビュー。12カ月、童話、ロックなど作品ごとにテーマの異なる5枚のアルバムを発表した。さらに、アイドル的な人気を誇った同ユニットは、ラジオ番組を持ち、アニソンの祭典『Animelo Summer Live』にも2019年まで5回出演している。