若者から注目集める新鋭ラッパー ASOBOiSM 多角的なサウンドと時代を切り取る感性を読む

 承前の8月30日にリリースされた「HAPPOUBIZIN feat. なみちえ」に話を移すと、「八方美人」をテーマに、ややダウナーなビートに、八方美人な人間に対してツッコミを入れると同時に、八方美人になってしまうマインドや人間性に対して、「自分は自分 人は人でいいじゃない」とその解決策を促す。同時に、この曲での英語と日本語を織り交ぜたライミングの構成や展開の作り方は、非常にラップとして聴き応えがある。

 それは8月2日にリリースされた「UCHOTEN feat. TACK(シシノオドシ)」でも同様で、トラップというよりは、高速バウンスと言えるビートに対して、基本ラインを母音「I.U.I」で聴こえる発声で韻を纏めながら細かく踏んでいく冒頭のラップは、非常にスリリングでありながら、その声質の可愛らしさやウィスパーな発声量(これはこの曲に合わせての表現方法で、どの曲もウィスパーなわけではない)によって、聴こえは非常にキャッチーだ。また、シシノオドシのTACKを客演に迎え、すれ違う男女の思いと、それを夏の風景に溶け込ましせていくセンチメンタルな表現も、甘酸っぱく、切ない。

ASOBOiSM 『DRAMA QUEEN』

 ライミングや音楽性という、ミュージシャンとしての地力を感じさせる部分と、20代半ばだからこそ書けるような、時代の切り取り方だったり状況の見え方、今様のセンスと言った部分が、彼女がユース層を中心に人気を集めた理由だろう。8月2日付のApple Music「今週のNew Artist」に選出され、m-floの☆Taku TakahashiにもTwitterでピックアップされるなど、ネクストブレイクの存在として知名度も徐々に浸透しつつある。

 そういった、彼女たちの世代を中心に登場するイベント『Hot Candy』(9月20日渋谷 VUENOS)にもASOBOiSMが登場。シンガーソングライターのShinn Yamadaや、レゲエグループ・MACK JACK、ポエトリーなラップで注目を集める春ねむりや、『新世界』でメジャーデビューを果たしたJABBA DA FOOTBALL CLUB、そしてシシノオドシからMCのTACKもソロで参戦と、音楽シーンのこれからを担うアーティストたちがどのようなライブを見せるのか、非常に興味深い。

(文=高木 "JET" 晋一郎)

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■イベント情報
『Hot Candy』
9月20日(金)VUENOS(東京都渋谷区道玄坂2丁目21-7)
Open/Start 18:00~
チケット:2000円+1ドリンク
出演者:JABBA DA FOOTBALL CLUB、春ねむり、MACK JACK、ASOBOISM、TACK(from シシノオドシ)、Shinn Yamada、にしかわ
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