『JAPAN ONLINE FESTIVAL』二度目の開催に感じた「文脈」と「進化」

『JONF』で感じた文脈と進化

 ロッキング・オンによるフェスといえば、非日常の空間へと誘う煌びやかな装飾が欠かせない。特にCGを用いた装飾、映像は近年のロッキング・オンのフェスには絶対的な存在だろう。例えば、ライブ開始直前にステージ横のビジョンに映し出される「next artist」映像などはまさに、ライブの始まりを盛り上げるフェスの風物詩だ。そんなロッキング・オンの映像によるフェス演出は『JAPAN ONLINE FESTIVAL』でも健在。上記したパフォーマンス時のLEDビジョンだけでなく、各開催日の配信開始前の待機映像や配信開始を飾るオープニング映像、各アーティストのライブ開始を知らせるテキストアニメーションなど、実に豊富な映像演出が各所に配置されていた。CGアニメーションによるフェスの装飾はロッキング・オン主催フェスの「文脈」を継承するものであると共に、前回11月の第1回開催時からの「進化」も感じさせるものであった。

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 この『JAPAN ONLINE FESTIVAL』は事前収録を公言している数少ない配信フェスだ。前回はSNSを活用した一部アクトの先行配信やライブ配信中の演者のリアルタイムツイートなど、事前収録の強みを生かした新たなフェス体験を創り出した。今回はTwitterだけでなくYouTubeでもライブ映像の一部を先行公開。フェス当日へ向けてオーディエンスの期待を煽るだけでなく、実際に配信される模様の一部を見た上でチケットが購入できるというユーザーにとっても有意義な施策となった。

 さらに今回は同じYouTubeチャンネルでMCのROCKIN'ON JAPAN総編集長・山崎洋一郎とFM802のラジオDJ・飯室大吾による各アーティストの見どころ解説も配信。実際のライブを見た2人によるアーティストへの愛情と造詣の深い解説は、ライブ当日への期待を一層高めると共に、メディアとしての配信フェスという側面をより強める機能を果たした。

【キュウソネコカミ】JAPAN ONLINE FES. 4/11(日)出演! MC2人が見どころを解説!!

 ここまで記してきた通り、今回の『JAPAN ONLINE FESTIVAL 2021 Spring』は他のロッキング・オンの主催フェスの「文脈」を継承しつつ、前回同様にオンラインフェスならでは、そしてこの『JAPAN ONLINE FESTIVAL』ならではの表現を追求し「進化」させたフェスとなった。その進化の大きな軸には映像やビジュアルがあり、メディアとしての配信フェスとしての在り方を提示するようなフェスとなっていたことが印象深い。今後もこの『JAPAN ONLINE FESTIVAL』は独自の進化を歩み続ける配信フェスとして益々進化を続けることだろう。その次なる姿を楽しみに待ちたい。また今春にはロッキング・オンとしては実に1年半振りとなる有観客フェス『JAPAN JAM 2021』の開催も予定されている。コロナ禍という特別な状況でのフェスを、果たしてロッキング・オンはどう創り出すのか。注目したい。

■ふじもと
1994年生まれ、愛知県在住のカルチャーライター。ブログ「Hello,CULTURE」でポップスとロックを中心としたコラム、ライブレポ、ディスクレビュー等を執筆。
ブログ:https://fujimon-sas.hatenadiary.jp/
Twitter:https://twitter.com/fujimon_music

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