KREVA、ソロデビュー15周年キックオフインタビュー ヒップホップの変化とともに進化する表現
三浦大知、渡辺直美ら『908 FESTIVAL』出演者に共通する“歌心”
ーー2019年には9カ月連続のリリースが決まっていて、今のところ公開されている情報だと、1月にデジタルシングル「音色 ~2019 Ver.~」が配信され、2月にカセットシングル『基準~2019 Ver.~/ストロングスタイル~2019 Ver.~』がリリースされます。カセットテープで音源を出そう、というのは?
KREVA:「やったことないことはやろう」ってことですね。カセットっていうものを出したことがない、じゃあ出そう、っていう。
ーーじゃあ次もやったことのない形態で出す?
KREVA:マイクロSDで出そうという話もしたんですけど、あれはものすごいコストがかかるからダメだって(笑)。まあ、いろんな形態で出すことはやっていこうと思っています。もしかしたら野菜なのかもしれないし(笑)。
ーーそして、6月30日に日本武道館でのワンマンライブが開催されることが決まっている。ここはどういうステージにしようと思っていますか?
KREVA:俺の中では、今までの武道館でやってきたライブの総まとめみたいなことができればいいかなと思ってたんだけど。でも、1人でやったライブで得たものもあるので、あの感じとバンドを合わせるっていうのも面白いかなとも思ってますね。派手さと静けさっていうか、アーティスティックにやるところと振り幅を持たせられたらいいなと思ってる感じというか。
ーーなるほど。二つのポイントがあるわけですね。まず一つは、これまでの武道館で培ってきたものの集大成がある。KREVAさん自身としては、武道館でやってきたこと、得たものって、どういうものだと捉えていますか?
KREVA:武道館を活かしているっていうより、甘えてる感じはあるかもしれない。武道館が持っている箔なのか格なのかわからないけど、とにかく武道館でやることでステージが違うものになるっていうところがあるじゃないですか。それを大いに利用しているのが『908 FESTIVAL』だと思うんですよ。そうかと思えば、そこで完全に一人でやったりもする。
ーー武道館は会場の構造も特殊ですよね。客席にステージが囲まれる形になる。
KREVA:間違いない。こっちからは全員見えるし、座っている人も2階だったら表情が見えるくらいだったりするじゃないですか。だから一人でもできるし。あと、勝手にホーム感があるかな(笑)。
ーーあと、これはここ数年の『908 FESTIVAL』を観ていて勝手に思ったことなんですが、渡辺直美さんが出たあたりから、だんだんフェスというより音楽バラエティ番組だと思って観るようになって。
KREVA:ははは、確かに。エンタメ化がね。
ーー変な言い方ですけど、たとえば幕間のMCとか転換も含めて、構成作家が入っているんじゃないか? って思うくらい、2〜3時間のショーをきっちり飽きさせずに見せていくための企画と演出が徹底していると感じたんです。このあたりのスキルに関してはどうでしょう?
KREVA:たしかに、自分がいろいろ口を出すようになってきて、エンタメ色が強くなってきたんだと思う。人に任せてた部分も「ここはこういう風に切り替えよう」とか、コントにしてもフリースタイルでやってたのをちゃんと台本を書くようになったりして。
ーーコントの台本もきっちり書いてるんだ!
KREVA:あれはちゃんと書いてますね。最初はノリで「仲良しだからできるよね」って感じだったんだけど、忙しいみんなのことを気にして、ちゃんと台本書いて。
ーーそれは誰か指南役がいたんですか?
KREVA:いや、いないです。自分でやりました。同じような話で、時間が限られてる中でやりたいことが増えたんで、バンドに楽譜を書いて渡せるくらいにはなった。今までは「そうじゃない」とか「違うな」とか口で伝えながらやってたんですけど、簡単にバンドが演奏できるくらいの楽譜は書けるようになりましたね。
ーーそして、もう一つ。いまや『908 FESTIVAL』のもう一人の主役になった三浦大知という人について聞ければと思うんです。10年くらい共演を続けて、彼がスターとして世に羽ばたいていくのをKREVAさんはずっと見てきたわけで。
KREVA:そうですね。
ーーアーティスト同士の信頼関係のある相手としてずっと見てきて、彼はどう変わっていったと思いますか?
KREVA:その質問に対しては、逆に変わらないところばっかりなんですよ。まず人が変わらない。ちょっとぐらい天狗になったり、嫌そうなところを一秒でも見せてもいいんだけど、ほんっとに見たことがない。そこが素晴らしいし、だからみんなに愛されるんだと思う。で、歌って踊るというスキルの上手さも昔から変わらないんだけど、その精度がめちゃくちゃ上がってる。自分で修正をかけたり、コントロールするのがすごく上手いんですよ。歌でもピッチが外れそうになった時に音程が合ってる方にグッと持っていくような安定感をもたらす体幹の強さみたいなものもあるし。あとは『908 FESTIVAL』で「こういう役割をしてほしい」って言った時にそのキャラにアジャストする力も半端なくなってる。全開で後輩キャラになってくれるところもあるし、バリッと見せてくれるところもあって。その力たるや末恐ろしい。まだまだ伸びると思うから。すごいなって思う。
ーーあれだけ芸術性の高いアルバムを出して、完璧なパフォーマンスをして、その直後に牛乳瓶の底みたいなメガネかけて出てくるわけですからね。
KREVA:そうそうそう(笑)。それもすごく嬉しい。俺があのキャラをこんな感じでって説明したら、俺以上にそれをキャッチしてくれて。彼も高畑充希ちゃん相手にやるとは思っていなかったと思うんだけど(笑)。
ーー高畑充希さん、渡辺直美さんのように、俳優や芸人として活躍する人も同居できる懐の広さも『908 FESTIVAL』の特徴ですよね。
KREVA:そうですね。でも、単に八方美人な感じにならなきゃいいなとは思ってる。直美ちゃんにしても、歌心があると思っているからオファーをかけてるし、みっちゃん(高畑充希)もあれだけ歌えるから。そういうのは大事にしていきたいですね。誰でもいい、っていうんじゃない。