日向坂46 井口眞緒は、あらゆる表現の幅を広げたアイドルだった バラエティやステージで見せた特異な存在感
2月12日、井口眞緒が日向坂46を卒業することを発表した。井口といえば、日向坂46のムードメーカー的存在でバラエティでも活躍していたメンバーだ。昨年9月より活動休止しており再びグループに戻ってくることを心待ちにしていたファンも多かったことだろう。そこで本稿では、井口がどういった人物であったか振り返るべく日向坂46に詳しいライター・一条皓太氏に話を聞いた。
「井口さんはグループで目立った存在でした。底抜けに明るい性格の持ち主であることと話が唐突かつ長いというキャラクター性は、メンバーや共演者から面白がられていましたね。また、井口さんはダンスや歌が苦手と公言しており、けやき坂46のオーディションでは課題となっていたダンスが難しすぎて覚えてこず、齊藤京子さんから驚かれたというエピソードもあります。ただ、そういった弱点すら持ち前のひたむきさで乗り越えてきたところも彼女の凄さです。
また、将来「スナック眞緒」をやりたいと公言していたことから、グループの冠番組『ひらがな推し』(テレビ東京)でメンバー初の個人コーナーが設けられました。これは番組初期に生まれたもので、井口さんがメンバーの悩みを聞くという企画。同コーナーによって、メンバーがどんな悩みを抱えているのかを知ることができましたし、当時まだ関係性が深くなかった番組MCのオードリーとけやき坂46(現:日向坂46)との架け橋にもなりました。こうした役回りは、メンバーの強みや弱みを把握できる彼女だからこそできたことではないかと思います。また、彼女のキャラクター性が評価されたためか、『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)では日向坂46メンバーとして初出演を果たしました。そこで彼女特有の面白さが発揮され、明石家さんまさんからも気に入られている印象でしたね」
キャラクター性に注目が集まりがちな井口であるが、周囲から愛されていた理由はそれだけではない。苦手としていたパフォーマンスにおいてもひたむきな姿勢を見せていた。
「井口さんは自分の弱点をそのままでよしとする人ではありません。彼女はパフォーマンス面においても成長していきました。一番大きなエピソードでいえば“井口セゾン”です。これは、けやき坂46時代のライブで、井口さんが「二人セゾン」の平手友梨奈さんのパートを担当したことから名付けられたものです。「二人セゾン」は、欅坂46のなかでも表現の仕方が難しいダンスとして知られていて、それをダンスが苦手な井口さんがチャレンジしたんです。振付師のTAKAHIROさんやメンバーたちのサポートもありつつ、一つのステージとして作り上げていった様子は感動的でした。こうしたひたむきな姿勢はグループにも影響を与えていると思います」