石井恵梨子のチャート一刀両断!

TWICE、5作連続アルバムチャート1位獲得 あらゆる括りを超えたアジアの今を体現する存在に

参考:2019年12月2日付週間アルバムランキング(2019年11月18日~11月24日)

TWICE『&TWICE』(通常盤)

 4週間前に触れたOfficial髭男dism、その後も健闘が続いています。10月21付チャートで初登場1位に輝いたあと、次週から3位→2位→7位→6位→6位→6位。ほぼ2カ月ずっと10位圏内。その間、「Pretender」のストリーミング再生回数があいみょん「マリーゴールド」を上回る歴代1位になったとか、年末の『第70回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)にも初出場が決まったとか、華やかなニュースばかり飛び込んできましたから、もはや飛ぶ鳥を落とす勢いですね。『紅白』の出場者は年明けに再びセールスが伸びることも珍しくないので、アルバム『Traveler』の累計売上がどこまで伸びるのか、楽しみになってきました。

 さて今週。2位以下に圧倒的な差をつけた1位はTWICEの『&TWICE』。初週セールスは12.4万枚です。彼女たちがアルバムチャート1位を獲得した作品はすでに5作となり、これは海外女性アーティストの記録でいえば、マライア・キャリーと並ぶ歴代2位タイになるそうです。

 毎週ランキングが更新されるたびにこういう話が出てくるのは、当然、オリコンに「男性/女性」「国内/海外」など細かく基準の分かれた歴代記録が蓄積されているから。「1位獲得作品数」だけでなく「連続1位獲得数」「連続1位獲得年数」など、さらに細分化したランキングも存在します。そして今回出てきた「海外女性アーティストのアルバム1位獲得作品数」でいえば、1位がBoA(8作品)、2位がマライアとTWICE、3位がマドンナと少女時代(3作品)となっております。なんというか……時代を感じてしまいますね。

 「海外女性アーティスト」の代名詞がマライアとマドンナだったのは、それが「洋楽」とイコールだった時代です。もちろん両者は今も現役ですが、BoAが日本デビューした2001年以降、「海外アーティスト」=「洋楽」とは言えなくなります。洋楽より邦楽が売れるのが日本のマーケットですから、限りなくJ-POP寄りだったシンガーBoAはマライアをあっさり抜き去っていきます。そこから10年をかけて韓国の音楽はどんどん日本および世界に浸透し、いつしか「邦楽」でも「洋楽」でもないひとつの潮流が作られていった。それが少女時代が『Gee』でブレイクした2009年あたりでしょう。

 懐かしさも込みで語られた昔の韓流ではなく、新しい刺激としてのK-POP。エッジの効いたビートと凛とした強さを誇るグループがたくさんが出てきて、夢中になる人が増えました。少女時代とKARAが二大巨頭となり、幅広い層がK-POPを聴くようになったのは2010年代以降だと思います。そしてK-POPシーンの動向を見ていれば「これが世界に行くチャンスだ」と考える人も出てくる。日本や台湾や中国出身のメンバーも在籍するTWICEには、KやJの括りを超えたアジアの今を感じます。同じことは多国籍グループのBLACKPINKやSEVENTEENなどにも言えますね。

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