ENDRECHERI『LOVE FADERS』はジャパニーズファンクの新たな到達点 ストリーミング配信を機に作品全容を振り返る
イントロからド派手なシンセのリフが炸裂する「Super miracle journey!!!」は、いわばアルバムのクライマックスへ向けたきっかけの1曲で、「このビートはまだまだ続くんだ」という宣言が頼もしい。「Wedding Funk」も力強いグルーブが引っ張る曲で、ファンクといえどもロック的な高揚感が勝り、ちょっと70年代中期のデヴィッド・ボウイを思わせるニュアンスも感じる。そして「Oh…」は、ボーカリスト堂本剛のソウル・ファンクへの傾倒をリスペクトするしかない、気合みなぎるソウルシンガーぶりを楽しもう。そして「あなたへ生まれ変われる今日を」は、どこかにスティーリー・ダンの香りを感じるハイセンスな曲調の中でしっとり歌う、こんな穏やかな一面もあるのだと納得する。どちらかといえばサウンド志向と言えるENDRECHERIだが、やはり歌が中心にあることは間違いない。
そしてクール&軽やかな1コードファンク「Excuse me I’m Honey」を経て、こちらも1コードだがより重くねばっこい「Bubble dancer」の心地よいスリルと混沌を感じながら、全16曲のセットリストは完結する。全体的にスペイシーな浮遊感覚とストイックなグルーブ、生演奏と打ち込み、メロディアスな歌ものの楽しさと1コードの快感など、バランスとアンバランスの釣り合いを取りながら精密に組み立てられているため、70分近い長尺作品だが長いとは感じない。
ENDRECHERIのアイデンティティを今一度確かめ直した『LOVE FADERS』の向こうには、アルバムジャケットのように広大でポップな宇宙空間が広がっているはずだ。さあここから、ようこそ、はじめまして、ENDRECHERIの世界へ。