kolme KOUMI×Da-iCE 工藤大輝が語り合う、ダンス&楽曲制作のプロセスとセルフプロデュースの重要性

工藤大輝×KOUMI対談

アウェーの現場は“獲りに行くライブ”

ーー先ほどツアーの話も出てきましたが、お二人のライブの魅せ方に関するこだわりの部分というと?

工藤:セットリストって大事だと思うんですけど、自分たちで決めます?

KOUMI:決めてますね。RUUNAとMIMORIがああだこうだと話して、私は仲裁役に回ることが多いです。最終的にはリーダー(RUUNA)が決めるんですけど、彼女はこだわりが強いというか、ちょっとめんどくさい人なので(笑)。

工藤:温度感を見つつ決めると。対バンイベントに出るとすると、尺が20~30分じゃないですか。セトリがテンプレになったりは?

KOUMI:私たちが飽きてきちゃうので「この曲何回もやってるから違うのにしよう?」とか、けっこう組み合わせ変えたりしますね。

ーーDa-iCEはインディーズ時代から盛り上げ上手で、“対バンキラー”という言葉がぴったりなイメージがあります。

工藤:昔から、特にアウェーの現場に対しての姿勢は変わってないと思います。“獲りに行くライブ”みたいな感じで、ダンス&ボーカルがいっぱいいるイベントなら踊りまくって攻めまくるし、バラエティに強いグループが揃うなら楽しく盛り上げられる曲で組むように、セトリもすごく話し合って決めてます。

KOUMI:うちも「私たちはこういうスタイルでこういうパフォーマンスを見せたい」という気持ちはもちろんありつつ、対バンさせていただくアーティストの方々のカラーも考えながら組むことが多いです。

工藤:曲を作る時点からそういうことを考えてる部分もありません? 「こういうときに盛り上がれる曲ないな?」とか「こういう人たちにも引っかかる曲を作っておいたほうが……」とか。たとえば歌の上手い方々が集まるライブに出るのにいいバラードが一曲もなかったら戦えないから「いろんな人に聴いてもらえるようなバラード作ろう」みたいな。

KOUMI:kolmeもいろいろ知恵は絞ってるんですけど、まだまだそういう努力が足りないのかなあ……?

工藤:そんなことないですよ! 楽曲にもすごく振り幅あるじゃないですか。

KOUMI:なんだかんだで、自分たちの好きな曲をメインに置いちゃうところがあるんです。作曲担当のMIMORIにも彼女ならではのスタイルがあったりするので、気づくとコア寄りなところにいっちゃうというか……。ただ、以前は「私たちのパフォーマンスを見て!」みたいな魅せ方にこだわりがあったんですけど、それだけじゃダメだなって思ったんです。今年の初めにリリースしたアルバムくらいから、さっき工藤さんが言われたようにお客さんに寄り添うというか、これまでの私たちに足りなかった部分を意識して作った楽曲も増やしていて。「Repeat」みたいなあったかいイメージの楽曲も作っていただいたので、私たちが踊るだけじゃなく、みんなに一緒に楽しんでもらえるようなパフォーマンスにも力を入れていくと思います。

工藤:僕はライブを拝見するのがフィロソフィーのダンスとやったツーマン(2018年11月)以来で、そのときは3人で踊りきっててクールでかっこいいなと思ったんですけど。今度のツアー、超楽しみです。

工藤大輝 in Sweden (2018.02~)

ーー楽曲制作について、お互いに聞いてみたいことはありますか?

KOUMI:YouTubeでスウェーデンでの楽曲制作の様子を拝見したりしたんですよ。グループの曲を書くときに、メンバーのみなさんと話し合ったりは?

工藤:まったくしないです。作った曲はいつもアーティスト名を変えて仮歌も違う人を雇い、自分が作った匂いを消した上でメンバーとスタッフさんの試聴会に、職業作家さんの楽曲たちに紛れ込ませて出すようにしてます。「メンバーの曲だから採用しよう」みたいなバイアスをかけてほしくないんですよ。なのでボツになった曲もめっちゃあります。今度出す新曲(12月18日リリースの「BACK TO BACK」)は、その中で決まった曲なので、自分でも胸張って作りました! って言えるんですけど。

KOUMI:ちなみに、なんでスウェーデンだったんですか?

工藤:今のJ-POPの楽曲ってスウェーデンの作家と日本の作家がコライトした作品がすごく多くて、トラックをスウェーデンの作家が、トップライン(=メロディ)を日本の作家が担当しているのが主流なんですよね。そうするとトラックは攻めてる音質のものができるけど、メロは日本っぽくなる。僕らはLAでもレコーディングしたことがあるんですけど、個人的な印象として、USの作家さんに作ってもらうとちょっとコード感がなくなるんですよ、ヒップホップ感が強くなるというか。

KOUMI:なるほど。コライトを始めたのは何がきっかけだったんですか?

工藤:5~6年前ですけど、僕らの曲を作ってくれている作家さんを調べていて、スウェーデンと日本の作家がコラボしている流れを知って。それで「僕も一緒に作ってみていいですか?」って試しに1曲作らせてもらったら、これが楽しかったんですよね。僕自身はトラックを一から作るのに時間がかかるほうだから、コライトすることで時短もできるし、自分が持ってないセンスの人と一緒にできるということで。

KOUMI:そういう作り方もあるんですね、面白い! kolmeはいつもMIMORIが曲を書いてアレンジャーさんが参加して、出来上がったトラックを全員で精査しながら歌詞を書いていくことが多いんですけど、そういう作り方にもトライしてみたいですね。

工藤:グループの楽曲で、とくに恋愛ソングや人生について歌うようなものの歌詞を書くときはいつも迷うんですよ。ソロなら自分の恋愛観を反映する形でいいけど、「(花村)想太と(大野)雄大が歌うのならこういう解釈かな?」とか、6面(Da-iCEファン)のみんなへの思いとかいろんな要素を入れたくなって、めっちゃ考えます。

KOUMI:kolmeの歌詞は、それぞれの人生という解釈なので3人で書いて歌ってるんですよ。自分の体験談とかも、ちゃんと書いてます。

工藤:それだと全員にとって“自分の歌詞”だから、すごく感情移入できますよね。

KOUMI:できます!

工藤:歌詞に限らずですけど、意見を統一するのはグループの人数も結構関係あると思うんですよ。少ない方がよりまとまりやすいじゃないですか。

KOUMI:うちはリーダーが一筋縄ではいかないんですけど(笑)。ただ10年以上一緒にいるので、メンバー間では家族みたいな感じでなんでも言い合えるんですよ。それぞれの嫌なところもいいところもわかってるから、いろいろ許せちゃいます。

工藤:リーダーどんな性格やねん(笑)。でもグループって長くやってるとそうなりますよね。僕らも辛かった時期、なんだかんだで全員のチームワークがよかったから乗り切ってこられた感じはあります。

理解してもらうのにはやっぱり時間がかかる

ーー2組とも結成当初からいろいろ苦労をされてきて、今やかなりクリエイティブな方向性で活動されていますよね。その中で伝わらないジレンマをどういう風に解消していったんでしょうか。たとえばDa-iCEもデビュー当時はアイドル的なキャッチコピーがついて回った時期もあるわけじゃないですか。

工藤:ああ、ありましたね!(笑)。僕は世間というより事務所に対して、いろいろ考えてきたところがありました。ホームとはいえ大きな会社だから、スタッフみんなが僕たちのことをよく知っているわけじゃない。そういう環境の中で自分たちをどうプレゼンしていくべきかというのをずっと考えてきて。最初は曲が作れますと言っても「ああそう?」みたいな感じだったのが、作品が形になって結果を出すことでみんなの反応が変わっていって。逆にいえば、結果を出し続けていかないといろんなことが変わっていかないんだと思いながらやり続けてきたと思います。

 ちなみにアイドルが好きっていうのも事務所からは公言しないように言われていたんです。でも、好きなものは好きですし、SNSでつぶやいたりしていたら、いつの間にか「コラムを書いてくれ」「曲を書いてくれ」といったお話をいただくようになったんです。そういうタイミングで「ほら、言ったじゃん!」って思えることをモチベーションにして、頑張ってますね。

KOUMI:発散の仕方、参考にさせていただきます(笑)。多くのサポートをしてくれる周りの人の存在がありながらも、心のどこかで“自分の人生だから楽しまなきゃもったいない”と思いますね。

工藤:ただし、理解してもらうのにはやっぱり時間がかかりますよね。グループの音楽性とかもそうですけど、すぐにわかってもらえるわけじゃないから「聴いてください!」っていうアピールを何度でもめげずにやるっていうのをテーマにやってきた記憶があります。

KOUMI:いろんな意味でセルフプロデュースを頑張らなくちゃいけないというか。深いですね……。

工藤:だってそうじゃないと、何もかも嘘くさくなるような気がして。すごいクリエイターにお願いするのは別に悪いことじゃないですけど、自分たちなりに自分たちの作品をクリエイトして、それを評価してもらおうというスタンスでいるだけで。kolmeだって3人の出会いからだと10年以上やられているわけだから、かなり経験値を積まれているほうだと思いますよ。

KOUMI:いやいや、私たちはまだまだです……なので、今日はすごく勉強になりました!

(取材・文=古知屋ジュン/写真=はぎひさこ)

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■リリース情報】
 アルバム
『Do you know kolme?』
11月20日(水)発売   

Type-A(2CD+DVD) ¥6,300(税込)
<CD>※Type-A~Type-D共通
01  Intro
02  Gotta look
03  Get your control
04  Remind me...
05  Interlude1
06  Repeat
07  I live in hope
08  Brand new days
09  Wonderland
10  Why, Mr.?
11  Deep breath
12  Same mistakes
13  Up all night
14  Interlude2
15  Wherever I go

<CD2 -MIMORI SE Collection->Type-Aのみ収録
01  Ultra kolme Merry X'mas 2018
02  kolme Happy New Year Live 2019
03  kolme Live Museum 2019 ~Hello kolme~
04  REIWA 2019
05  Super Ultra kolme tour 2019

<DVD>※Type-B Blu-ray共通
01  Remind me... -Music Video-
02  kolme Live Museum 2019 ~Hello kolme~ in SHIBUYA WWW X

Type-B(CD+Blu-ray)¥6,800(税込)
Type-C(CDのみ)¥3,000(税込)
Type-D(CD+Blu-ray)¥15,000(税込)

■ライブ情報
『5周年ツアー「kolme Live Museum - Do you know kolme? -」』
2019年
12月30日(月)神奈川CLUB CITTA'

2020年
1月18日(土) 埼玉 西川口 Live House Hearts
2月2日(日)宮城 SENDAI MA.CA.NA
2月8日(土)神奈川 横浜Baysis
2月23日(日)大阪 OSAKA MUSE
2月24日(月・祝)名古屋 ell.FITS ALL

■関連リンク
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kolme公式Twitter
kolme公式Facebook

■リリース情報
『BACK TO BACK』
2019年12月18日(水)
初回限定盤A(CD+DVD)¥1,800+tax
初回限定盤B(CD+DVD)¥2,200+tax
通常盤(CD Only)1,300+tax
<CD収録曲>全形態共通
M1.BACK TO BACK
M2.Damn it!
M3.Only for you
M4.VELVET EYES

<DVD収録内容>初回限定盤Aのみ
「BACK TO BACK」MV
The making of 「BACK TO BACK」

<DVD収録内容>初回限定盤Bのみ
「Damn it!」MV
The making of 「Damn it!」
「TIME COASTER」MV
The making of 「TIME COASTER」

■ライブ情報
『Da-iCE BEST TOUR 2020 -SPECIAL EDITION-』
2020年
1月10日(金)17:30開場/18:30開演
東京:国立代々木競技場 第一体育館
1月11日(土)14:00開場/15:00開演
東京:国立代々木競技場 第一体育館 ※SOLD OUT
2月29日(土)16:00開場/17:00開演
大阪:大阪城ホール
3月1日(日)14:00開場/15:00開演
大阪:大阪城ホール ※SOLD OUT

チケット料金:指定席¥8,000(税込)
※FC先行受付では、チケット代金がファンクラブ先行価格
※3歳以上有料。3歳未満のお子様はひざ上鑑賞の場合のみ入場無料

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<応募締切>
2019年12月9日(月)まで

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