『IT’S ALL ME - Vol.2』インタビュー
AI、“ピースでありたい”という願い 海外アーティストとの制作秘話やAwichとのコラボも語る
「Awichとの出会い・共演はものすごく感動的だった」
ーーMatt CabさんとToma Love Childさんと共に作られた「HOPE」は未来に向けた希望をストレートにメッセージするナンバーです。1月30日に行われた『deleteC 2021 -HOPE-』のオンラインイベントでは、AIさんもアンバサダーとして登場し、この曲を披露されていましたね。
AI:この曲は1番だけ、けっこう前に作っていたんですよ。当時、私は妊婦だったので、生まれてくる子供のことも含め、世の中のいろいろなことをじっくり考えるようになっていて。そこで出てきたのが“HOPE”というテーマだったんです。やっぱり“HOPE”がないと不安な世の中ですからね。で、そこでできたものは一旦ストックにしてあったんだけど、コロナが流行り出した時期にうちのマネージャーがこの曲を引っ張り出してきて、「最近、何回も聴いてるんだけど、この曲すごくいいんだよね。リリースしようよ」と言ってきたんです。そこから2番を作っていった感じなんですけど、そのタイミングで『deleteC』のこともあったから、そこへの思いも歌詞に込めたりしたところはありました。
ーーそういった生い立ちのある曲だから、今の世界の状況にマッチしたメッセージソングになっているんですね。
AI:そうなりましたね。私は自分の作った曲たちはどれもかわいいから、いつ出そうって言われても全然OKではあるんだけど、でもこの曲は出すべきタイミングに出せることができた実感がありますね。言っちゃえば「Not So Different」もそうやって世に出ることになった感じではあるんですけど。
ーー「Not So Different」は、「人はみな、違いはない」「世界中に愛を分かち合う時代」というグローバルなメッセージを投げかける、本作における最重要楽曲だと思います。
AI:この曲も2019年の夏ごろにはできていた曲で。LAのプロデューサーであるスコット・トーチと一緒に、東京オリンピックを強く意識して作ったんですよね。海外から日本にやってきた人たちがみんな仲良くなれる曲にしたいっていう思いで。でも、これをリリースすることになったきっかけは、“Black Lives Matter”やコロナをはじめとする世界の様々な出来事だったんですよ。これもまたストックだった曲を、世界の動きによって引きずり出してもらった感じなんですよね。
ーー曲に込めた思いに対し、世の中の流れが新たな意味を与えてくれたということですよね。しかもこの曲はAwichさんをフィーチャーしたリミックスが作られたことで、よりメッセージがリアルで鮮烈なものになった印象もあります。
AI:はい。私なりに世の中に言いたいことを詰め込んで作りましたけど、それじゃまだ足りないパワーみたいなものをAwichさんがものすごく足してくれました。彼女との出会い、そして曲を通して共演できたことはものすごく感動的な出来事でしたね。初めて一緒にスタジオに入ったときなんかは、彼女の書いた歌詞に涙が出そうになっちゃって。
ーーものすごく強いストーリーを持った方ですからね。
AI:そうですね。ただ、これまでのストーリーだけではなく、彼女は今をどう生きるか、そしてここから何をしていくのかみたいなこともものすごく考えているし、それをしっかり表現してもいるんです。だからこそ彼女の歌には感動があるんですよ。私とは初めてのコラボレーションでしたけど、歌詞にはプライベートなことまで書いてくれましたからね。彼女ほど何事にも恐れずチャレンジをして、でもしっかり自分にしかない心を持っている人ってなかなかいないと思います。
ーーリミックスのMVではAIさんとAwichさんが抱き合うようなシーンもあったりして。お二人が高い次元で共鳴し合っていることが伝わってきて、見ているこちらも感動しました。
AI:撮影の合間にもいろんなことをしゃべったんですけど、彼女のことを知れば知るほど好きになっちゃうんですよ。しかも、そこでプライベートなことを聞いた上でまた撮影に戻ると、この曲の中に私たちはいるんだなってものすごく実感できたんですよね。なんか上手く表現できないですけど(笑)、本当に素敵な気持ちになれる時間でした。
ーーAwichさんとともに、「Not So Different」はテレビでもパフォーマンスされましたよね。強いメッセージを持つこの曲が地上波に乗ったことは本当に大きな意味があることだと思いましたが、いかがですか。
AI:テレビではなかなかこういう曲って歌わせてもらいづらいんですよ。それ自体が偏見みたいなものなんだけど(笑)、でもそう判断せざるを得ないのもすごくわかる。だからこれを歌わせていただけたのは、本当にありがたかったですね。
ーー〈銃〉とか鋭いワードが使われているからちょっとインパクトがありますけど、最終的に伝えられるのはものすごく普遍的なメッセージですからね。
AI:そうそう。世の中で起きていることに対して、自分に感じるものがあるのならそれはやっぱり言うべきだと思うんですよ。そこを濁してもウソっぽくなってしまうし。せっかく歌として届けることができるならば、私はしっかりメッセージにしたいんですよね。だってね、別に変なこと書いてないでしょ。よく聴いてもらえば、ほんとにポジティブなことしか歌ってないですから。
ーー今回のリリースによって、さらにたくさんの人に響くといいですよね。
AI:そうですね。私はただハッピーなことを歌う曲も作ったりするし、そういう曲も必要だとは思うんですよ。でも、ずっとそればっかりだと、そこで歌っていることを信じられなくなってしまうんです。だって「ハッピーハッピー言ってるけど、こっちはハッピーじゃねぇんだよ!」って場合もあるじゃないですか。私もそういうときって実際にあるし。だから作る曲のタイプでバランスを取っているところはあるんだと思います。前作には「ギフト」とか「僕らを待つ場所」のようにちょっとキラキラした雰囲気の曲が入ってましたけど、今回はウエストコースト寄りのサウンドを持つ「Not So Different」みたいな曲が入っているっていうのが、自分にとっていいバランス、いい流れなんでしょうね。そこを行ったり来たりする繰り返しなんだと思います、私の音楽活動は。
ーー延期されていたライブもついにスタートしています。ここからはどう活動していきたいですか?
AI:コロナはまだまだまだ大変な時期が続くので、安全対策はしっかりしていかないといけないですけど、私たちはもうとにかくやる気満々になってます(笑)。なので、まずはライブを楽しみたいですね。たぶん会場でみなさんに会えたら、きっと感動して泣いちゃうと思うなあ。で、制作も引き続きやっていますので、そこも楽しみにしてもらえたら嬉しいですね。ストックに関して言えば、「IT’S ALL ME」があと2枚出せちゃうくらいはすでにあったりして。まあそれもね、どういう形になるかわからないけど、いつかお届けできる日が来るんじゃないかなって思ってはいます。今回の曲たちがそうだったように、出すべきタイミングが来るかもしれないので、それを楽しみにしたいですね。
■リリース情報
AI『IT’S ALL ME - Vol.2』
2021年2月24日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD)¥2,000+税
通常盤(CD)¥1,600+税
<CD内容>
1.Not So Different
2.JUMP
3.Off You
4.Expectations
5.HOPE
6.Not So Different Remix feat. Awich
<初回限定盤特典DVD収録内容>
・Not So Different(MV)
・Not So Different(Extended Behind the Scenes)
・ギフト(MV)
・ギフト(Extended Behind the Scenes)
・Kokoro feat. Jenn Morel, Joelii(Lyric Video)