森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.196
MWAM、岡村靖幸……独創的な音楽性&豊かなリズムを内包したボーカル 新譜5作をピックアップ
10周年のアニバーサリーを迎えたMAN WITH A MISSIONのB面曲&カバー曲集、DAOKO、ライムスター、小山田圭吾などが参加した岡村靖幸の4年ぶりのフルアルバム。ルーツミュージックに根差した独創的な音楽性、そして、豊かなリズムを内包したボーカルを味わってほしい。
10周年を迎えたMAN WITH A MISSION。アニバーサリーイヤーの第1弾アルバム『MAN WITH A "B-SIDES & COVERS" MISSION』は、既発シングルのB面曲、カバー曲などをコンパイルした作品だ。「Green-Tinted Sixties Mind」(Mr.Big)、「あの鐘を鳴らすのはあなた」(和田アキ子)などのカバー曲には、マンウィズの音楽的ルーツ、そして、90年代以降のミクスチャーロック/ヘビィロックを独創的なバンドサウンドへと昇華し続ける彼らのスタイルが反映されている。さらにドキュメンタリー映画『MAN WITH A MISSION THE MOVIE -TRACE the HISTORY-』の主題歌「The Victors」も収録。スタジアムでの大合唱を想起させるメロディライン、日本語と英語を極めて自然に混ぜ合わせたリリック、ロックバンドとしての矜持が感じられるサウンドメイクが一つになったこの曲は、このバンドの新たなアンセムとして認知されるだろう。
80’sファンクを強靭にビルドアップしたトラック、鋭利なギターカッティング(ギターは小山田圭吾)とともに“現実がつらいよ”というフレーズが届いた瞬間、心と身体が強く揺さぶられる。1曲目の「成功と挫折」を聴いただけで、“これはやばい。間違いなく傑作!”と決めつけてしまいたくなる4年ぶりのフルアルバム『操』。DAOKOとのコラボ曲「ステップアップLOVE」、岡村靖幸さらにライムスター名義で発表されたシングル曲「マクガフィン」などを収めた本作の中心にあるのはもちろん、ビートと声。オーセンティックなファンクを軸にしながら、最新鋭のエレクトロ、ベースミュージックなどを織り交ぜたトラックメイク、そして、快楽的なビートをまといながら、日本語を濃密にグルーヴさせるボーカルは他の追随を許さない。
今年2月に1stアルバム『FANTASTIC 9』をリリースしたFANTASTICS from EXILE TRIBEからニューシングルが到着。表題曲「Hey,darlin‘」は、作詞を小竹正人、作曲をスウェーデンのプロデューサー、COMMAND FREAKS、FAST LANE、ERIK LIDBOMが手がけたナンバー。EDM、オルタナR&Bなどを融合させたトラック、郷愁的なメロディは、最新のダンスミュージックを耳なじみが良いJ-POPに結びつける彼らのスタイルを踏襲。“君と一緒にいたい”という強い思いを描き出す歌詞の世界は、大人の男性になりつつあるメンバーの等身大の感情ともつながっている。切なさと爽やかさを同時に表現する八木勇征、中島颯太のボーカリゼーションにも注目してほしい。さらに叙情的な旋律とEDMサウンドがひとつになった「The Only One」、浮遊感と高揚感を併せ持った「OVERFLOW」を収録。