48グループ&乃木坂&欅坂&日向坂の“次世代エース”集結する坂道AKB 選抜メンバーに感じたこと
なかでも注目が集まるのは、今回のセンターを務めるメンバーだろう。前述のとおり、これまでの楽曲では、欅坂46より同ポジションが選ばれてきた。AKB48、SKE48やHKT48らをAKB48グループと総じるならば、欅坂46は当時最も経験の少ないグループだったといえる。そう考えれば、今回期待されるのは日向坂46からのセンター輩出だ。現在の日向坂46は、前述の改名発表と同時に、3月27日の単独シングルデビューや、同月に神奈川・横浜アリーナでのデビューカウントダウンライブ開催を明らかにするなど、グループとしての先行きを占う重要な局面にある。今回の坂道AKB楽曲で、日向坂46メンバーがセンターを担うことになれば、グループ全体としても今後の活動に大きな弾みがつくはずだ。
そんな坂道AKBの活動は、どうしても音楽番組への出演が中心となる。ライブでのパフォーマンスを見られる機会は、おそらく望みが薄いだろう。これは、全グループのスケジュール調整が困難を極めることに由来しており、これまでのMV収録やダンスの振り入れなども、各人が多忙の合間を縫って行なってきたようだ。
しかしながら、TV番組でのパフォーマンスにも、坂道AKB独自の楽しみ方を見出すことができるのではないだろうか。それは、グループ間の“国境”を越えた、メンバー同士の“カップリング”にあると思われる。実際に「国境のない時代」MVを確認してみよう。全員がキレのあるダンスを披露するシーンはもちろんだが、各グループのメンバーが同じ画角に収まる構図は非常に新鮮に映る。一例を挙げるならば、AKB48・小栗と乃木坂46・大園と久保、欅坂46・渡邉理佐の4名を一緒に目にする機会も、そう多くはないだろう。
これは全グループのファンだけでなく、一定のグループのみを応援するファンにとっても、非常に有意義な機会になりえるはずだ。普段は触れる機会がなくとも、自身の応援するグループのメンバーが、その他のグループやメンバーと同じ空間でパフォーマンスをしていれば、自然と気になり始めるに違いない。このような新たな興味関心を誘えることも、“全員主役”と評せる坂道AKBの試みがあってこそだ。
楽曲タイトルをはじめ、今後の動きにも期待が集まる今回の坂道AKB。メンバー自身はもちろん、彼女たちのファンにとっても、“国境のない時代”はもう目前に迫っているのかもしれない。
(文=青木皓太)