Rihwaが語る、ありのままを表現することの大切さ「自分と作品とのギャップを埋められた」

Rihwaが語る、シンガーソングライターとしての表現を選択する大切さ

どう見せてゆくかを人任せではなく、自分で考えて自分で動く

ーー「MARIMO」と同じく、最初聴いたとき何語かわからなかったのが「Madeleine」。そこに歌詞に対するアンチテーゼのようなものを感じました。「意味がなくてもいいじゃん」というような。

Rihwa:それもうれしいです。というのも、ずっと前から思っていたことがあって。それは「歌詞に正解はない」ということ。記憶を手繰っていくと、中学生のときに流行ったB-DASHの「ちょ」という曲に行き着くんです。全編英語っぽいハナモゲラで歌われているんですけど、好きでよく友だちとカラオケで歌ってました。海外の曲も同じですよね。言葉の意味はわからないけど好きというのがたくさんあった。そういうことを、いつか自分の曲でやってみたいなと思ってたんです。

ーーシンガーソングライターとしての挑戦でもありますね。

Rihwa:歌詞の意味、言葉の美しさを特に大切にする日本で、その真逆をいってみました。意味がわからなくて正解みたいな(笑)。

ーー歌い方にも仕掛けがありますもんね。大先輩の桑田佳祐さんから脈々と受け継がれているアミューズの伝統芸と言えるのかも。

Rihwa:あ、そうかもしれないです! 桑田さんは第一人者ですよね。そういう面白いことを恐れずに出せるようになりました。「これは通過点でしかないんで、どうぞ見てください」と。思えば前作『WILD INSIDE』は、私もスタッフさんも含めて“渾身の一枚”というものでした。でも、私は曲をいっぱい書く人なので、作品もいっぱい出したい。自分が歩く道みたいなものを見せていけたらなと、今は思ってるんです。

ーーFIVE NEW OLDのベーシストでもあるSHUNさんが、今回2曲ほどアレンジに参加しているのは?

Rihwa:SHUNさんは、北海道で大人気のバンドA.F.R.Oのメンバーで、ずっと憧れの先輩でした。私のレーベルメイトだったFIVE NEW OLDでも活動されるようになってからはより接点が増えて、ぜひ一緒にやってみたいと思うようになったんです。どちらのバンドもポップさと革新的な部分の融合が持ち味なので、きっと私の曲に新しさを吹き込んでくれるだろうなと。

ーーまさにそうでした。特に「cold」は、サウンド的にも微妙な女の子の心理を歌った歌詞の面でも新しかったです。

Rihwa:歌詞に向かうとき、これまでは「どこかに希望をもたせたい」と思いがちだったんですけど、「cold」は彼に対する愚痴をひたすら言ってるような詞(笑)。もちろん、好きな気持ちの裏表現としてなんですけど。

ーー「もう、なんでわかってくれないの?」っていう。

Rihwa:私自身にもあるあるで、でも、なかなか言えないじゃないですか。だから、この曲に落とし込んでみました(笑)。

ーーめまぐるしく上下するサビ後半のメロディが魅力的です。

Rihwa:ホントですか? 歌うにはすごく難しくて、これまでだったら思いついても敬遠してたと思うんですけど、今回はやってみようと思いました。

ーー寄り添うコードがまた、微妙な心理表現にぴったりです。

Rihwa:SHUNさんが本当に丁寧に理解してくださいました。「歌えないから」と制限をかけず、心のゆくままに発想したメロディが、記憶に残るものになりうるんだなと、今、思いました。

ーー微妙な心理という意味で共通するのが「夢灯り」。

Rihwa:「cold」と「夢灯り」は、本当に等身大のRihwa。大人っぽい言葉をあえて選んでいきました。今の自分なら歌えると思って。

ーー大サビで〈ずるいよ〉が5回繰り返すところが、せつなくて印象的です。

Rihwa:ちょっと怨念っぽいですよね(笑)。長い曲なので、間奏を削ったりと全体にコンパクトにはしてたんですけど、〈ずるいよ〉の部分は、「あの長さに意味がある。生きてる」とアレンジャーさんも言ってくださいました。

ーー30歳になって、女性としての本音を出せるようになったということなんでしょうか?

Rihwa:年齢もあるとは思うんですけど、出せるようになったひとつのきっかけは、音楽を取り巻く時代環境にあった気がします。ちょっと前の時代だったら、たとえば、シングルを出すなら「一発でRihwaとわかるキャッチーなこの一曲」という選び方をしてた。もちろん私もそこに納得してたんですけど、今はそれがあまり必要ない時代ですよね。あとはやっぱり、レーベルを離れたことが大きいのかもしれません。離れた途端にそういう面が出てきたことを客観的に考えると。タイミングとして、それが時代ともシンクロしたのかも。もうちょっとパーソナルな部分を見せたいとずっと思っていたので、今回自分と作品とのギャップを埋められた気がします。

ーー自分で選択することを始めたということですよね。

Rihwa:どう見えているかとか、どう見せてゆくかを人任せじゃなく、自分で考えて自分で動く。そこで初めて周りを動かせるんだろうなと今は思ってます。愛してもらえるように頑張ります。

ーー「You Are My Road」や「Carnation」など、家族への想いを歌う曲には相変わらずジーンときました。『BORDERLESS』に入っていた「bird」の頃とはまた違う角度の歌になっていますね。

Rihwa:去年は実家に帰る機会も多く、家族が惜しみなく愛をくれてることをあらためて感じたんですね。見守ってくれている人がいると自分が知っていることが、すごい安心感につながっていて、だから、自分を好きでいられるんだなとも思いました。「You Are My Road」はそういう歌。今さらですけど、実家を出るって大事ですね。ずっと一緒にいると嫌な部分も出てくるけど、離れると感謝できる。

【Music Video】Rihwa「You Are My Road」

ーー人間って不思議ですよね。

Rihwa:ホントに! 「Carnation」は、母を題材にはしてるんですけど、ちょっと曲調的に遊びました。

ーーイントロを聴いたとき、メキシコ映画のシーンが浮かびました。

Rihwa:まさにそう。干し草が舞ってますよね(笑)。実はこの曲、ホール&オーツ(Daryl Hall & John Oates)のコード感をちょっとだけ意識してるんですよ。

ーーRihwaさんの口からホール&オーツの名が出てくるとは!

Rihwa:Instagramをはしごしてたら、『WILD INSIDE』のときにコライトした大好きなKTタンストールが、ホール&オーツと一緒にライブをやってて、いい曲がいっぱいだったんです。そこから好きになりました。

ーーRihwaさんの世代がそうやって音楽に共鳴し、次世代にまたその素晴らしさをつなげてくれるのは素敵なことです。では、最後にタイトル『WHO YOU R』について。個人的に、“Tell me who you are”=「あなたのこと教えて」という意味なのかな、とか、転じて“I'll tell you who I am”=「私のこと話すね」ということなのかな、と思ったりしてたのですが。

Rihwa:もちろん、それもあります。これからの出会いを予期するし、自分を曝け出した作品という意味でもぴったりだと思いました。ただ、それは後から浮き出てきた意味で、最初のきっかけは、アレンジャーさんとの「なんか今回、浮遊感あるサウンドが多いよね」という会話。そこから、「浮遊感……WHO YOU R……冬だし……冬Rihwaってことでいいか!」とギャグみたいに決まっていったんです(笑)。

ーーユーモアいっぱいのRihwaさんらしい(笑)。

Rihwa:面白いこと大好き! なので、これからもどんどん殻を破っていきます。

ーー5月からの全国ツアーが楽しみです。

Rihwa:ぜひ、リアルなRihwaを体験しにきてください!

■リリース情報
3rdアルバム
『WHO YOU R』
配信:2019年12月25日(水)発売
価格:¥1,667(税抜)

CD:2020年1月22日(水)発売
初回限定盤[CD+DVD] ¥3,364(税抜)
※7周年ライブ密着ドキュメントDVD封入
通常盤[CD] ¥2,727(税抜)

<Tracks>
1. Madeleine
2. Love Today! 
※tvk「吉井さん」10月度テーマソング
3. DON'T GET IT
4. BOY
※富士フイルム"チェキ"instaxmini8+「チェキ+青春」テーマソング
5. cold
6. MARIMO
7. 一秒
※富士フイルム"チェキ"instaxmini8+「チェキ+青春」テーマソング
8. 夢灯り
9. This is Christmas!
10. You Are My Road
11. Carnation

■ツアー情報
『"WHOEVER YOU R" TOUR 2020』
5月16日(土) 名古屋・BLcafe 
open16:00/start16:30
[問]SUNDAY FOLK PROMOTION 052-320-9100 (全日 10:00~18:00)

5月24日(日) 福岡・LIV LABO 
open15:30/start16:00
[問]BEA 092-712-4221

5月30日(土) 岡山・城下公会堂 
open18:00/start18:30

5月31日(日) 岡山・城下公会堂 
open17:30/start18:00
[問]キャンディープロモーション岡山 086-221-8151

6月6日(土) 仙台・誰も知らない劇場 
open16:00/start16:30
[問]キョードー東北 022-217-7788

6月13日(土) 横浜・ランドマークホール 
open15:45/start16:30
[問]SOGO TOKYO 03-3405-9999 (祝日を除く、月~土 12:00~13:00/16:00~19:00)

6月27日(土) 大阪・umeda TRAD 
open16:00/start16:30
[問]SOGO OSAKA 06-6344-3326 (平日11:00~19:00)

7月19日(日) 札幌・道新ホール 
open15:30/start16:30
[問]マウントアライブ 011-623-5555 (平日11:00~18:00)

オフィシャルサイト
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