『Last Run!』インタビュー
THE ALFEE 高見沢俊彦が語るマラソンと人生、そしてバンドの歩み
2019年も“二刀流”宣言!
ーー今回のアルバムをもって『大阪国際女子マラソン』イメージソングは“ラストラン”になるわけですが、THE ALFEE、高見沢さんの今後の活動についてはどうお考えですか。
高見沢:今年THE ALFEEは結成45周年なんです。その弾みになるようなアルバムを作ることができて、ライブでも今年10月の東京国際フォーラム公演で通算2700回を迎えて本当に節目の年になりました。来年はオリジナルアルバムも想定してますし、個人的には今年小説家としてデビューしたので、今2作目に取りかかっています。12月発売の『オール讀物』でまた新連載の第1回が始まります。これからも野球の大谷翔平選手のように二刀流でやっていこうかなと(笑)。
ーー第2弾の小説はどんな内容に?
高見沢:『音叉』とは全然違います。恋愛小説ではあるんですけど、一つの家族を通した一つの恋の形というか。人はなぜ、人は何を秘めて、何を守っていくんだろう。そういったものをテーマに書き進めていこうと思ってます。
ーー時代はどのぐらいの設定なんでしょう。
高見沢:現代と過去を書き分けていこうかと。50代の夫婦とその娘を描いていて、主人公の昔と現代のストーリーが交差していくようなイメージです。みんな結局どう生きていくんだろうと考える、ちょっと壮大なテーマになりそうです。
ーー1作目は文章のリズムが見事でした。書き終えて手応えはありますか。
高見沢:音楽家が書く小説なのでリズム感を出そうと思って書きました。でも書き終わって自分の中で感じたのは、文章の中にメロディを書くように書いてるんだなと。だから文章が流れるようにしたいと思うし、リズム感を持たせたいと思う。読みにくいようにはしたくなかった。そこは自分なりに書いていて感じた部分ですね。
ーー歌詞を書くことと文章を書くことは、やはり違うチャンネルなのですか?
高見沢:歌詞は多少稚拙であってもメロディが補ってくれるんですよね。メロディと合わさってその歌詞が活きる。歌詞だけ見て素晴らしい人もいますけど、僕が作る歌詞はメロディと合体して一つの物語を作っていく場合が多い。小説はそういうわけにはいかないので、文章の中にメロディを作っていかなきゃいけない。そこは全く違いますね。
ーー次作の小説の舞台が現代ということであれば、高見沢さんが今感じていることも投影されていくのでしょうか。
高見沢:やっぱり曲と一緒で少しは投影するだろうなと。ただ、あくまでも小説の方が創作部分が多いんですよ。曲の方が自分が出る場合が多いです。曲はギターを弾いて、歌ったりするからどうしても等身大の自分になるけど、小説では自分を切り離したい。自分が考えていることと全く別のことを書くこともできるし、小説では裏切ることができるんです。今自分で何か思っていることがあっても、登場人物はそうじゃないパターンにすることはいくらでもできますよね。それにしても今回の小説は前回より難しくて全然進まない(笑)。でもまた4~5回に分けて連載して来年単行本化しようかな。
ーーいいですね。オリジナルアルバムも2019年中に期待してもいいでしょうか。
高見沢:そうですね、二刀流宣言したのでいいと思います(笑)。そこはやらないとダメですね。シングルは結構出してますけど、アルバムは『三位一体』(2015年)以来になりますから。あれよりはもっと統一感があるようにしようかなと。まぁバラバラと言えばバラバラなんだけど、3人が歌うので個性を生かそうとするとそうなるんですよ。
THE ALFEEと同時期にデビューしたQueenの存在
ーー次のアルバムのヒントにもなればということで、最近聞いている音楽についても教えてください。
高見沢:新しいものも聴きますけど、結局学生時代に聴いていたような音楽を聴いてることが多いかな。The Rolling Stones、The Beatles、Yes、King Crimson、また今流行ってるQueenもよく聴きますけどね。
ーーQueenの映画『ボヘミアン・ラプソディ』、大ヒットしていますね。
高見沢:多少Queenを知ってる人から見るとエピソードなどが時代的に違う、そういうのを抜きにしても映画として完成されているなと思いましたね。10年ぐらい前から構想はあったらしいし、ブライアン・メイやロジャー・テイラーが監修してるから音も抜群にいい。間違いないですよ。
ーー高見沢さんにとって、Queenはどんな存在でしたか。
高見沢:僕はもともとLed Zeppelinが大好きでしたが、グラムロックも大好きだったんです。T.Rexやデヴィッド・ボウイのようなギラギラしていてメイクをするようなスタイルが好きでしたね。ただ個人的には、サウンドがちょっと軽すぎる部分が不満でした。そこへQueenが出てきた時にうわーと思って。最初はメイクをしていたし、グラムロックでこういうハードロックなバンドが出てきたんだなと思って飛びつきましたね。で、1974年の2ndアルバム『Queen II』で決定的になりました。B面のサイドブラック「Ogre Battle」から始まる一連の流れ、曲の良さにやられました。グラムロック的な要素を持ちながらハードロックなのが新鮮で。でもQueenは一枚一枚表情が変わるから全部レコードを持ってますが1回しか聴いていないものもあるな(笑)。ギタリストとしてはブライアン・メイに影響を受けましたよ。ギターオーケストレーション、多重録音を自分なりに研究しましたね。実はQueenとTHE ALFEEってデビューが1年違いなんです。Queenが73年で僕らが74年。同じくらいの時期にデビューしたバンドの音楽は好きですね。コーラスがあるYesやThe Beatles、そういったものにも影響を受けてます。
ーーそれらのバンドの中でもQueenのどんな点に惹かれましたか?
高見沢:Uriah Heepも高音のコーラスで僕は大好きだったんですけど、それを越えたのがQueenだったのかな。Queenは全員が歌えるんですよ。ブライアン・メイもそうだし、一番ハードロック魂を持ってるのがロジャー・テイラーで一番高い声も出ますからね。そういう意味ではメンバーが歌えるグループであることは強いですよね。The Beatlesもそうじゃないですか。必然的に歌える人間がコーラスをやると厚くなるし、存在感が出る。THE ALFEEもそこの強みはあると思いますね。
ーー歌える人がコーラスをすることで出てくる厚みや鋭さがある。
高見沢:その鋭さと厚みだよね。初期のQueenの厚みは大好きなんで。あと『Close to the Edge』の頃のYes。そういったものはかなり好きですね。
ーーあの世代のバンドの多くはドラマチックに解体していきましたが、THE ALFEEは45年続きました。
高見沢:そこはやっぱりぬるま湯の関係ですよ。ずーっと浸かっていられるんで(笑)。あと人間関係にお互いへのリスペクトは必要ですよね。いろいろぶつかったこともありますけど、音楽性の違いでぶつかったことはないな。Queenの映画みたいなああいう喧嘩だけはなかった。ちょうどいい関係を築き上げてこれたということかな。
ーーあと5年、10年、もっと言えば20年、今後も活動が続いていくわけですが。
高見沢:40周年からあっという間に45年になったので、45年過ぎればあっという間に50周年。ライブも結成45年の年に2700回だったので、おそらく50周年あたりではこのままいけば3000回なんですよ。バンドとしては、そこまで走っていきたいですね。
ーー3000回も通過点になりそうです。
高見沢:ですね。11tトラックを5台くらい走らせてくまなく全国を回る、そういうツアーをずっとやってきたので、これからもそういうふうにやっていきたいですよね。小回りがきかないバンドなんですよ(笑)。大掛かりなセットも含めてショーですから。ショーアップされたものをやり続けていきたいですね。
(取材=神谷弘一/構成=久蔵千恵)
■リリース情報
大阪国際女子マラソンイメージソングコンプリートアルバム
『Last Run!』
12月19日(水)発売
価格¥4,500+税
<収録曲>
Disc1
M-1 勇気凛々
M-2 創造への楔
M-3 風の翼
M-4 One Step ~再始動~
M-5 LOVES FOR ONE
M-6 もう一度ここから始めよう
M-7 生きよう
M-8 Let It Go
M-9 GET YOUR CHANCE
M-10 Shining Run〜輝く道に向かって〜
Disc2
M-1 Wonderful Days
M-2 Dear My Life
M-3 ONE
M-4 ZeRoになれ!
M-5 夜明けの星を目指して
M-6 孤独な世代
M-7 Chaos(カオス)の世界
M-8 Change the wind
M-9 自由になるために
M-10 Beginning of the Time
Disc3
M-1 Beyond the Win
M-2 LIBERTY BELL
M-3 Glory Days
M-4 風を追いかけて
M-5 Running Wild
M-6 Someday
M-7 Arcadia
M-8 FLOWER REVOLUTION
M-9 High-Heel Resistance
M-10 It's Alright
M-11 夢よ急げ
■ライブ情報
『45th Anniversary Best Hit Alfee Final 2018 冬ノ巻 Château of The Alfee Ⅲ』
12月23日(日祝)日本武道館
12月24日(月休)日本武道館
12月29日(土)大阪城ホール