DIR EN GREYやMUCCによる生配信からlynch.葉月、Angelo キリトのゲーム実況まで……V系アーティストの動画コンテンツ

 また、ライブとは違った形で音楽を提供するバンドマンもいる。DEZERTの千秋(Vo)は一ノ瀬千秋名義で、SORA(Dr)はSORA from DEZERTとして、自身作曲の楽曲を個人名義のチャンネルにアップした。千秋がアコースティックで温かみのある楽曲を披露したのに対し、SORAはヘヴィだが独特の浮遊感があるインダストリアルな楽曲を投下。同じバンドのメンバーが同時期にここまで違う方向の作品を展開しているのは非常に面白い。

一ノ瀬千秋 -「steady」
SORA from DEZERT -DAMAGED【Music Video】

 さらに、元ギルガメッシュのЯyoは様々な楽曲を一人で全てこなすカバー動画を披露。アニソンからV系バンドのカバーまで幅広く展開し、バンドのメインコンポーザーとして鍛え上げた腕をいかんなく発揮している。

打上花火/DAOKO × 米津玄師【cover】ボイチェン駆使して一人二役やってみたww

 ここまで紹介したのはあくまで一部の動画コンテンツで、多くのバンドが様々な試みを行っている。このような逆境の中でも何か面白いことをやってやろうという不屈の闘志は、音楽業界の中でも特にV系シーンがアツいと感じる。普段ステージでクールな姿を披露しているからこそ、今回のようなタイミングで普段と違う一面を見せることで、ファンを楽しませることができるのもV系の強みと言えるだろう。ライブ配信は生のライブ感を共有しにくい部分もあるが、普段気軽にライブに行くことができない地方在住のファンや若年層などが視聴できるというメリットもある。バンドが動画コンテンツを取り入れていくことは大きなプラス要素になっていくのではないだろうか。

 将来的にはテクノロジーの進歩によってライブハウスに行かなくてもVRでライブを楽しめるようになるかもしれない。それでも生のライブにのみ宿るものは確かに存在すると、私は思う。どちらのメリットもデメリットも分かった上で、どんな方法で楽しむか選択できる未来が理想的なのではないか。

 生でライブを観た後、地方からVR参戦していた友人とオンライン打ち上げ、なんてのも悪くないかもしれない。生で感じたリアル、映像として観たアート。同じライブでも視点が変わることで見え方が変わる。そんな新しい音楽の楽しみ方が生まれていく未来に胸を躍らせつつ、ライブハウスで数多のバンドが轟音を響かせる日常が一刻も早く戻ってくることを願う。

■タンタンメン
自身の活動から得た経験を元に音楽記事を執筆する元バンドマンのフリーライター
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