椎名林檎、児玉裕一監督とともにMVを語る 「ミュージックビデオはモニターを使った音楽の体験装置」

椎名林檎、児玉裕一監督とともにMVを語る 

 さらに児玉は「MVは音楽を体感する装置だと思っている。ディズニーのアトラクションのようにいつの間にか終わったらもう一度並びたくなるようなものが理想。音のシーケンス、感情の起伏、椎名の気持ち、これらがうまく掛け合わさった時に良いものになる」と話した。椎名も「曲と映像は似ている」と共感した上で、レコーディングも椎名の場合は「プレイヤーの手癖も含めて家で再現して資料を作ってみて、当日は狙い録りしにいく」と語る。児玉が「設計図しっかりしてるな、すごいなと思ってみている。MVも無駄遣いしない方が良いものになる」と言うと椎名も大いに頷いていた。

 また、ファンからMVは伏線を仕掛けていると言われることに対し「奇跡的につじつまがあっちゃう」と児玉は言う。この理由について椎名は「作り手がリアルな現実社会に暮らしているからだと思う。そのリアリティがお客さんとの共通項となって、つじつまがあっていくのだと思う」と見解を示した。今回上映されたMVについて椎名は「どれも決め所とリンクして表現してくれていて嬉しい」と話した。

 2人は、この轟音上映会を全国で開催したいと話し、会場からは拍手が沸いた。児玉は「MVは自由なカテゴリーで、ディレクターの腕の見せ所なので、MVの世界を盛り上げていきたい」と意気込んだ。最後に児玉は「(椎名が)良い音楽を作ってくだされば、制作も頑張る」、椎名は「MVや曲の枠をこえて、みなさまの暮らしに溶け込みたい」と語り、「2020年こそ、みなさんにとって何か良いことがありますように」と2人で締めくくって、トークショーは終了した。今回上映されたMVは、12月11日発売予定のMV集にほぼ全て収録されるそうなので、是非チェックしてみてほしい。

 この日、児玉が監督したMVを轟音で体感して、どれも彼にしか作れない唯一無二の作品だと思った。またどの作品にも、破壊・衝動・哀愁が含まれているように感じ、MVが椎名の曲の世界観をより鮮明なものにしている。椎名林檎と児玉裕一、共鳴し合う2人の作品をこれからも楽しみにしたい。

(Photo by 太田好治(yoshiharu ota))

■深海アオミ
現役医学生・ライター。文系学部卒。一般企業勤務後、医学部医学科に入学。勉強の傍ら、医学からエンタメまで、幅広く執筆中。音楽・ドラマ・お笑いが日々の癒し。医療で身体を、エンタメで心を癒すお手伝いがしたい。Twitter

椎名林檎オフィシャルサイト

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