「テレビが伝える音楽」第8回

『ミュージックステーション』はどう変わる? 新ゼネラルプロデューサーに聞く

客観的な視点で音楽番組を考えていくのが僕の仕事

ーーこれまでの『ミュージックステーション』で印象に残っているアーティストや演出はありますか?

小田: hideさんのパフォーマンス。当時、歌の演出は基本的に番組側が担当し、アーティストにはそれに合わせてパフォーマンスしてもらうことが多かったんですが……。hideさんはアイデアマンで、上から墨汁を垂らして黒い雨に打たれながら歌う「DOUBT」のパフォーマンスは彼自身の発想でした。自分が関わっていた頃には、「ROCKET DIVE」という曲で、照明を吊るす機材にハーネスを通してメンバーが宙吊りになって、hideさんは腕からレーザーを出すという演出を自ら発案していました。当時、まだEメールが今ほど浸透していない時代に、ディレクターとhideさんがメールで直接やりとりして……まさに“みんなでつくるMステ”でしたね(笑)。そういった現場を目の当たりにして、アーティストのやりたいことを作り上げていくことはすごく面白いな、と思いました。リハーサルでは高く飛びすぎてしまう、というハプニングもありましたが、最終的にhideさんがとても喜んでくださって。あの演出は本当にかっこよかったですね。

 今はスマホで音楽を聴けるし、動画もすぐに見られる。メディアが多様化している分、テレビでアーティストのパフォーマンスを見るモチベーション付けが難しいと思います。でも視聴者にも「あの時のMステ面白かったな」と思ってもらえるような、見て面白いもの、参加して楽しいもの、テレビでしかできないことをやっていきたいです。

ーーまだ番組には登場していない、これから出演してほしいアーティストなどはいますか?

小田:米津玄師さんやONE OK ROCKさんなど、見たいけどなかなかテレビには露出されない方々に出演して欲しいとは思っています。僕自身がよく聴くのはLed ZeppelinやThe Beatles、Queenといった昔の洋楽なのですが、音楽ではない畑から来た人間として、客観的な視点で音楽番組を考えていくというのが僕の仕事。今まで『ミュージックステーション』にいたバリバリの音楽のプロたちとも話し合って、新しいアイデアを出していきたいです。

ーー最後に視聴者へのメッセージをお願いします。

小田:より一層視聴者の参加度はあがりますし、アーティストも想定外の展開に協力してくださって、予定調和ではないことをどんどん起こしていける番組にしたいなと思っています。生放送をより面白くする、というところに期待していただきたいです。

(取材・文=村上夏菜)

■番組情報
『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)
毎週金曜21時〜

番組HP

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