サザンオールスターズ、横浜アリーナ無観客配信ライブで届けたエールと一大エンターテインメントショー
アンコールは、モータウン系のビートが気持ちいい「太陽は罪な奴」からスタート。グラムロック直系のリフを軸にした「ロックンロール・スーパーマン〜Rock’n Roll Superman〜」では、このライブに関わったスタッフの姿がスクリーンに映し出された。
ここで披露されたのは、「デビューして何度目の夏が来ただろう」から始まるOverture。原由子のピアノとともに桑田は、「世の中は予期しないことがあるけど、これからも頑張ってまいりましょう」「笑顔を見せてください。また逢う日まで待ってます」「人生は世の中を憂うことより、素晴らしい明日の日を夢見ることさ」というフレーズを歌い上げた。ライブの最後を飾ったのは、「みんなのうた」。スクリーンには再び観客の映像が映し出され、高揚感と一体感を生み出していく。この曲でも桑田は「暑い夏を乗り越えよう」という歌詞で“共に頑張っていきましょう”というメッセージを送った。
ライブ終了後、メンバーはソーシャルディスタンスを保ち、ステージに整列して挨拶。桑田は「こんなにも寂しい横浜アリーナは初めてですけど、1日でも早く、みなさんとの再会をメンバー、スタッフ一同、願っています」という言葉を残し、手を振りながらステージを去った。
音楽に限らず、すべてのエンターテインメントが深刻なダメージを受けているなか、サザンオールスターズはーー誰もが認める国民的ロックバンドとしてーー全方位的な気配りと思いやりをベースにしつつ、極上としか言いようがないライブを作り上げた。これまで応援し続けてきたファンはもちろん、初めてライブを観る視聴者に対しても、サザンの魅力とヤバさがはっきりと伝わるステージを見せてくれたことが、いちばんの意義だと思う。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。