草なぎ剛のシンプルな生き方 雑誌『GINGER』インタビューから感じたこと

 草なぎ剛という人は、不思議な存在だ。ハッとするほど色っぽい大人の男性の顔を見せたかと思えば、まるで5歳児のようにはしゃいでみたり、最近では20代のYouTuberとコラボする機会も増えているが、一緒にいる様子は20歳近い年の差を感じさせない。

 デキる大人のようで、自由な子どものようで、いいお兄さんのようで、手のかかる少年のようで……掴みどころがない。なのに、多くの人が草なぎ剛のことを得体の知れない人ではなく、「いいひと」と表現したくなる。それは、なぜなのか。

 きっと、草なぎ剛という人に、私たちは嘘を感じないからではないか。おいしければ矢継ぎ早に口の中に放り込み、楽しければ顔をくしゃくしゃにして笑い、集中しているときには鋭い視線を向ける。そんなふうに感じたままの素直な反応が、嘘のない姿に見える。計算ではない愛らしさ、狙っていない面白さ、それが私たちにとって「いいひと」に思える理由だろう。

 ちょうど雑誌『GINGER』7月号では「今、愛されるのは嘘のないひと」というテーマで、草なぎがインタビューに答えている。そこで語られたのは、うまくいかない出来事が続いた35歳のころから、「自分らしく生きよう」と思えるようになったということ。他人にどう思われているのかを気にしたり、自分自身でスマートにカッコ良く生きたいと思うほど、息苦しくなってしまう感覚は、身に覚えがあるという人も少なくないのではないか。

 私たちは、なりたい自分や期待される自分に向かって努力している。それ自体は素晴らしいことだけれど、そこに固執しすぎると、どこに本当の自分がいるかわからなくなってしまう。うまくいかないことが重なれば、身も心も縮こまってしまうものだ。だが、草なぎはその失敗続きの時期を、失敗のまま終わらせないためにも、人生の浮き沈みに身を任せることを覚えた。さらに、遠回りをしながら学んでいくことで味わえる人生の楽しみも知ったという。

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