眉村ちあき、ファンと過ごした特別で愛しい日 たくさんの笑顔に包まれた初の日本武道館公演

 アンコールの「奇跡・神の子・天才犬!」ではステージ下からせり上がって登場した眉村。せり上がるのが楽しかったそうで、スタッフに無理を言ってもう一度やるという彼女らしい自由な行動で会場が笑顔で包まれる。また、公演中に度々行われていた歓声を送れない客席=“足音で感情を表す人間たち”とのやりとりが、この頃には一つのコミュニケーションとして成立するまでになっていたところにも、眉村とファンの強い結びつきを感じることができた。最後に披露されたのは「ピッコロ虫」。序盤で歌を中断してラップをしたり「私たちはその場しのぎで生きていくことを誓います」と宣言してから「ヒューマン!」と言って、独特なポーズや動きを客席と一緒にやったりと、最後も自由奔放。サビでは眉村考案の「ヒューマンポーズ」をして盛り上がる客席。他のアーティストのライブでは見られないようなシュールな光景。しかし幸福感に満ちた感動的な光景だ。〈明日朝起きたら 小松菜奈になってますように〉という歌詞では〈眉村ちあきのままがいい〉に変えて歌い、それに対して盛大な拍手が贈られた。

 日本武道館は過去最大キャパで、それを活用した派手で特別な演出もあった。しかし今までのライブの延長とも言える内容で、今まで積み重ねた眉村ちあきとファンの関係性の深さを実感するライブだった。「バカばっかで最高だぜ!」と「ピッコロ虫」で叫んでいた彼女の言葉は、会場にいた全員が感じていたことだろう。

 このライブは特別で、思い出すだけで自然と笑みがこぼれるような愛しい日になったと思う。しかしエンディング映像の最後に書かれていた文字は「To Be Continued」。つまり集大成ではなく通過点ということだ。今後の活動がさらに楽しみになるような、素晴らしいライブだった。

<セットリスト>
01. 冒険隊~森の勇者~
02. 顔ドン
03. ナックルセンス
04. リアル不協和音
05. マーメイドボーイ
06. 夕顔バラード
07. おばあちゃんがサイドスロー
08. シュビデュバ・オブ・クラティー
09. 壁見てる
10. 手を取り合うからね
11. 夢だけど夢じゃなかった
12. アコギマッシュアップ
13. Dear My Family
14. 本気のラブソング
15. 音楽と結婚ちよ
16. 36.8°C
17. やさいせいかつ
18. 偏差値2ダンス feat.玉屋2060%(Wienners)
19. ビバ☆青春☆カメ☆トマト
20. 大丈夫
<アンコール>
21. 奇跡・神の子・天才犬 !
22. ピッコロ虫

■むらたかもめ
オトニッチというファン目線で音楽を深読みし考察する音楽雑記ブログの運営者。出身はピエール瀧と同じ静岡県。移住地はピエール中野と同じ埼玉県。‬ロックとポップスとアイドルをメインに文章を書く人。
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