新世代SSW・トラックメイカー、“音楽かいと”とは何者か 高校卒業目前に語る、ルーツから目指すアーティスト像まで

新世代SSW・トラックメイカー、“音楽かいと”とは何者か 高校卒業目前に語る、ルーツから目指すアーティスト像まで

 大阪在住の高校3年生のシンガーソングライターで、トラックメイキングからミックスまで手がける新世代アーティスト、音楽かいと。昨年、ビクターエンタテインメントの新レーベル<CONNECTUNE>からアルバム『僕は音楽に照らされて』でデビューを果たし、約1年後となる今年2月17日にEP『君は音楽で泣いた』をリリースした。

 すでに話題のシンガー・三阪咲に楽曲提供(「ヒラヒラ」)するなど、ティーン層から注目を集めている音楽かいと。パソコン1台で世界観を作る彼の音楽は、その“生育環境”にEDMもJ-POPもK-POPなど現行の海外のオントレンドも感じさせながら、17歳の男子高校生ならではの脳内世界も映し出す。あらゆるジャンルの音楽をフラットに取捨選択できる、いわばサブスクネイティブな彼が目指すアーティスト像、そして音楽を探ってみた。(石角友香)

「今まで出ていないような音を出していきたい」

ーーアーティストネームが謎なんですけど、この由来って何なんでしょう?

音楽かいと(以下、かいと):音楽を作るきっかけになったのが、岡崎体育さんが作曲風景をYouTubeに上げてて、それを見て始めようと思ったんですけど、岡崎体育さんがインタビューの中で石野卓球さんを超える名前をつけようと思って、岡崎体育にしたっていうのを聞いて。「体育さんを超えるのはなんやろうな」って考えて、“音楽”の名前をつけたら体育を超えるんじゃないかっていう考えで、音楽にしました(笑)。

ーー高校生のうちにデビューしたかったそうで、それは叶いましたが理由は?

かいと:深い意味はなかったんですけど、中学2年生の時から曲を作り始めて、なんか3年ずつぐらいの周期が勝手に自分の中であって。やっぱり始めて3年経つぐらいにはデビューはしておきたいなって。で、それがちょうど高校生のうちだったので、それを区切りの目標にまず頑張ってました。

ーーその3年周期説は小学生ぐらいから自分の中でできていたんですか?

かいと:まず、最初は大阪にいたんですけど、大阪から北海道に小学校3年生の時に転勤で行って。中学入学でまた転校して、中学3年生の時にこっちに戻ってきて、大体が3年で動いてるなっていうのが自分の中にあって。音楽も3年やって動きがなかったら夢として持つのは違うのかなと思って、3年という区切りでやってみました。

ーー早熟ですね。

かいと:ははは。

ーー音楽に関しての3年は、初めて自分で決めたことなんでしょうか?

かいと:その前に水泳をやってて。選手クラスっていうところに行ってたんですが、そういうところに入ってる子たちはジュニアオリンピックに出るような子がたくさんいて。ちょうど水泳も選手になって3年の時に、周りにいる実力がある人とはなんか違うなと思ったので、それもやっぱ3年かなっていうのがあって。

ーー音楽を始める以前にリスナーとしての自覚はいつ頃からありました?

かいと:音楽好きだなっていうのは、小学校3~4年生ぐらいからあって、最初はバンドが好きで。一番最初にハマったバンドがSPYAIR。初めて自分でCDを買いたいなと思って、CDショップに行ったりして、そこからライブに行ったりするのも始まりました。

ーーそれ以降、好きな音楽はどんなふうに移行していったんですか?

かいと:お父さんが音楽好きで、中田ヤスタカさんだったり、テクノの音楽がすごく好きなんです。僕が音楽に興味を持ち始めたらお父さんが「こういう曲もいいぞ」とか教えてくれるようになって、そこからだんだん打ち込みの音楽も聴くようになったのが広がっていったきっかけです。

ーーかいとさんの音楽を聴いてると「EDM育ちなのかな」と思ったりしたんですが。

かいと:中学2年生で、それこそ音楽作り始めた頃にアヴィーチーにハマって。CDを買ったりしてたので、影響はあると思いますね。

ーー実際に打ち込みを始めたのはいつですか?

かいと:中学2年生の時に最初、スマートフォンのアプリで曲を作り始めて。お母さんのAndroidを借りていたので、全然わからない作曲のアプリで作り始めて、それでできた曲を1回お父さんに聴かせてたんですよ。で、お父さんがアプリの操作を誤って僕が作ってた曲を全部消しちゃったんです(笑)。

ーー喧嘩になりませんでした?

かいと:もう、めっちゃ怒りました。そしたらお父さんがパソコンを買ってくれて、「パソコンで曲作り始めたらどうや」って言ってくれて。

ーー(笑)。

かいと:最初は中古の2万円ぐらいのパソコンだったんですけど、そこからDTMをするようになりました。

ーーどんなソフトを入れたんですか?

かいと:Cubase Elementsっていう一番下のソフト入れて。前作のアルバムの3曲目ぐらいまではそのパソコンのCubase Elementsで作った曲です。

ーー打ち込みはどなたかのYouTubeを見たりとか?

かいと:YouTubeでやり方を調べました。geniwayさんていう人がいるんですけど、その方の作曲講座みたいなのが何本もあって、それを見ながら最初はドラムの打ち方を学んで。大体のやり方を学んでからは自己流な感じですね。

ーーかいとさんは作詞作曲、アレンジからミックスまでされるじゃないですか。なので、限りなくかいとさんの世界が構築されている印象があります。

かいと:嬉しいですね、それは。

ーー1stアルバムはメジャーレーベルからリリースされている音源としてはかなりアグレッシブなぐらい音数も少ないし、攻めてるなと思います。本人としてはそういう意識はあまりないんですか?

かいと:でもやっぱり、今まで出ていないような音を出していきたいなっていう思いはあります。

「憧れてる人が全員歌手だったので、自分もそこに入りたいなって」

ーー曲作りと同時期に歌詞も書き始めたんですか?

かいと:そうです。歌詞は星野源さんがずっと好きで、影響がすごく大きいかなと思います。

ーーいつ頃の星野さんの作品から入って遡っていきました?

かいと:一番最初は「SUN」で、小学校6年生ぐらいの時に知って。そこからいいなと思って、昔のアルバムとかもレンタルしに行ってずっと聴いてます。

ーー何が一番最初に耳に飛び込んできましたか。

かいと:一番最初はやっぱりメロディですね。勝手に体が動く感じがして、聴いてて楽しくて。最初は歌詞とかそんなに見てなかったんですけど、昔のアルバムを聴くようになってから、歌詞に支えられるようになって、「歌詞ってすごいな」と思うようになったのが星野源さんです。

ーー好きな楽曲や歌詞はありますか?

かいと:中学校のとき一番聴いてた曲が「日常」という曲なんですけど。「なんで学校に行ってんねや」とか思春期の気持ちがすごいあった時に、この曲の中で〈意味がないさと言われながらも それでも歌うの〉っていう歌詞を聴いて。意味がないと思っててもやらなあかんことはあるし、でも自分の好きなことをやっていれば未来が拓けるのかなって、すごい希望をもらった曲です。

ーー名曲がいっぱいありますね。「ばらばら」とか。

かいと:ああ、めっちゃいいです。あれも結構、衝撃的で。〈世界は ひとつじゃない〉というのが、確かになと思った曲ですね。

ーー自意識が生まれてからのシンガーの影響は?

かいと:それが不思議と自分の中で「これ!」っていうのがなくて。でも、岡崎体育さんも星野源さんも、憧れてる人が全員歌手だったので。自然と自分もそこに入りたいなっていう思いが芽生えたんだと思います。

ーー彼らもいわゆる歌だけをやってるわけじゃないアーティストですし。かいとさんも自分で曲を作っていく上で楽曲に合う歌い方を見つめていったのかもしれないですね。

かいと:そうですね。でも、今回のEPは前回より歌がすごく大事だなと思って、何回も録り直したりしました。

ーー前作と今回のラスト曲「春の前に」は別人かなっていうぐらい違いますね(笑)。

かいと:それは自分でも思いました(笑)。

ーーまだまだ歌の表現の仕方はこれからも変わっていくのかなと。

かいと:自分自身もまだまだ歌がちゃんと歌えてないなっていう思いがあって。もっと練習してもっと研究すべきかなっていうところが、歌ですね。

音楽かいと「あなたは朝日に照らされて」

ーーでも『僕は音楽に照らされて』は、むしろ上手くない方が似合う世界観だったのかなと。

かいと:確かに。その時は歌うっていうことにあんまり意識が行ってなくて。とりあえず曲を作ることに意識が行ってたので、そこまで「こういうふうに歌おう」とか考えて歌った感じはしないです。

ーー徐々に作っていくうちに、ボーカル表現というものを意識していったと。

かいと:今回のEPでやっと気づき始めた感じです(笑)。

ーー今回の作品は、R&Bというか、今の洋楽のエッセンスも感じたんですけど。

かいと:ああ。お母さんが岡村靖幸さんが好きで、歌い方とか意識したところはあったかもしれないです。

ーーデビューアルバムと今回のEP、タイトル的にも内容的にもひと連なりの作品だということなんですが、タイトルが一つの文章になるようにっていうのは最初から決めていたんですか?

かいと:そうですね。自分の中でも、なんか1作目だけで完結するような曲たちじゃないなって。作り始めたばかりだったので、まだ途中経過かなと思ってこのタイトルにしました。

ーーじゃあ『僕は音楽に照らされて』の続きは、今回作ってみて決めたんですか?

かいと:そうです。今回作って、続きの言葉を考えました。前回は「これからやっていくぞ」っていう、まだよく分からないけれども、とりあえず音楽の業界に足を踏み入れたぞみたいな感じがして。今回のEPはそれとは違って、どういう音楽を作っていったら、周りにない音になるかなとか、音をすごく考えて作ったEPだなという気がしますね。

ーー前作に収録されてる曲は2019年やそれ以前にあった曲ってことですよね。

かいと:中学2年生の時の作品から高校2年生までの作品が入っているので、結構振り幅は広いですね。

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