欅坂46、今後グループはどう変化していくのか メンバー個人の活躍がさらなる成長の鍵に?

 さて、今回の発表によって欅坂46としての作品の方向性に変化はあるかもしれない。グループから離れることになった平手友梨奈と鈴本美愉の担っていた“鋭敏”なイメージ、そして見る者に訴える力を持ったエネルギッシュなパフォーマンス……彼女たちが離れたことでこれまでのスタイルが変化することが予想される。

 しかし、だからといってすでに持たれているイメージそのものは簡単には変わらないだろう。欅坂46はこれまでdocomoのCMやイオンカードのキャンペーンなど、企業とのタイアップでも一貫した力強い存在感を放ってきた。なのでこれまでのグループイメージを維持しながら、その中で個々のメンバーが活動の場を広げていくのだろう。つかこうへいの代表作『飛龍伝2020』の主演にキャプテンの菅井友香が抜擢されたのは、その良い例だ。

 ところで、メッセージ性の強い楽曲の印象が強い欅坂46だが、ユニット曲に目を向けると意外と多彩な曲調にトライしていることがわかる。たとえば、7枚目のシングル『アンビバレント』収録の「302号室」はどこか懐かしさのある歌謡曲風のメロディが印象的な一曲。8枚目のシングル『黒い羊』収録の「ごめんねクリスマス」は、ポップでありながらも切ないサウンドに可愛らしいボーカルが乗るアイドルソングだ。これらはいずれもユニットソングで、グループ全体の作品とはまた違った魅力を持っている。

 東京ドーム公演でも盛り上がっていた青空とMARRYや、現在もメンバー全員が在籍しているFIVE CARDSは、デビュー初年度に組まれたユニットでありながら今もなお根強い人気がある。こうしたユニット曲の路線が、グループ全体のイメージに取って代わり、大きな力を持つ可能性もある。新たに加わった二期生の魅力も見え始めたことで、彼女たちによる新ユニットなどがグループに新しい風を吹き込んでくれることもあるだろう。

 大きな転機を迎えた欅坂46。今後はグループ全体としてはもちろんだが、それ以上に個人活動の活発化やユニット曲の方向性など、彼女たち個人個人の姿勢が重要になってくるモードへと突入するかもしれない。

■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)

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