世界が認める日本人ダンサー/振付師 菅原小春、“表現者”として注目される独自性に迫る

 そのダンススタイルの魅力として挙げられるのは、自身の体を楽器のように使う手法。2017年に開催した初の単独ライブ『KOHARU SUGAWARA presents SUGAR WATER』では、ピアノやギター、ドラムなどさまざまな楽器の生演奏と丁々発止の‟セッション”を繰り広げ、満員の観客を圧倒した。本人も自らのダンスについて「ジャーっと流れる音に合わせて体を楽器のように弾いていくイメージ」(参照:ライブドアニュース)と分析していたが、音を聴いて踊るというより、自らの体でリズムやグルーブを作り出し音と融合させていく点で独特なスタイルといえる。その爆発力の凄まじさについては、前述した昨年の紅白における米津玄師「Lemon」のパフォーマンスでも実証済みだ。

菅原小春、初の単独ダンス公演に密着!

 一方、振付師としてのスタンスについては「そのアーティストさんのどの角度がカッコイイか、どの角度がキレイとか、人間として美しく見える角度や部位を見つけて振りを付けます。そこには自分のスタイルも上手く落とし込みたくて、どうやったらフュージョンできるかをすごく考えます」と語っている(参照:オリコンニュース)。アーティストの魅力を引き出しつつ、楽曲に込められた感情のうねりをダンスで表現していくその手法については、以前にリアルサウンドの記事(コラム:SHINee「Good Evening」振付は“余白”がポイント? 感情のうねりを表現する菅原小春の手法)でも述べた。近年の作品には1曲の中にドラマ性を持たせ、緩急に富んだ中に感情が溢れ出すような短い見せ場を散りばめていくような構成が目立ち、それも彼女自身のダンススタイルと共通する魅力といえる。

SHINee 샤이니 '데리러 가 (Good Evening)' MV

 LAでの修業時代を振り返って「教えられたのは『ダンスは言葉の壁を超える』ということ。もちろん英語を自在に話せたらそれが一番理想的かもしれないけど、話せないからこそ、言葉以上の表現をダンスで踊りたいと思った」(参照:DanceFact)と語った菅原。海外に出ることで表現者としての才能を大きく開花させた彼女の姿は、若くしてオリンピックという大舞台で華々しい活躍を見せるかたわら、歌人としての顔も持っていたという人見絹枝にも重なる部分があり、興味深い。大河での経験を通して、よりいっそう表現者として磨かれていくであろう菅原のこれからに大いに注目したい。

■古知屋ジュン
沖縄県出身。歌って踊るアーティストをリスペクトするライター/編集者。『ヘドバン』編集を経て、『月刊ローチケHMV』『エキサイトBit』などで音楽/舞台/アートなど幅広い分野について執筆中。

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