AA= 上田剛士が語る、『DISTORT YOUR HOME』と“アフターコロナ”での表現 「まさに今、この時間軸でしか作れないもの」

AA= 上田剛士が語る、『DISTORT YOUR HOME』と“アフターコロナ”での表現 「まさに今、この時間軸でしか作れないもの」

 2020年10月31日に開催したAA=初の配信ライブ『DISTORT YOUR HOME』が、3月3日に受注生産限定映像作品としてリリースされる(受注受付期間:2021年1月20日23時59分まで)。同ライブでは、上田剛士、白川貴善、児島実、ZAXによるパフォーマンスと楽曲の世界観を拡張する映像が交錯した、これまでの配信ライブのイメージを覆すような表現が用いられていた(ライブレポートはこちら)。今回リアルサウンドでは上田剛士にインタビュー。初の配信ライブの構想や同作品に収録される目下制作中の新曲など、AA=のこれからの表現の可能性について聞いた。(編集部)

制約の中で何ができるか問われてる感じ

ーー今回の『DISTORT YOUR HOME』は去年の10月31日のライブ配信直後から、映像ソフト化の要望が多く寄せられていました。商品化の構想はその頃から既にあったんでしょうか。

上田剛士(以下、上田):ありました。もともとそういう形で商品化することは念頭に置いて作ってましたね。

ーー配信ライブ自体の構想はいつごろから?

上田:考えたのはわりと早めですね。ライブができなくなり、春ごろから配信をやる人が増え始めてから、そういうやり方もアリかなと。ただAA=としてどういう形でやるのがいいのか考えて、それぐらいの時間ーー数カ月かかったということですね。そんなに焦ってやるつもりもなかったんです。おそらくライブができない時期は長くなるだろうと思っていたので。

ーー実際、ライブが次々と中止になりツアーもできないという状況は去年の春ごろから今までずっと続いていますからね。

上田:最後に自分たちのライブがあったのが2月なのかな(2月13日新宿LOFT)。それもすでに(コロナ禍で)だいぶ怪しくなっていた時期だったので。一昨年の8月にアルバム『#6』を出してツアーを終えて、その時回れなかったところを回る全国ツアーを去年の4月からやる予定だったんですけど、それも全部中止になりましたからね。

ーーライブが中止になることで音楽活動にどんな影響がありました?

上田:いろいろ考えますよ、やっぱり。考え方が変わるというか。ライブができないっていうのはほとんど想定になかったですからね。あるものとして全部予定を立ててましたから、全部が変わりました。

ーー常々剛士くんはライブよりもスタジオで音をいじっているほうが好きだと言ってますよね。

上田:そうなんですよ。そういう意味ではコロナになっても自分の生活自体はそんなに変わってない。自分のスタジオにずっといる生活自体は変わってなくて。ただ音楽活動としてはライブを中心にいろんなスケジュールを立ててたんで、全部それがなくなった。

ーー改めてお聞きしますが、ライブというのはAA=にとってどういう意味合いがあるんでしょう。

上田:作品を作るのは最初の一歩で、自分の頭の中にあるものを吐き出す段階なんです。それをやっていくうちにバンドとしての形ができあがり、作品が完成する。あとはそれをライブの場で演奏して、お客さんと時間と場所を共有して、楽しむ。それがバンドをやってる意味なのかなと思います。

ーークリエイティブな部分は音楽を作る作業で、ライブはお客さんとの接点を求める場。

上田:それが大きいですね。それによって作品が変わっていくことはある。

ーーライブがなくなってスタジオでの作業が中心になっていくんだけど、それはそれで今までやってきたことの延長で、それ自体は大きな変化はない。

上田:そうなんです。もともとそんなに人とたくさん会うタイプでもないし、だいたいずっとここ(プライベートスタジオ)にいるんで(笑)。レコーディングも、自分のスタジオとエンジニアさんのスタジオを繋いで、オンラインで会話しながら作業を進めていく。セカンド(アルバム『#2』)の時からずっとそうやってるんで。

ーーライブが中止になって、いろんなアーティストが配信ライブを始めたわけですが、そういう状況はどう見ていました?

上田:そういう状況になると、バンドとしてやれることってそんなにない。だから(配信は)ひとつの方法としてアリなんだけど、こういう状況にならないとあんまり思いつかない表現方法なんですよね。そういう意味ではちょっと面白いなと思います。そういうことをやれるチャンスが訪れたというか。制約があるんだけど、お題を与えられてその中で何ができるか問われてる感じ。もちろん今の状況は楽ではないけれど、そんなに厳しいものとも思っていないんです。配信ライブにしても、その制約が逆に面白いと思える。与えられたお題の中で自分がどう料理するか、表現するか、楽しむか。ネガティブな気持ちになるよりも、そこで前向きに向かっていく気持ちの方が強かったですね。

ーーなるほど。今回の配信ライブは、バンドとしてのライブ演奏をメインに置きながらも、ただのライブ映像ではなくビジュアル面もいろいろ工夫を凝らして、映像作品としても完成度の高いものにする、というものだと思いますが、その方向性は最初から念頭にあったんですか。

上田:そうですね。最初にまずやってみたいと思いついた形がこういうのですね。

ーー特に今回肝となるのが、背後に映し出されたLEDによる映像と、照明も相まったビジュアルの作り込みですね。

上田:そうですね。自分も映像作りに参加して作っていきました。照明担当の方とも、映像担当の方と一緒になってあーだこーだ言いながらやっていきましたね。本番前に一回撮ってみて、どんな風に映るのか試してみたり。

ーー後ろで流れているLED映像は、ご自分でも作られたんですか?

上田:そうですね。1曲ごとに自分がアイデアを出していって、映像担当の方と一緒に作っていった感じです。

ーーじゃあかなり早い段階でセットリストは決まっていた。

上田:そうですね。ふつうよりは早く決めないと、映像を作る時間が必要なので。

ーーセットリストはふだんあまりやらない曲もあったし、逆にいつもやってる曲をやってなかったりしましたけど、そのへんの選曲の基準はなにかあったんですか。

上田:基本的にはその時の気分なんですけど、せっかくの機会だし、いつもとは違うライブになるので、セットリストも新鮮なものにしたいなと。やってみたい曲がいくつかあったんですよ。最近全然やってない曲。今回ドラムはZAXだったんですが、ZAXが一度も合わせたことのない曲とか。自分として楽しみたいなと。

ーー配信という形だからこそやりたい、やる意味がある、というような曲は?

上田:セットリストに関しては(通常のライブと)そんなに変わらなかったかもしれないですね。ただ曲を繋ぐためのアレンジを新たに作ったり、そういうのは配信ライブをやるにあたっていろいろ思いついたところはあります。あとは映像が浮かびやすい曲を選んだというのもあります。

ーー全体にメッセージ曲が強い曲が選ばれているような気がしましたが、それは意識しましたか?

上田:あ〜〜そんなに意識はしてないですね。ただ、今の世界は分断がどんどん進んでいる。お互いいがみあっているような状況があり、それは自分の中でずっとテーマとして訴えてきているものなので、しっかりと伝えていきたいと思ってました。

ーーなるほど。ビジュアルの作り込みに数カ月かかったということですが、ビジュアル面での共通するコンセプトなどは具体的になにかありましたか。

上田:配信ライブということは、お客さんが見られるのはパソコンのモニター画面だけ。なので、その中でいかに自分らの音楽を表現するか。ふつうのライブと全然違うというのは最初から思ってたんで。まずはお客さんの視線というのを一番に考えました。ライブ会場で鳴らすスピーカーの振動もないし、そういったものをどう絵的に表現するか。

ーーなるほど。ライブというか、撮影はどこでやったんですか?

上田:あれは東京・赤羽のReNY αというライブハウスですね。LEDが装備されている会場だったので。自分らは客席のほうに降りて、ドラムだけをステージの上に設置して。だからステージがドラム台の代わりになってるという。

ーーしかもドラムセットを横向きにセッティングしてますよね。

上田:あれはZAXが「横向きもいいんじゃないですか」って言い出したんで。それで映像を映してみたらとても良かったので。

ーー背後のLEDの光でZAXが長髪を振り乱しながら全身でドラムを叩いている姿がシルエットになって浮かび上がってくるのが、すごくビジュアル的に映えてましたね。

上田:そうですね。ZAXはステージの上でLEDの前にいるので、ちゃんとそこが見える位置にしたいと思って、並び方とかもいつもと変えたりとか。それでちゃんとキレイに収まるように。

ーーライブをやっている時の感触や手応えはどうだったんですか。

上田:ライブというよりはスタジオでみんなで一緒に合わせてやっている感じに近いかもしれないです。スタジオでリハーサルをしているような感じで、それはそれですごく楽しかったですね。お客さんがいる・いないで自分らの演奏が変わることはなかったと思います。お客さんがいないやりにくさは一切感じませんでしたね。

ーーステージ上の動きなどは映像になることを意識して動いてたんですか。

上田:いや、始まっちゃったら普通にやってるだけですね。立ち位置だけは決めたけど。

ーーバンドメンバーの様子はどうでした?

上田:みんなで合わせること自体が久しぶりだったので、まずそれが楽しかったし、バンドの醍醐味のようなものが味わえた、いい時間でしたね。

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