RADWIMPS×新海誠が築いた音楽とアニメの蜜月 『天気の子』地上波初放送を機に捉え直す、良質な相乗効果

 新海誠とRADWIMPSの蜜月は、アニメーション作品と音楽の掛け合わせによって生まれる刺激的な相互作用が再び注目されるきっかけとなった。エンドロールで掛かるテーマソングのみならず、劇中で流れる書き下ろしの挿入歌が格段に増えたのはここ数年のこと。『君の膵臓をたべたい』、『HELLO WORLD』、『あした世界が終わるとしても』、『プロメア』、『泣きたい私は猫をかぶる』、『ジョゼと虎と魚たち』など、複数の劇中歌を持つ映画が2016年以降増加している。実写作品と異なり動きの表現に制約のないアニメーションだからこそ、あらゆるタイプの楽曲を取り込みながら映像と音楽の相乗効果が作品へともたらされる。RADWIMPS×新海誠の組み合わせは、そのインパクトを強く再認識させてくれた。

 作品との良質なコラボレーションは、その作品の印象を楽曲にも刻むことができる。劇中で聴いた時のワクワクや、エンドロールで余韻に浸りながら聴いた記憶をライブの場で蘇らせることも可能になるのだ。RADWIMPSも2020年11月に行われたデビュー15周年記念ライブでも「グランドエスケープ」が2曲目を飾り、序盤を一気に盛り上げている様が印象的だった。映画公開後も、その思い出を引き連れながら楽曲の強度は高まり続けていく。

映画『天気の子』スペシャル予報

 LiSAが『鬼滅の刃』と強い結びつきを果たし、Eveと『呪術廻戦』のタッグが映像との調和で高評価を得るなど、音楽とアニメーションが起こす化学反応はさらに影響力を強めている。異なるカルチャーが交差する瞬間に生まれる強いコンテンツ力が人々を魅了し続けているのだ。今回の『天気の子』放送で初めてRADWIMPSと新海誠の格別な相性を知る人も多いと思う。音楽に注目しながら鑑賞することで、新たな鑑賞体験を得られるはずだ。

■月の人
福岡在住の医療関係者。1994年の早生まれ。ポップカルチャーの摂取とその感想の熱弁が生き甲斐。noteを中心にライブレポートや作品レビューを書き連ねている。
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