指原莉乃、HKT48や48グループ全体に残した功績 アイドル&タレントとしての独自性を振り返る
HKT48の指原莉乃が、12月15日に東京ドームシティホールにて開催された『HKT48コンサート in 東京ドームシティホール~今こそ団結!ガンガン行くぜ8年目!~』にてグループからの卒業を発表した。
同公演はグループ8年目の幕開けとなる単独コンサートであり、2021年4月までの2年半の間、IZ*ONEに専任する宮脇咲良、矢吹奈子が参加するという、絶妙なタイミングで行われた今回の卒業発表。節目の舞台の度に「今日かもしれない」と心の何処かにあったという卒業の2文字は、“最後のわがまま”というファンへの気遣いとともに届けられた。AKB48グループにおいて圧倒的な知名度を誇る指原の卒業は、ネットニュースはもちろん、その日の夜のワイドショー、翌朝のスポーツ紙では「指原卒業」の文字が一面を飾った。2012年に前田敦子、2014年に大島優子、今年は11月に山本彩の卒業があったが、グループ全体としての人気の波はあるものの、世間への認知度から考えてもこれまでの卒業メンバーの中で最も衝撃を与えた出来事と言えるだろう。
指原はAKB48グループにおいて特異な立ち位置にいる、グループ愛溢れるメンバーだった。2012年6月、過去の交際を報じられAKB48からHKT48への移籍を秋元康から命じられた指原。「人のためにと思うようになりましたね。HKT48をどうにかすることが、私の感謝の伝え方だと思うので」というのは、2016年に公開されたドキュメンタリー映画『尾崎支配人が泣いた夜 DOCUMENTARY of HKT48』で話している移籍当時の思いだ。後に続くグループにとっても、NGT48の北原里英、STU48の岡田奈々と、後輩を先導する者はいたが、“償いの意識”を背負い、グループを牽引した指原の偉大な功績なしにHKT48の歴史を語ることはできない。
指原にとって大事な“宝物”であるHKT48のメンバー。そのメンバー一人ひとりは指原の背中を見て成長してきた。2017年に、ファンとの固い絆で前人未到の『AKB48選抜総選挙』3連覇を果たした指原に続けと、今年総選挙1位を目指した宮脇咲良。結果、3位に終わってしまった宮脇の「私が、ずっとさっしーが守ってきてくれた1位を守りたいって思ったんですけど、ごめんなさい」と涙を流し悔しがるスピーチからは、我々から見えている以上のメンバー間の絆を感じさせた。卒業発表を終えた夜に配信した指原のSHOWROOM中、田島芽瑠から着信があり、「大好きだよー!」と残っていたメンバーが叫ぶという涙を誘う一幕も、指原への感謝と敬意が伝わる一場面である。
グループ最年長であり、HKT48の劇場支配人という立場である指原は、ドキュメンタリー映画の監督を務め、メンバーへのインタビュアー、ナレーションも担当。AKB48グループの選抜メンバーとしても活躍しているが、AKB48を見守るHKT48のメンバーとして、総監督の横山由依や若い世代を後ろからそっと見守っている印象だ。欅坂46の平手友梨奈や乃木坂46の齋藤飛鳥などにも、音楽番組で一緒になった際に声をかけており、自身がチェアマンを務める『TOKYO IDOL FESTIVAL』では、多忙な中でもTwitterで出演アイドルに交流を呼びかけるなど、グループの枠を超えた思いやりの心、人の上に立つという役目は、自身がプロデュースする=LOVEにて発揮されている。