『MUSIC UNITES AGAINST COVID-19』発起人 toe山㟢廣和氏が語る、ライブハウス支援に込めた願い

toe山㟢氏、ライブハウス支援に込めた願い

できるだけライブハウスが潰れないように

ーー現時点での支援者数を教えていただけますか。

山嵜:一人で何件も支援できるシステムなので正確な人数は把握できないのですが、件数でいうと現在は延べ25000件(※4月28日時点)です。僕も初めての試みなので、この数字で凄さが伝わるのかはわかりませんが、ありがたいですね。

ーーオフィシャルコメントにもあった「ライブでしか得られない何か」をもう少し具体的な言葉にするとどんなものになりますか。山嵜さんにとってライブハウスでの思い出深いエピソードなどもあれば教えてください。

山嵜:僕に関して言えば、音楽自体をやりたいかどうかもよくわかっていなくて、ライブがやりたいから音楽を続けているところもあるんですよね。ライブに足を運んでもらうためには音源がないといけないから音楽を作っているし、どちらかというと音楽以上にライブが好きなんです。

 ライブの開催が難しくなってからは、無観客のライブ配信などアーティストもそれぞれ頑張っているけれど、それはやっぱりライブができない代わりに何とかしようと試行錯誤しているんですよね。昔でいう「コンサート」みたいにアーティストとお客さんが、“観る人”と“演奏する人”に分かれるのではなくて、ライブハウスは一つの場所に何百人も集まって、観に来た人もライブを構成する重要な一員で、騒ぐ奴がいれば盛り上がるし、大人しい人たちが多いとまた雰囲気も変わるし……バンドやアーティストだけで作り上げるのではなくて、関わっている人たち全員が関係している空気の中で演奏する空間は特殊だなと思います。若い頃はその空気感にものすごく憧れていたし、ライブハウスでしか起こりえない“グルーヴ”というものが絶対にあると思います。

 これまでのように気軽にライブができないかもしれないという状態で、以前の通常を取り戻せるかどうかもわからないけど、今はみんな本当に大変だから、またライブができる状況になったときに今までお世話になったライブハウスが潰れてしまうということがないように、という思いが一番強いですね。

ーーライブハウスがなくなることでアーティスト活動に及ぼされる影響はどんなことが考えられますか。

山嵜:それは、ライブハウスを元に戻して欲しいこととはまた別の考えですが、最悪の場合を考えると、表現方法は変わってくるのかもしれません。僕たちはバンドで食っているわけではないので(toeはメンバー全員がバンド活動とは別にそれぞれ本業を持っている)、商売を第一には考えていないんですよね。音楽の聴き方も、レコードがCDになったり、CDがデジタルになったり、ミュージシャン側の意向というよりはユーザーの形態やテクノロジーが変わってこそなので、表現方法のアウトプットとしてはミュージシャンが考えることでもないのかなという気はしています。だったら、アウトプットの方法がこれからどうなっていくのかを予想するよりも、自分に今できることは音楽を作って聴いてもらうことだけだし、今後の儲かる方法を考えるよりも、やりたいことの精度を上げていくことにシフトしていくことが大事だと現状は思っています。

ーーこのプロジェクトの最終的な目標は?

山嵜:“できるだけライブハウスが潰れないように”というのが率直な目標ですね。金銭面の支援が増えて、実際ライブができるようになるまではライブハウスに何とか頑張って欲しいし、今回の成果だけで補えるとは思いませんが、公的な補助が出るまでに少しでも力になればいいなと思っています。もちろん、個々のライブハウスやイベント会場でこの先もクラウドファンディングが立ちあがっていくのはいいことだし、僕たちも仲の良いライブハウスと今後できることがあればいいなとも思っていますが、今回に関しては個人的な思いよりも大きな括りでの支援がしたいと思って始めたので、今後もいろんな窓口ができていくといいですね。

『MUSIC UNITES AGAINST COVID-19』オフィシャルサイト

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