荻原梓のチャート一刀両断!

Aqours、劇場版『ラブライブ!サンシャイン!!』OP&EDで初の1位 生音で届ける“リアル”な感動

 楽曲の世界観に豊かな情緒を肉付けしている弦の演奏はaikoやいきものがかり、近年はfhánaや北川勝利楽曲など、多くの作品へ参加している真部裕ストリングスによるもの。また、弦や金管隊によるオーケストレーションのみでなく、ドラムやベースといったバンド陣を加えたことで、楽曲に“走ってきた”感が加わっている。ドラムはTHE ALFEEやDIMENSIONなどと活動経験を持つ吉田太郎。ベースはQ-MHzとしても活躍中の黒須克彦。彼らの繰り出す決して目立ち過ぎない、けれどもしっかりと楽曲にグルーヴを与える演奏は、楽曲の肝といっても過言ではないだろう。迫力ある金管隊の存在も豊穣なサウンドを作り出すのにひと役買っている。

 こうした豪華な生音の録音は楽曲の世界観を表現する上で欠かせない。単に劇場版のテーマソングだから大掛かりな演奏にしようという意図ではなく、演奏が“生きている”からこそ聴く者はそこにストーリーを見出し、想像し、感動するのだ。キャラクターソングは主人公が架空の存在であるがゆえに打ち込みだけで作られることも多く、そうした場合、往々にして印象が“架空の音楽”止まりで終わってしまう。しかし、架空の存在だからこそ生の音で、生きた演奏を施すことで、聴く者にリアルな感動が届くのだ。

■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
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