『TOBARI』インタビュー
SOMETIME’S、2人組音楽ユニットでの活動に至るまで 人気プレイリストにも選出、追求するのは“王道のポップス”
SOMETIME'SはSOTAの「歌」があってこそ(TAKKI)
ーー今回の1st EP『TOBARI』をリリースするまでの経緯は?
SOTA:まずは音源が必要だということになり、昔の仲間に協力してもらいながら3曲入りのデモ音源を作りました。初ライブをどこにしようか2人で考えていたんですけど、今もジャケットのアートワークなどを手がけてくれているnamiiii経由で渋谷のライブハウス・Shibuya Milkywayにデモ音源を渡したら、そこの店長がものすごく気に入ってくれて。色々とやりとりしていく中で、「それ、うちでCDを出しちゃおう」と。
ーーミュージシャンとしてやってくかどうかの葛藤はなかったですか?
SOTA:なかったです。やりたかった音楽を、TAKKIと2人で実際のカタチにしてみたら「これだ!」って思ったんですよ。そこには「Honeys」と「Take a chance on yourself」の最初のバージョンも入っていたんですけど、家族に聴かせて「これをやるから仕事辞めるわ」って。それまで親父は、「音楽をやるためにフリーターになるのは絶対ダメだ」という感じだったのですが、「これだったらやってみれば」と言ってくれたんですよね。その時点で、自分の中の意識は大きく変わったと思います。
TAKKI:僕の方は、SOTAと組む前に1年半、ギターである程度活動していたのもあって、その時から音楽以外の選択肢はなくなっていましたね。自分の音楽活動の一つにSOMETIME'Sがあって、これで食べて行けないなら他の活動でなんとかやっていこう、なるようになるだろう、みたいな(笑)。なので、SOTAが仕事を辞めると聞いても特に驚きはしなかったです。
今の時代、仕事をやりながら音楽をやっている人もたくさんいるし、スタイルは様々だと思っていて。SOTAから仕事を辞めると聞かされても、「誠意を見せてもらった」とかそんなふうに考える年齢でもないなと。「おお、いいんじゃない? じゃあ頑張ろうぜ」みたいな感じでした(笑)。というかSOMETIME'Sはもう、始める前から自信があったんですよね。
ーー曲作りはどのように行っているのですか?
SOTA:なんとなくメロディが思い浮かんだら、それを簡単なトラックに乗せたラフなデモ音源をアレンジャーの藤田道哉に投げるという感じです。小さい頃からピアノは弾いていたんですけど、曲作りは基本的に鼻歌で作っています。風呂場で歌っていといいメロが浮かんでくることが多いんですよ(笑)。そうすると慌てて風呂から上がり、バスタオル1枚でまずボイスメモで録音して(笑)、後からゆっくりトラックをつけて、みたいな流れです。それを道哉にブラッシュアップしてもらっています。
TAKKI:例えば1stシングル「Honeys」は、SOTAがアタマのフレーズをボイスメモで録って持ってきて、そこから作っていきました。それ以外のメロは、トラックが先にあってその上に乗せる感じだったのかな。事前にワンコーラス分、道哉がトラックを持ってきて、そこから一度もAメロに戻らず展開していく曲なんですけど、そこは道哉と一緒にスタジオに入って、コード展開など考えました。
ーーあのアタマのフレーズは強烈なインパクトですよね。
SOTA:元々はもっとゆっくりとした曲だったんです。デモの段階で〈You Wanna Be So High〉とすでに歌っていました。
TAKKI:ちなみにSOTAのデモはいつも「ラフ」どころじゃない、ものすごい状態です(笑)。アレンジャーの道哉は僕がバイトしている音楽スタジオの後輩なんですよ。すごい才能の持ち主なので、「俺が編曲の仕事をやるから今すぐ手を切れ」と当時やっていたバンドを辞めてもらったんです。2カ月くらいかけて籠絡しました。
SOTA:そうだったんだ(笑)。
TAKKI:僕は人の才能を見極める嗅覚が、普通の人よりも優れていると思いますね(笑)。道哉は80年代、90年代のエレクトロにめちゃめちゃ造詣が深くて尖ってるんですよ。「Honeys」「Take a chance on yourself」とシングルを一緒に制作してからは、ほとんど3人目のSOMETIME'Sという感じになっていますね。今回の1st EP『TOBARI』でも、全曲でアレンジを手掛けてもらっています。
SOTA:道哉が入ってくれたおかげで、完全に3人だけで音楽が作れる状態になったのも大きいですね。
ーー歌詞をTAKKIさんが担当することは、結成当時から決めていたのですか?
TAKKI:いや、最初の音源は3曲中2曲をSOTAが歌詞を書いているんですけど、いつの間にかなし崩し的に作詞する特権をもらっています(笑)。とはいえ曲によっては「この曲は俺が歌詞を書くわ」みたいにSOTAが言うこともあるし、別に僕が歌詞担当だと明確に決まっているわけでもないですね。
曲に関しても、特に役割は決めずフレキシブルにやっていますが、僕自身あまり作曲が得意じゃないのもあって、今はSOTAに全振りしている感じです。トラックを作るのは好きなんですけど、歌メロが全然思いつかなくて。SOTAのフローが独特過ぎるんですよ。理論からはみ出しまくっているので、俺には真似できないなと。
ーーいいバランス関係が築けているのですね。歌詞は、TAKKIさんの実体験というよりは、他の人のエピソードをモチーフにすることが多いとか。
TAKKI:情緒のある日本語が好きなので、何か奇想天外な物語を作りたいというよりは「ワードチョイスのセンス」を磨きながら歌詞を書いていきたいんです。ただ、SOMETIIME'SはあくまでもSOTAフロウがメインだと思っているので、それに合う言葉をチョイスして、後付けのように意味を作っている感じかもしれないです。具体的にいうと、SOTAの歌っている「デタラメ英語」を何度も聴き返して、空耳じゃないですけど「ここは、こう聞こえるな」という言葉をとりあえず当てはめてみて、そこからパズルのように言葉を埋めていく感じですね。
ーー情緒ある日本語や言葉の響きを大切にしているというと、好きな作詞家は松本隆とか?
TAKKI:ああ、まさにそうですね。あとは井上陽水さん。陽水さんは造語というか、新しい日本語を作っていくじゃないですか。自分にはない感性だし、サイケデリックで感動しますね(笑)。あんなことできる人、今は一人もいないと思うけど挑戦してみたい。あいみょんもめっちゃ好きですね、ストレートだけど情緒もあって。すごくセンスがいいなといつも思っています。
ーー2ndシングル「Take a chance on yourself」は、SOMETIME'Sの直球ど真ん中という感じですね。
TAKKI:自分たちのやりたい音楽のエッセンスが一番詰まった楽曲です。ボーカルも、「Honeys」のようなテンポの楽曲では出せなかったSOTAのレイドバックしたフロウが強調されていますし。そのぶん、アレンジ的にはビートの隙間が多くなっているので、そこにホーン隊のオブリやギターのフレーズがふんだんに入れて、すごくゴージャスな楽曲に仕上がりましたね。
ーー「I Still」はどのように作りましたか?
SOTA:ファルセットを前面に出した楽曲がやりたくて、そこから考えて作ったメロディです。
TAKKI:この曲は、ピアノのサポートで清野雄翔さんに演奏してもらっています。バラードに仕上げたつもりだったんですけど、聴けば聴くほど、バラードとは思えないくらいグルーヴィーな曲だなと(笑)。すごく不思議な楽曲になりましたね。スローテンポなのに、アルペジオではなくカッティングギターでアプローチしていったのも大きいと思います。そのアイデアも、SOTAの歌に引っ張られて出てきたものだったので、やっぱりSOMETIME'SはSOTAの「歌」があってこそだなと。
ーー今作『TOBARI』を作り終えてみて、今後どのような方向へ進んでいきたいと思っていますか?
SOTA:今回、ホーンセクションを初めて入れてすごく楽しかったので、これからもビートルズのように新しい楽器をどんどん入れていきたいです。それと、生楽器とエレクトロの融合に関しても追求していきたいですね。
TAKKI:サウンドに関しては、リミッターを設けず色々試していきたいですね。最近になってようやく皆さんにお渡しできる情報も楽曲も増えてきて、なんとなく「SOMETIME'S像」みたいなものを感じ取っていただいていると思うんですけど、それって必ずしもアーティストが意図していることと、一致しているとは限らないじゃないですか。そこで求められることとか、気にし始めてしまう自分もいるとは思うんですけど、なるべくそこにとらわれないよう自由にやっていきたいと思います。
ーーこれから音楽性も、どんどん変化していく可能性はあると。
TAKKI:あると思います。別に、次から完全な打ち込みサウンドでも、ピアノの弾き語りでもいいわけですし。先日、アコースティック音源をYouTubeで公開したのですが、演奏は大変だったけどとても楽しかったんですよね。ああいう表現は今後もやっていきたいし、やりたい事は全てやっていくスタイルで進んでいきたいと思っています。
ーーそういう意味でも2人組というフォーマットは小回りが効くし、より自由なのかもしれないですね。ちなみにSOMETIME'Sを一言で表すと、どんな存在だと思いますか?
SOTA:ここはうまく答えたいですね(笑)。そうだなあ……目指しているのは「空気」みたいな存在ですかね。バンド名には「Some Time(いつか)」「Sometimes(時々)」という意味が込められているのですが、「いつか」でも「時々」でもいいので僕らのことを思い出して聴いて欲しいというか。王道のポップスって、空気のように人々の心に染み込んでいると思うんですよ。そういう存在にいつかなれたらいいなと思っています。
■ライブ情報
SOMETIME’S "TOBARI" RELEASE EVENT
『YouTube Streaming Live vol.2 supported by MTV』
11月6日(金)19:30START
CAST:SOMETIME'S/YONA YONA WEEKENDERS
TICKET:FREE
視聴はこちら
アーカイブ期間:11月12日(木)23:59迄
■リリース情報
『TOBARI』(読み方:トバリ)
10月21日(水)発売
価格:1,800円+税
形態:CD Only(6曲入り)
<収録曲>
M1.Get in me
M2.Honeys…配信/MV
M3.Take a chance on yourself…配信/MV
M4.Simple
M5.I Still…配信/MV
M6.Morning(MBS/TBSドラマイズム「そのご縁、お届けしますーメルカリであったほんとの話ー」オープニング主題歌)
<タワーレコード購入特典DVD-R>
SOMETIME'S PRESENTS
「YouTube Streaming Live DVD」
1. Get in me
2. Other fiction
3. Simple
4. Raindrop
5. Take a chance on yourself
6. Masterpieces
7. Stand by me
8. シンデレラストーリー
9. Honeys
■タイアップ番組概要
MBS・TBSドラマイズム『そのご縁、お届けしますーメルカリであったほんとの話ー』
MBS:11月3日(火)より毎週火曜24:59~
TBS:11月3日(火)より毎週火曜25:28~
出演:飯豊まりえ
浅香航大 板垣瑞生 坪根悠仁/徳永えり 前野朋哉 中村静香 濱正悟/
松本穂香 鈴木仁 松本妃代/ともさかりえ 浅野和之 宇野祥平 西尾まり 丘みつ子/
高橋メアリージュン 栁俊太郎 美保純 ふせえり/波岡一喜 徳留歌織/
塚地武雅
監督:片桐健滋(映画『酔うと化け物になる父がつらい(2020年)』ドラマ『きのう何食べた?(2019年)』)
脚本:北川亜矢子(ドラマ『ゆるキャン△(2020年)』ドラマ『東京ラブストーリー(2020年)』)
制作プロダクション:ザフール
製作:「そのご縁、お届けします」製作委員会・MBS
ドラマ公式Twitter(@entodo_mbs)
ドラマ公式Instagram(@entodo_mbs)
ドラマ公式サイト
©「そのご縁、お届けします」製作委員会・MBS