ベストアルバム『Fiction』インタビュー

Maison book girl、初のベスト盤『Fiction』を機に辿る歩み「良いと思うものを作り続けていれば好きな人の心に刺さると信じて」

新曲「Fiction」は、今の私たちだからこそ歌える曲

ーー今回のベスト盤では再録もしていますが、今、初期の自分たちの歌を聴くとどう感じますか?

和田:初期は初期で好きです。小学生のときに合唱をやっていたことがあるんですけど、みんな成長期だから声がどんどん変わるんですよ。子供のときの声ってそのときにしか絶対出せないから、それはそれで価値のあることだと私は思っていて。初期の音源を聴いていると、それと同じような感覚がありますね。あと、初期のボイトレの方針で、4人の声色を組み合わせて1曲が成り立つようにしてきたので「4人でひとつの曲を作り上げる」ということに意義を見出していたな、ということを思い出したりしました。

井上:昔の曲とはいえ、いまだに歌っている曲なので、そんなに客観的に見られないというか。前の歌い方を聴くとその歌い方になっちゃうんですよ、癖らしくて。だからあんまり聴きたくない。「戻っちゃう」と思って……(笑)。

コショージ:昔のほうが4人の歌い方に個性がない感じはします。それは意図的なものでもあったと思う。でも今はそれぞれの個性を出してパートをわけているので、そこが大きく違うかな。

矢川:「その当時の精一杯はここだったんだな」と。再録してみて、その頃よりは歌えている自分に気付けたりして楽しかったです。

ーー歌やパフォーマンスに関して、一番意識的に変えてきた部分はどこだと思いますか?

矢川:私は「歌をがんばろう」と思ってやってきました。前は4人の幼い声をきれいに束ねることによって生まれる「無機質な感じ」がいいと言われていた部分もあるんですけど、その表現だけじゃ持たないということはスタッフの方に言われたり、自分たちでライブをする中でも感じていて。それぞれが感情的に歌えるように心がけるようになっていったのがやっぱり大きいですね。

コショージ:一番意識的に変えたのはライブかもしれないです。昔はけっこう煽る曲や、コールが入る曲が多かったんですけど、たとえばそれを「今日のライブではそういうのが一切ないライブにしてみよう」とか。それによって歌とダンスに集中することができたり、お客さんのノリも変わってきたりしましたね。

和田:私はやっぱり歌ですかね。初期の頃は、自分の声はサクライさんの楽器の一部だと思っていたんです。だけど、アルバムの『yume』(2018年)くらいのときに「この曲はいつもと雰囲気をめっちゃ変えたいから」というディレクションがあって「自分の意志でいろんなことをやっちゃっていいんだな」とだんだん思うようになりました。それを楽しめるようになったのが変わったところですかね。

井上:年月を重ねていくにつれて、自分にできることが増えていて。「ここは力を抜いてやろう」とか、そういう歌い分けができるようになったのは、変わったところだと思いますね。変えようと思って変えたというよりは、できることが増えたから自然にそうなったのかなって。

ーー初期は「無気質な感じだった」という話がありましたけど、新曲「Fiction」の表現からは生々しさを感じます。

和田:曲は歌によってどのような表情にもなるというか。「私たちの歌で左右できる余地のある曲が増えたな」と改めて感じました。

コショージ:AメロやBメロのような音が少ないところは声が聴こえやすいし、個々がボイトレで歌い分けをした成果がよりわかりやすいんじゃないかな。

ーーコショージさんは最後の「non Fiction」でポエトリーリーディングを書き下していますけど、サクライさんが作った「Fiction」に対して書いたものですか?

コショージ:いや、これは同時にスタートしました。書く前に、お互い「こういう感じの曲にしよう」というイメージは話しましたけど、同時進行です。

ーーポエトリーリーディングで書くテーマや自分の感覚が、初期と変わってきたところはありますか?

コショージ:今回で12作目なんですけど、初期の頃は、特に考えなくても自分の内から出せたんですよ。でも、だんだん考えないと浮かばなくなったり、「前にこういうことしたから、被っちゃうし」とか考えちゃったり。だから今回は考えるのをやめようと思って、ある意味で制作方法は原点に戻ったのかもしれないですね。

ーーじゃあわりとこれは自然に出てきた?

コショージ:そうですね。私的にはこれが正解だった感じがします。逆に今までがどんどん自分で難しくしていたと思います。

ーー矢川さんは今回「Fiction」を渡されてどう感じました?

矢川:なんでそう思ったのかはわからないんですけど、レコーディングのときにすごく悲しいというか、せつないというか……そんな気持ちになってしまって。泣きそうになるのをこらえながらがんばって歌った曲です。メロディなのか、音の感じなのかはわからないけれど、なぜか私の涙腺にきて……。

ーー今までそういうことはあったんですか?

矢川:そこまではなかったです。「いい曲だな」と思うことはたくさんありましたけど、喉が詰まる感じまでになったのは初めてでした。

井上:私も毎回新曲をもらうたびに「いい曲だな」と思うんですけど、今回は壮大さが今までとは違いますよね……。歌が前面に出ているところとか、4人の個性が立っているところとかも含めて、この5年、6年やってきた私たちだからこそ歌える曲なんじゃないかなと思います。

やるべきことは、売れようとして変なことをしないこと

ーー新型コロナウイルスの影響で、ツアーも一部公演が延期になっていますが、この状況で今後どういう活動をしていきたいですか?

コショージ:『Fiction』発売日にライブ生配信をやるんです。お客さんが目の前にいない状態で、どうやったら楽しくて、面白いものを作れるかを今考えています。

ーー配信では観客の直接のリアクションが見られませんが、ブクガだったら自分たちの完結した世界観を見せるやり方もあるとは思うんです。作りこんだものを見せるのか、あるいはある程度は人に介入をさせる余地を作るのか、どちらのベクトルに行くと思いますか?

コショージ:たとえば声を出すようなリアクションではなく、私たちの思想には介入してほしいです。めちゃくちゃに介入して、感情とかを全部出せるようなものができたらいいな。そこに私たちも楽しさを覚えて、お客さんも楽しさを覚えてくれたらいいな。……もちろん、通常のライブができるようになるのが一番いいですけどね。

和田:ブクガのライブは、お客さんが声を出したり、モッシュしたりしなくても楽しめる。これは、これからのひとつの強みになると思いました。でも、配信だと最初に話したような空気感までを伝えることは難しいので「これからのパフォーマンスの磨き方の方針まで関わってくるのかな」と今はぼんやり考えています。

井上:前回のアルバム(『海と宇宙の子供たち』2019年)では、スタジオライブの映像特典を付けたんです。白ホリに映像を投影して、私たちが歌って踊るのを撮ったもので、それが私すごく好きで。それを生配信でもできたらいいなって思ったりしました。

ーーやはりお客さんはいたほうがいい部分もありますか?

井上:ライブの空気感は、同じ空間にいないと体験できないですし。ワンマンで「映画みたいだった」って言ってくれるお客さんがよくいるんです。それもやっぱり、たくさんのお客さんがいて、席に座っている、その空気感も込みだと思うので。やっぱりちゃんとできるのが一番いいと思います。

矢川:定点で見ても楽しめるものになっていると思うので、配信ライブを見てもらった上で、生で見たいと思わせるものにしたいです。最終的にちゃんと人がいる状態でライブができるように、そこに持っていくまでの配信かな。お客さんがそこにいて見てくれているだけで、私たちも気持ちが変わったりするので。

ーー最後の質問なんですけど、ブクガは「とにかく売れたい」と思ったりしますか?

コショージ:え? 思ってますけど?

ーーサクライさんとそういう話はします?

コショージ:あんまりしないかなぁ。でも、私たちのすべきことは、パフォーマンスレベルを上げたりだとか、めっちゃかわいいメイクを練習したりとか、そういうことで。あとは、力を貸してくれる方々のことを信じて、やるだけだと思うんですよね。自分も何か気づいたら言うし。

矢川:やる気は常に持っておく。

ーー100%まであるとして、今のやる気は何%ぐらいですか?

矢川・コショージ:(即答で)100です。

和田:やるべきことは、売れようとして変なことをしないこと。ブレるのが一番良くない。本当にやりたいことをやらないと、売れても意味がないと私は思っているので。そこだけは絶対に譲らない気持ちを絶やさないようにしています。

井上:もっとブクガをすべきです。

ーー井上さんの考える「ブクガをする」はどういうことですか?

井上:もっとたくさんの人に好きになってもらうには、やっぱり私たちが、それぞれ歌やダンスを突き詰めていくしかないかなって思いますね。

『Fiction』

■公演概要
Maison book girl無観客配信ライブ『Solitude BOX Online』
2020年6月24日(水)20:00開演(※アーカイブ保存期限:〜6月28日(日)23:59)
6月20日(土)12:00販売開始、チケット販売はこちら

■リリース情報
ベストアルバム『Fiction』
2020年6月24日(水)発売
初回限定盤A:CD+LIVE Blu-ray ¥6,500+税 PCCA.4951
初回限定盤B:2CD+book  ¥5,500+税 PCCA.4952
Amazon完全限定生産仕様盤:CD+2BD  ¥8,500+税 BRCA.108
通常盤:CD Only  ¥3,000+税 PCCA.4953
特設サイトはこちら

○本編CD(全形態共通)
01. bath room_
02. snow irony_
03. lost AGE_
04. cloudy irony
05. river
06. sin morning
07. faithlessness
08. townscape
09. rooms__
10. 言選り_
11. レインコートと首の無い鳥
12. 狭い物語
13. 夢
14. 長い夜が明けて
15. 闇色の朝_
16. 悲しみの子供たち
17. Fiction
18. non Fiction
※rooms 後ろはアンダーバー2つ

○初回限定盤A特典Blu-ray収録内容
Solitude HOTEL ∞F 2020.1.5 LINE CUBE SHIBUYA
SE. 風の脚
01. 海辺にて
02. 闇色の朝
03. rooms
04. 狭い物語
05. 夢
06. 長い夜が明けて
07. LandmarK
08. 鯨工場
09. ノーワンダーランド
10. my cut
11. MORE PAST
12. レインコートと首の無い鳥
13. river
14. water
15. シルエット
16. 思い出くん
17. ランドリー
18. bath room
19. 悲しみの子供たち

○初回限定盤B特典CD収録内容
Fiction instrumental
01. bath room_ (instrumental)
02. snow irony_ (instrumental)
03. lost AGE_ (instrumental)
04. cloudy irony (instrumental)
05. river (instrumental)
06. sin morning (instrumental)
07. faithlessness (instrumental)
08. townscape (instrumental)
09. rooms__ (instrumental)
10. 言選り_ (instrumental)
11. レインコートと首の無い鳥 (instrumental)
12. 狭い物語 (instrumental)
13. 夢 (instrumental)
14. 長い夜が明けて (instrumental)
15. 闇色の朝_ (instrumental)
16. 悲しみの子供たち (instrumental)
17. Fiction (instrumental)
18. non Fiction (instrumental)
※rooms 後ろはアンダーバー2つ

○Amazon限定盤特典Blu-ray収録内容
・BD Disc1
Solitude HOTEL ∞F 2020.1.5 LINE CUBE SHIBUYA
SE. 風の脚
01. 海辺にて
02. 闇色の朝
03. rooms
04. 狭い物語
05. 夢
06. 長い夜が明けて
07. LandmarK
08. 鯨工場
09. ノーワンダーランド
10. my cut
11. MORE PAST
12. レインコートと首の無い鳥
13. river
14. water
15. シルエット
16. 思い出くん
17. ランドリー
18. bath room

・BD Disc2
Maison book girl「Pick Ups!」
EPISODE:01
EPISODE:02
EPISODE:03
EPISODE:04
未公開特典映像

<ベストアルバム「Fiction」発売記念スペシャルトークイベント招待キャンペーン>
『Fiction』Amazon完全限定生産仕様盤をAmazon.co.jpにて購入・応募者の中から抽選で100名(全2部/各部50名)をスペシャルトークイベントに招待。※イベント当日は落選者も視聴可能なウェブ配信あり

2020年8月16日(日)都内某所
参加メンバー:矢川 葵、井上 唯、和田 輪、コショージメグミ & サクライケンタ
◆1部:14:00スタート、トーク&見送り会 
◆2部:17:00スタート、トーク&見送り会
注意事項・詳細はオフィシャルサイトにて

Maison book girl オフィシャルサイト

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2020年7月8日(水)まで

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