連載「Signal to Real Noise」第六回:竹内アンナ
竹内アンナに聞く“独特のハイブリッド感”の原点「いまも音楽の境界線がない」
「中国のヒップホップや、英語圏以外の音楽にも興味がある」
ーーなるほど。ちなみに竹内さんにとって、エレクトロミュージックの入り口はどんなアーティストなんですか?
竹内:いろいろありますけど、Jamiroquaiもそうかも。2017年の来日公演も観に行ったんですが、ちょっとポッチャリしてて可愛かったです(笑)。Disclosureも好きですね。今年のフジロックに来るので、ぜひ観たいと思ってます。最近はストリーミングで国ごとのチャートを覗くのがおもしろくて。中国のヒップホップだったり、英語圏以外の音楽にもすごく興味がありますね。
ーー楽曲の制作についても聞かせてください。まずサウンドメイクですが、トロピカルハウス、フューチャーベースなども取り入れていますが、楽曲を作り始めた時点ではどのくらいイメージしているんですか?
竹内:デモの段階で自分でできるところまでやって、その後、アレンジャーの名村武さんと話し合いながら、作っていく感じです。「こういう音を入れたらおもしろくなりそう」と言いながら、足したり引いたり。その作業も楽しいんです。
ーーダンスミュージック的なトラックもありますが、歌詞を乗せるときに意識していることは?
竹内:基本的にメロディ先行なんですよ。歌詞は英語が合えばそうするし、日本語が合えば日本語を当てて。メロディがいちばん活きる言語を使うことを心掛けてます。あとは言葉数を決めて、「〇文字で、この韻で終わる言葉は何だろう?」という感じですね。色や景色もイメージしながら、連想ゲームしながら歌詞を書いてます。最近は俳句の影響もあります。芸能人のみなさんが俳句を詠んで、先生が添削するテレビ番組があって、それを見ていたら、「五・七・五という決められた字数で表現する俳句は、歌詞の書き方に似てる」と思って。自分で言葉を作ってもいいし、字数が決まってるからこそ自由な発想ができるんだなと。インパクトがある言葉で、自分が言いたいことを伝えるというのは、アルバムの制作中にも意識していました。
ーーアルバム収録曲の「伝えなきゃ、届かなきゃ、君に聞こえなきゃ。」の歌詞は、すべて日本語ですね。
竹内:日本語の曲名もアルバムのなかで1曲だけだし、歌詞が全部日本語というのも初めてですね。意図的ではなくて、書き終わったときに「日本語だけだ」と気付いたんです。その後で英語を付けたすこともできたし、サビを英語にすることもできたんですけど、日本語がすごくハマっていたし、「自然に出てきたものだから、このままでいい」と思って。この歌詞が書けたことは、自分にとっても驚きでした。