KEYTALKが「BUBBLE-GUM MAGIC」とともに運んできた眩い夏 東名阪ツアー最終公演レポ

 アンコールでは、今年秋にフルアルバムのリリースを予定していることがリーダーである小野の口から発表された。盛り上がるオーディエンスの勢いをそのままに披露されたのは、「ララ・ラプソディー」「One side grilled meat」そして「MABOROSHI SUMMER」の3曲。特に日々の希望と絶望、そして「それでも夢を失わずに生きていきたい」という切実な想いを軽やかにスウィングしたサウンドにのせた「ララ・ラプソディー」からは、まるでKEYTALKの現在そのものを投影したかのような生命の輝きが感じられるようだった。

 このツアーの開催が発表されたファンクラブ限定イベントの中で、寺中は「2年後、横浜スタジアムでライブをやる」と宣言した。彼の言葉からも、今回のレーベル移籍には彼らの並々ならぬ決意が込められていることが伝わってくる。しかし、このタイミングでKEYTALKが選んだのはホームと言っても過言ではないライブハウスツアー。決して奇をてらった演出もなく、いつも通りのプレイングをがむしゃらに見せる彼らの姿からは、貫禄のようなものすら感じられるようだった。

 最近定番になってきた寺中のステージ上での飲酒について、「何しに来たの?」「飲み会じゃないんだよ」と首藤が辛辣なツッコミを入れるといったいつも通りの最高に痛快で微笑ましいMCも含め、“これがKEYTALKだ”という姿を改めて目の前に叩きつけられたライブだった。

 これからの彼らの活動はいわば横浜スタジアム公演への前哨戦だ。この夜鳴らされた楽曲たちは、メジャーデビューから武道館、そしてアリーナライブ、とロックバンドの王道を着実に歩み続けてきたKEYTALKの新たな闘いの始まりを知らせる狼煙である。今年10月には、3年ぶりとなるツーマンツアーも決定している。少年のようながむしゃらさとバンドマンとしての矜持の両方を手にした今のKEYTALKがこれから一体どんな景色を見せてくれるのか、楽しみで仕方がない。

■五十嵐文章(いがらし ふみあき)
音楽ライター。主に邦楽ロックについて関心が強く、「rockinon. com」「UtaTen」などの音楽情報メディアにレビュー/ライブレポート/コラムなどを掲載。noteにて個人の趣味全開のエッセイなども執筆中。ジャニーズでは嵐が好き。
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