シングル『Blast!』インタビュー
TRUEが語る、『響け!ユーフォニアム』への特別な思い「ずっと一緒に生きていくんだろうな」
風景をスケッチするように書いた「ふたつの惑星」の歌詞
——TRUEさんの歌詞もホントにいい温度感ですしね。ベッタリでもなければ、ドライすぎもしない。〈寄り添い離れて愛し合う〉という距離感で誰かと付き合っていくことをあのビート感で歌ってくれるから、すごく気持ちよかったです。
TRUE:ありがとうございます。最初ディレクターやA&Rから「夢に向かってがんばるけど、たまには肩の力を抜いて日常を楽しむ曲はいかがですか?」って提案をもらったんですけど、夢に向かってがんばる曲は「Blast!」で書いちゃってるから、なんかうまくがんばれなかったし、うまく力を抜けなかったんですよね(笑)。それでリラックスした恋愛にフォーカスした曲に着地することにしたんです。今回の劇場版は恋愛要素も含まれた内容になっていて、作品の中で描かれている、久美子と秀一のお互いを尊重し自立しあった恋愛観に、すごく共感したんです。〈寄り添い離れて愛し合う〉くらいの関係のラブソングを作れたら「Blast!」のc/w曲として面白いかなって。ただ、これは私とファンの方の関係の歌だとも思っていて。お互い好き同士ではいてくれるんだけど、会えるのは年に1、2回のライブのときだけ。お互い自立してお互いの生活をしているんだけど、たまに会える日や次に会える日を楽しみにしていて、会えたときは思いっきりお互いの好きをぶつけられる関係でいられたらいいな、という気持ちもこの詞の中には含まれてます。
——その〈寄り添い離れて愛し合う〉ことを「ふたつの星」、つまり一見離ればなれの2つの星のようなんだけど、線で繋いだらひとつの星座、ひとつの形になれるんだよ、と表現しようと思ったきっかけって?
TRUE:それも自然となんですよね(笑)。会いたい人を思い浮かべるときってどうするかな? って考えたら「まあ空を見上げるだろう」と。そこから物語が始まって「でも会いたいときに限ってだいたい空って曇ってるよな」「晴れてほしい日や元気をもらいたい日に限って雨が降ってるよな」みたいなことを考えつつ、でもきっと恋人でもいいし、ファンの方でもいいんだけど、そういう私の愛している人はきっとネガティブにはならない。「雲や雨の向こうには青空が広がっていて、そのまた向こうには星が瞬いているんだよ」って言ってくれるんじゃないかなあ、っていう予感があって、その風景をスケッチするように書いただけなんです。
——ただ、我々は空を見上げたとき雲や雨粒しか見ることはできないのに対して、TRUEさんはその先の風景まで正しく、しかもポップに見通せている。実は僕らとは見えている風景が違うんじゃないか?という気もします。
TRUE:うわっ、なんかめっちゃほめられてる!(笑)。いやでも、たぶんこういうことを書いちゃうのは私が中二病なだけだからですよ。
——あはははは(笑)。
TRUE:〈水たまりに弧を描く 泣き虫な今日をあやしながら さかさまの街におはよう〉っていうフレーズも、子どものころからそう思っていただけですし。水たまりに映った風景を見て「さかさまだなあ」「不思議だなあ」って(笑)。なんかカッコいいことを言えなくて申し訳ないんですけど、ホントに「自然と出てきました」としか言えないんですよね。
——その「自然と出てきた」、でもTRUEさん一流のレトリックに彩られた2曲を収録したシングル『Blast!』をリリースすると、まもなく時代は令和になります。
TRUE:そうだ! これ、平成最後のシングルなんだ!
——令和時代にはなにをしましょう?
TRUE:まずは8月12日なかのZEROホールでの5周年記念ライブ第2弾に全力を注ぐことですかねえ。
——ファン投票でセットリストを決めるんですよね?
TRUE:せっかく5周年のお祭りだし、一緒にセットリストを決めてみませんか? ということで、投票を受け付けてみました。
——ファンの方ならではの選曲には傾向ってあります?
TRUE:これがすごくバランスがいいんですよ。私も「投票までしてくださる方は昔から応援してくださっているファンの方が多いだろうから、マニアックな選曲になるのかな?」と思っていたんですけど、シングル曲もあれば、カップリング曲もあるし、ライブではめったに歌わない曲もあるし、『コメット・ルシファー』というアニメの挿入歌の「Story of Lucifer」みたいなシングルとしてリリースしていないアニソンもちゃんと入っていたりして。
——投票結果に偏りがないということは、昔からのファンだけでなく、最近ファンになった方もファンセレクションライブを待ち望んでいて、投票に参加して、チケットを買っているということなのでは?
TRUE:ありがたいことにそんな気がしています。実際、過去最多のチケットの申し込みをいただいているって聞いてますし。今回初のホールライブということで、「ホールでTRUEを観たい」という方もいらっしゃるのかな? とは思うんですけど、それ以上に投票でセットリストを決めること自体を楽しんでくださっている印象はありますね。……ただ、「1stワンマンから通っていたオレが、まさか今回最速先行チケット予約に落選するとは」とお手紙をくださった方がいらっしゃったりして……。
——それはしかたがないじゃないですか。その方が好きなように、みんなもTRUEさんのことが好きなんだから(笑)。
TRUE:でも私自身、みのりんさん(茅原実里)のライブにファンとして応募して「あーっ、落ちた」みたいな経験を何度となくしているので、来たいと思ってくださる方には全員に来ていただきたいんです。
——となると令和時代の目標はライブのキャパシティをさらに上げることになりそう?
TRUE:そうですね。来たい人は全員来られるようなキャパの会場でその方々にまた来たいと思っていただけるライブをすることが最大の目標かもしれないですね。
(取材・文=成松哲/写真=はぎひさこ)
■商品情報
『Blast!』
4月17日(水)発売
1.Blast!
劇場版「響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜」主題歌
作詞:唐沢美帆 作曲・編曲:加藤裕介
2.ふたつの惑星
作詞:唐沢美帆 作曲・編曲:松本良喜
3.Blast!(Instrumental)
4.ふたつの惑星(Instrumental)