星野源、Superorganism Oronoをゲストに迎えて伝えたメッセージとは? ANNを聞いて

 さらに、ファンからのメッセージに対しては「自分が音楽とかアートをやってるのは自己満足でやってるだけだから」とし、ただ単にファンだと言われることに対して違和感を感じている様子。Oronoは、“ただ「好き」で終わるのではなく、Superorganismの音楽を聴いて自分たちを超えるところへ行ってほしい”と語る。また、コミュニケーションを重ねて互いを理解していくことが重要であるとし、「DMしてください。読むから! 話そうよ!」とメールを送ったファンに向けてコメントした。

 なぜその音楽を聴くのか、なぜその映画やアートを観るのか。Oronoのメッセージは、そんなことを改めて考えらせられるようだった。日本での来日ライブでもストレートなMCで賛否両論を呼んでいたOrono。しかし、それは、観客を喜ばせようとするだけのエンターテインメントへの反発でもあるのではないだろうか。彼女のスタイルそのものが、「本音で生きているのか」「本当にしたいことは何なのか」という私たちへの問いかけのように思えるのだ。

 また、Oronoが自身のジェンダー観をはっきり述べているのを聴いていると、自分がいかにこれまで型にはまった考え方を持っていたのかと気づかされる。一方、星野も凝り固まったジェンダー観に疑問を抱いていたように思う。『第69回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)内の『おげんさんといっしょ』コーナーで、「おげんさん、男でも女でもないから。これから『紅白』も性別関係なく混合チームでいけばいいの」とコメントしていたし(参照)、『おげんさんといっしょ』自体も、母親役に星野、父親役に高畑充希、娘役に藤井隆など、性別関係なくキャスティングがされている。さらに星野の楽曲からはステレオタイプな考え方への反発のようなものを感じることがある。Oronoほどストレートな表現ではないとしても、あらゆるエンターテインメントを通してOronoの考えに近しいものを発していた。

 同放送ではOronoの発言の節々に共感する星野が印象的だった。きっと星野は、Oronoの言葉がリスナーにいい影響を与えるはずだという思いがあったのではないだろうか。

(文=北村奈都樹)

関連記事