引退発表の渡辺麻友、貫き通した“王道アイドル”の肩書き 向井地美音や矢吹奈子、生田絵梨花らに継承される思い
渡辺の王道アイドルとしてのバトンは、現在AKB48グループ総監督を務める向井地美音や昨年の『第70回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)にてセンターを務めた小栗有以へと受け継がれている。さらに視野を広げれば、HKT48時代から渡辺を慕い、『PRODUCE 48』オーディションで彼女のソロ曲「出逢いの続き」を歌ったIZ*ONEの矢吹奈子、2013年に『第3回 AKB48紅白対抗歌合戦』にて「君の名は希望」で共演した乃木坂46の生田絵梨花、2014年に交換留学としてAKB48と乃木坂46を1年1カ月兼任した生駒里奈にも、渡辺の思いは継承されている。
渡辺の卒業シングル「11月のアンクレット」は、美しいコーラスからなるナイアガラサウンドに、山口百恵の引退を彷彿とさせるマイクパフォーマンスと、王道アイドルとしてイメージを守り続けてきた渡辺にのみ許された演出である。彼女のソロ曲の中で、特に愛された「出逢いの続き」の〈会えない時も胸の奥 想いだけはずっと続いている〉という歌詞、そして卒業ソング「サヨナラで終わるわけじゃない」の〈サヨナラで終わるわけじゃない 別れ際に強がってみた 温もりに甘えたらきっと 新しい自分になれない〉は、“引退”という道を選ぶ渡辺の未来を不思議と示していたようにも思えてくる。
そう、サヨナラで終わるわけじゃない。彼女が貫き通した王道アイドルとしての姿はこれからもずっと輝き続けていく。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter