AA= 上田剛士が語る、『DISTORT YOUR HOME』と“アフターコロナ”での表現 「まさに今、この時間軸でしか作れないもの」

AA= 上田剛士、“アフターコロナ”の表現

「アフターコロナ」の世界が前と同じであったらつまらない

ーー今回の商品化にあたってボーナス映像が2曲追加されています。これは本編とはまったく違う雰囲気でやってますね。

上田:そうですね。本編のあとに流れで一気に撮ったんですけど、その2曲はステージに全員あがって演奏しましたね。かっちり緻密に作り込んだ本編とは違うラフな感じでやりたかったので。

ーーみんなニコニコしながら楽しげに演奏してるのが印象的です。カメラもガンガン映り込んでるし、本編とは全然違いますね。

上田:あの2曲も本編と同じように撮るつもりだったんですけど、それじゃつまんないなとその場で急に思って、いきなりあの形で撮ったんです。そういう、何も考えないでやってる楽しさはありましたね。

ーーそれから興味深いのは、後ろで流れていたLED映像だけで全編を構成した「DISTORT YOUR HOME -VIDEO TRIP ver.-」です。

上田:あれだけで見ていても形になってるので、入れちゃえば、と。

ーー演奏シーン抜きで音とLED映像だけで見ていると、AA=が伝えたかったものがより鮮明に浮かび上がってくる印象です。

上田:そういう目線で見てもらえると、なおさら嬉しいですね。

ーー今回は新曲のCDも同梱されますね。この取材の時点では音は完成していませんが、10分以上の大作とお聞きしてます。

上田:今の自分たちを取り巻く世界がこの1年でがらりと変わった中、自分が出す作品としてはどういったものがいいのか、どういうものが作れるか。まさに今、この時間軸でしか作れないものになるんじゃないかと思います。

ーー次のアルバムへの布石のような意味合いも?

上田:いやいや、次のアルバムはまだどうなるか全然わからないですね。世界がどうなるかわからないから、自分の作るものもどうなるかわからないという。よく「アフターコロナ」みたいな話題も出るけど、自分には全くわからない。コロナの中にいる自分たちの今の時代を、2020年から2021年を投影したものを作っている。今はそんな感じですね。その先まで見据えて作っていない。

ーーそれはAA=の音楽、上田剛士の表現というものが、現実の今の世界と密接に繋がっていて切り離すことができない、ということでもある。

上田:そういうことです。もう完全に。

ーー世の中の流れとか世界の動きとは関係なく音楽を作る人はたくさんいますね。

上田:はい。でも自分はなかなかそうはいかないみたいですね。

ーー日々入ってくるニュースなどを見ながら、そこで感じたものが曲に繋がっていったりも?

上田:もちろん影響はあると思うけど、そういうメッセージを発したいと思って作っているわけでもないんです。ただ、今を生きている自分が作るものなので、今この時と完全に切り離すことは全然できない。いいものも悪いものも影響を受けている、ということですね。

ーー配信ライブも含め、いろんなミュージシャンがコロナ以降の動きを踏まえた作品を出してますが、その中で特に興味深かったり面白いと思ったものはありますか。

上田:ほかの人の作品……たとえば配信ライブのやり方とか、いろいろ参考にはしましたけど、どれも自分が作りたいものとは違う。だからこそ自分がやる意味がある。だから今作ってるものに関してなにかに影響を受けたりすることはないですね。機材をいじったりしてる方が刺激があります。

ーー先ほどの話にもあったように「アフターコロナ」の世界がどうなるか、剛士さんも含めまだ誰にもわからない状況ではありますが、そこにむけて今自分がやるべきことはなんでしょう。

上田:たぶん今考えているようなこと、今思いつくものとは違うような気がします。ひとつ言えるのは、「コロナ以前」と「アフターコロナ」では自分の中のテンションが違うだろうなということですね。この先コロナが収束したとしても、前と同じような活動をそのままやりたいとは思わないんじゃないか。なんかちょっと違うものが見えているんじゃないかなという気がします。

ーーそれは言葉にできます?

上田:この期間でいろんなものがリセットされている気がします。頭の中が整理されるというか。配信ライブにしてもそうなんだけど、今まで考えもつかなかったようなアイデアも出てきてるし、今まで当たり前だと思っていたものが当たり前じゃなくなってきてる。そういう意味で、「アフターコロナ」の世界が前と同じであったらつまらないなと思ってるんです。なんかあるだろうなと思ってます。それがどういうものなのかは実際になってみないとわからないけど。

ーーコロナが収まったあとに世界がすっかり元通りになるわけでもないだろうし、第一それじゃ面白くない。変わることを期待するし、それに伴って自分の活動や表現も変わっていくだろうと。

上田:そうですね。まんま同じだったら、この1〜2年何やってたんだって感じだし。社会自体も絶対変わるべきだし変わると思う。自分の表現するものにも違っていくはずだし、変わっていきたいと思っています。

ーーご自分の表現はどう変わっていきますか。

上田:コロナのあとは全くわからないですけど、もし今自分らがライブをやるとなったら、お客さんが微動だにしなくて、一声もあげなくても、極端に言えば拍手ひとつなくても成り立つような音楽、ライブをやりたいと思いますね。

ーーすごく興味深いですが、これまでのAA=の音楽やお客さんとどう繋げていくか。かなり困難な作業になりそうですね。

上田:そうなんです(笑)。でもそういう難しそうなミッションを考えるのが楽しいんです。それが実際に形になるかどうかはわからないけど、そういうのを考えているのは楽しいです。それが面白いものになったらなお楽しい。

ーー確かに時代の変わり目に立ち会っているという実感はあります。

上田:ただ、若いバンドは全然違うかもしれないですね。今まさに勢いに乗ってライブをやりたくてウズウズしているような人たちは可哀想だなと思う。僕はもうずいぶんライブをやってきてるので。そういう意味では(若い人は)無理難題を押しつけられてるけど、その中で答えを見つける面白さを見いだしてほしい。今の若い人たちはフットワークも軽そうだし、やれることも多そうなんで、オレたちが思いつかないような面白いこともたくさんあるんじゃないかなと思いますね。

■リリース情報

Live Blu-ray『DISTORT YOUR HOME』
完全受注生産限定
「DISTORT YOUR HOME」
 01. THE FLOWER
 02. 2010 DIGItoTALism
 03. 憎悪は加速して人類は消滅す~Hatred too go fast, Vanishing all human~
 04. PICK UP THE PIECES
 05. NOISE OSC
 06. POSER
 07. Such a beautiful plastic world!!!
 08. GREED...
 09. PEOPLE KILL PEOPLE
 10. TEKNOT
 11. AD SONG 
 12. SMILE
 13. BATTLEFIELD TvsZ
 14. そして罪は赦された~ACQUITTAL
 15. UNDER PRESSURE
 16. NEW HELLO
 17. FREEDOM
 18. SAW

「DISTORT YOUR HOME EXTRA」
 1. posi-JUMPER
 2. LOSER

「DISTORT YOUR HOME -VIDEO TRIP ver.-」

・SPECIAL 2CD
CD1:Live Album“DISTORT YOUR HOME”
01. THE FLOWER
02. 2010 DIGItoTALism
03. 憎悪は加速して人類は消滅す~Hatred too go fast, Vanishing all human~
04. PICK UP THE PIECES
05. NOISE OSC
06. POSER
07. Such a beautiful plastic world!!!
08. GREED...
09. PEOPLE KILL PEOPLE
10. TEKNOT
11. AD SONG
12. SMILE
13. そして罪は赦された~ACQUITTAL
14. UNDER PRESSURE
15. NEW HELLO
16. FREEDOM
17. SAW

CD2:“Suite #19”

受注〆切:1月20日(水)
詳細は以下にて

VICTOR ONLINE STORE
SPEEDSTAR CLUB
オフィシャルサイト

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