ももすももすのユニークな歌詞の世界観を感じた夜ーーワンマンライブ『~HUEは鳴き続ける。~』を観て
ももすももすが12月16日、渋谷TSUTAYA O-nestにてワンマンライブ『〜HUEは鳴き続ける。〜』を行った。ギターポップを軸としたソリッドなビートに絡み合う柔らかなメロディ。心に残る、ユニークな歌詞が解き放つ文学的な読後感が持つオリジナリティにセンスを感じた夜となった。
ライブ前日、ももすももすがTwitterに「私は今も昔も弱いけれど、祈るように曲を書くようになって、届けられる歌は強くなった気がしている。 明日の今頃、たくさんの人と、同じ瞬間を心に残せていたらいいな。 よろしくきゅーーー。 赤い心臓。」(12月15日Twitterより)と投稿。初のワンマンライブ前の彼女の心境を素直に表していた。
クリスマス前の喧騒の渋谷・道玄坂を足早に人波をかき分けながら会場に到着すると、ステージ上マーシャルアンプに置かれた光る球体の月が目に入る。これは数日前に「道で、おじさんが、直径50cmくらいある、カラフルに光る月を売っていたので買ってしまった。」(12月15日、Twitterより)と書いていたものだ。
フロアでは、ももすももすによる独特のセンスで進行するラジオ番組『ももすももす伝!』(FM OH!)が鳴り響いていた。“関西方言の面白さ?”について考察している内容で、年末の慌ただしい時期だが、ふと笑みがこぼれる気持ちの緩む瞬間だ。
スタッフの手で輝く月が片付けられてライブがスタート。1曲目は「火星よ、こんにちは」、続くキャッチーなポップセンスが耳に残る「うさぎの耳」に心を奪われる。
人気イラストレーター焦茶とコラボレーションしたミュージックビデオにも注目な「プルシアンブルー」など、メタファーを活用した表現力豊かな文学的な歌詞が耳に刺激的だ。彼女のフィルターを通すことで、世界の見え方が光が屈折するかのように一変していくのだ。
そんな独特なる言語センスは、公式ホームページ(白亜紀ver)「恐竜の背中」で不定期アップしているコラムを読むとより伝わってくる。
「好きに敵。」 2019/12/3
月を見ると気が狂いそうになるけれど、
毎日気が狂いそうになっているような気もするから、いつでも透明な月を見ているのかもしれない。
起きている時はずっとゆらゆらしていて、
どこかに飛んで行ってしまいそうで、飛んで行きたくて、
それなのに、眠りにつく時のかなしばりはどこにも行けず、おしまいですって感じ。
1日も、1ヶ月も、1年も、2年も、3年も、砂嵐だって、
肯定と否定の過程で、たまたま受信できた映像みたいに呼び起こせたらいいのに。
(12月3日、オフィシャルホームページより)
ライブでの注目は、“海から巨大生物が現れて”と物語がはじまるポップチューン「Confession」だ。続いて、ギターリフがテンションを高めていくグルーヴィーな「桜の刺繍」によって会場の温度があがっていく。